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TOP教育美容・理容【美容師の接客・接遇マナー】お客様にも同僚にも好印象を持たれるための基本

【美容師の接客・接遇マナー】お客様にも同僚にも好印象を持たれるための基本

仕事は、自分と、社内の人、お客様、取引先といった周囲の人たちとの関わりの中で進んでいきます。これらの人たちとの関わりの中で仕事の成果をあげるためには、社会人としてふさわしい「心構え」と「ビジネスマナー」を身につけておくことが欠かせません。

この記事では、美容師を目指している学生の皆さんや、これから美容師として働く新人美容師の皆さんが、就職後に適切な考え方を持って行動ができるように、「美容師として求められる心構えとビジネスマナー」について解説します。

※本記事の内容は書籍「美容師のための接客・接遇マナー」(ウイネット)の一部を再編集したものです。

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最初に知りたい、美容師として7つの心構え

サロンの一員として仕事をしていくには、どのような心構えをもって仕事に取り組むべきでしょうか。技術さえあれば優秀な美容師といえるのでしょうか?

美容業界はサービス業です。お客様は髪を整えきれいになるため、またリフレッシュする等の目的で来店され、そしてその代価をお支払いくださいます。そのためサロンでは、上司(オーナー、店長、マネージャー、チーフなど)周りのスタッフと協力しあってお客様に満足していただける努力をしなくてはいけません

まずは、美容師に求められる基本的な心構え、仕事に取り組む姿勢について、詳しく見てみましょう。

1.規律を守る

職場のルールやマナーに従って行動し、上司(店長・主任等)の指示・命令に従いましょう。

2.自己管理をする

健康管理は自分の責任です。感情をコントロールし、体調や感情がそのまま表に出るようなことがないようにしましょう。 また、職務上知りえた秘密を口外してはいけません。「守秘義務」は必ず守りましょう。

3.目的意識をもつ

ヘアサロンの方針や目標を把握し、常に意識しましょう。

4.原価意識をもつ

お店にあるすべてのものにコストがかかっていることを意識し、時間、物、経費のムダをなくすことを心がけましょう。

5.人間関係を大切にする

独りよがりにならず、他のスタッフと協力し合いながら仕事をすすめることが大切です。また、サロン内だけでなく、お客様、取引先との人間関係にも配慮しましょう。

6.顧客意識

誰がお客様で、何を求めているかを常に意識し、どうしたらお客様に満足してもらえるかを考えて行動しましょう。

7.改善意識

仕事に慣れてきたら、定形業務をこなすだけでなく、創意工夫をしましょう。いかに効率良く、丁寧に、早く、楽しく、コストをかけずに仕事をするか考えましょう。

信頼を得るための基本的なマナー

次に、ヘアサロンでの基本的なマナーについて紹介します。

基本的なマナーを守り仕事を進めることで、スタッフ同士の信頼感が増し、それが良い仕事となり、有意義な毎日となります。そしてマナーを心得た応対と仕事ぶりから、お客様に喜ばれるお店、お客様に信頼されるお店となることができます。

それでは、周囲の信頼を得て、良好な人間関係の中で仕事をしていくためにどんなことに気を付ければいいでしょうか?

1.あいさつと返事

  • 自分から積極的に、明るく声をかける
  • 声をかけられたらその人の方を向き、明るくはっきりと返事をする

2.公私のけじめ

  • 仕事中の私語は慎む(スタッフ同士の無駄話、ヒソヒソ話はしない)
  • 私用電話は休憩時間にかける
  • サロンの物を私用に使わない

3.人間関係

  • 人の悪口、告げ口、うわさ話はしない
  • 新人だといって甘えない
  • 上司(店長・主任等)や先輩になれなれしくせず、言葉遣い、態度に気をつける

4.時間管理

  • 休憩時間と勤務時間の区別をつける
  • 仕事は所要時間を考えて、効率的に進める
  • 約束した時間は守る
  • 遅刻、欠勤、早退はしない
  • 休暇等はできるだけ事前に届け出る

5.その他

  • 整理整頓を心がける
  • 吸わない人の迷惑を考え、勤務中はむやみにたばこを吸わない

適切な接遇が良好な人間関係を作る

お客様への応対と接待を「接遇」といいます。この「接遇」という言葉を使う時には、単なる応対だけでなく、環境を整え、礼儀正しい態度でお客様と接し、お客様の目的が果たせるように心配りをし、相互の心が開かれるような状況を作ることを意味します。

適切な接遇は、お客様との間に良好な人間関係を作ります。そして、そのことがヘアサロン全体の信用や評価を得る第一歩になるのです

接遇にあたる人の心構えは、態度や表情に表れてお客様に伝わります。お客様を思いやる気持ちを持ち、感じの良い立ち居振る舞いと言葉遣いができるように、次のような心構えで接遇にあたりましょう。

1.明るく、自然に

いつも自然な明るい表情を心がけましょう。人間の感情や体調は表情に出やすいものです。個人的な感情や体調不良が表情に出ないように注意しましょう。

2.誠実に

その場限りの応対ではなく、お客様の目的がかなうようにお客様の立場に立って、誠心誠意の応対をしましょう。お迎えする時だけでなく、お帰りになるまでの接遇をお客様は見ています。気持ちよくサロンで過ごしていただける気配り、目配りをしましょう。

3.親切、丁寧に

お客様の身になって接し、お客様を思いやる気持ちをもちましょう。細やかな心配りとやわらかく穏やかな言葉遣いや応対を心がけ、苦情には特に丁寧に応対をしましょう。

4.迅速に

お客様の大切な時間を無駄にしてはいけません。ノロノロとした動きは見ていてイライラするものです。丁寧にテキパキと行動しましょう。

5.正確に

親切・丁寧に応対したとしてもミスがあっては台無しです。一人のミスがサロン全体への印象を悪くしてしまいます。確認や復唱を普段から行うよう心がけ、ミスのない応対を心がけましょう。

6.公平に

お客様の受け付け応対は来店された順が基本です。また地位、年齢などで差別することのないように公平を心がけましょう。受け付け後に、予約の有無でご案内が異なる場合等には、一言お伝えしましょう。

また、常連のお客様とだけ活発にコミュニケーションをとるのではなく、新規のお客様へのコミュニケーションも大切にしましょう。

美容師に求められるコミュニケーションの基本

続いて、美容師に求められる「話し方、聞き方」についてです。

言葉はコミュニケーションの重要な手段のひとつです。言葉は、相手との人間関係や状況に応じ て使い分けることが大切です。 美容師として、お客様と交わす言葉、情報 提供やアドバイス、質問への応答などで言葉遣いやお客様への伝え方を間違えると、お客様に不快感を与えてしまうことになります

そこで、相手に伝えたい内容を正しく伝えるだけでなく、 より感じよく話ができるように言葉遣いの基本を押さえましょう。

(1)話の仕方

相手との意思疎通のために「会話」をしますが、話の効果の決定権は聞き手にあります。聞き手にとってわかりやすい話し方をすることが大切です。

サロンでは、お客様からご理解いただけるように、わかりやすくお伝えすることが大切です。話の仕方では次の点を心がけましょう。

1.話す内容を整理する

  • 結論を先に、その後で理由を述べる
  • 時間経過の順に整理する
  • 複雑な内容の時は、図表・イラスト・写真や実物を提示する

2.聞き手に受け入れてもらいやすい話し方をする

  • 聞き手の立場に立って話し方を考える
  • 専門用語は避け、わかりやすい言葉を選ぶ
  • 一言声がけをして、相手が話を聞く状況になってから話し始める
  • 聞き手の反応に注意し、納得していること、理解していることを確認しながら話す

3.話し方に注意する

  • 明瞭に、語尾をきちんと話す(語尾が上がる、語尾を伸ばすことのないように)
  • 明るい表情と態度で話す
  • 話す声のスピード、間の取り方に注意する
  • 明るい声のトーンで話す
  • 適切な言葉遣い

(2)話の聞き方

会話は話し手と聞き手の双方がいてなりたちます。そこで、感じよく話すためには、相手の話を感じよく聞くことが大切となります。相手が話しやすい聞き方、 相手の話す内容を正しく理解する聞き方を意識して会話をしましょう。

特に、お客様との会話はまず聞くことからです。お客様のご希望を伺い、お客様に満足していただくために、お客様の声に耳を傾ける聞き方を心がけましょう。

感じのよい聞き方チェックリスト

  • 相手を見て、相手の話に集中しているか
  • 自然なアイコンタクトができているか
  • 適度な相づちを打っているか
  • 穏やかな表情で聞けているか
  • ときどき内容を復唱し確認しているか
  • 肯定的な姿勢で聞いているか
  • 相手が話しやすいよう促しているか
  • 質問があれば、話の腰を折らないようタイミングを見計らって聞いているか
  • 必要に応じてメモをとっているか

また、自分にとって「感じの悪い聞き方」とはどのような態度を取られることか考えてみましょう。

敬語を使い分けて敬意を示そう

社会では、自分と相手との関係によって適切な敬語を使うことが求められます。ヘアサロンにおいては、お客様へ尊敬の気持ちを表すため敬語を使います。親しいお客様でも言葉で一線を引き、親しみとなれなれしさを混同しないようにしましょう。また、スタッフ同士の会話をお客様は聞いています。スタッフ同士での言葉遣いにも注意が必要です。
そのために、尊敬語、謙譲語、丁寧語(美化語)の使い方について学習しましょう。

(1)尊敬語

尊敬語は、相手の動作や状態を高める表現を使うことにより、相手への敬意を表現します。

基本形尊敬語
いるいらっしゃる
するなさる
言うおっしゃる
行くいらっしゃる
来るおいでになる、お見えになる
見るご覧になる
食べる召し上がる
与える下さる
聞くお聞きになる
知っている  ご存じ
持っていくお持ちなる

(2)謙譲語

謙譲語は、自分の動作や状態を低める表現を使うことにより、間接的に相手への敬意を表現します。

基本形謙譲語
いるおる
するいたす
言う申す、申し上げる
行く参る 伺う
来る参る
見る拝見する
食べるいただく
与える差し上げる
聞く承る、拝聴する
知っている存じ上げる
持っていくお持ちする

(3)丁寧語

丁寧語は、動作や状態を丁寧にする言い方です。また、丁寧語の中で、「お手紙」「お料理」など上品な物の言い方をするものを「美化語」といいます。

普通の言い方丁寧な言い方最も丁寧な言い方
~だ~です~でございます
(自分が)~する(自分が)~します(自分が)~いたします
いるいますおります
あるありますございます
そうだそうですさようでございます

敬語の使い方に慣れないうちは、使い方を間違えやすいものです。間違った言い方を覚えてしまうと後から直すのは大変です。初めに正しい言い方を覚えるようにしましょう。まずは使える敬語を1つずつ増やして、実際に使ってみましょう。

ヘアサロンにおける電話応対のマナー

ヘアサロンでは、予約やお客様からの問い合わせを受けるために、電話応対が欠かせません。

電話は相手の姿が見えないだけに、お客様にとっては声の印象、イメージがサロン全体の印象、イメージとなります。明るくさわやかで ハキハキとした第一声、親切で丁寧な応対を心がけましょう。

(1)電話の特性

電話には、その機能によるいくつかの特性があります。これらの特性は使い方次第で長所にも短所にもなるものです。お客様や取引先などに不快感を与えず、より効果的に電話を活用するために、次の特性を理解しておきましょう。

1.声だけが頼り

電話では、動作や顔の表情でお客様に意志を伝えることはできません。声だけが頼りですから、お客様に好印象を与える発声の仕方、言葉遣いができるように気を配りましょう。

明るい表情で話すと声の表情も明るくなるものです。「お客様に見られているつもりで話す」、これが上手な電話応対のコツです。

2.一方的(半強制的)

電話は、かける側が優位に立っている機器です。電話をかける時には、次のように、受ける側の都合に配慮します。

  • 忙しい時間帯を避ける
  • 長くなりそうな時は目安を伝える
  • お客様の都合の悪い場合はかけ直す

3.公共性およびコスト意識

サロンの電話はあなたのものではなく、サロンの備品です。皆で使うものですから、かける際は、要領よく話し、また、お客様からの電話であれば、お客様が電話料金をお支払いになることを心にとめ、正確にかつ簡潔に要領よく受け答え、長電話にならないよう心がけましょう

4.即答性がある

電話の一番の利点です。その場で相手の回答が得られます。

5.記録が残らない

通話内容は応対したあなたしかわかりません。お客様と話したあなたが忘れてしまえばそれきりです。電話応対の時には、必ず筆記用具を持ち、メモを取りながら応対し、最後に内容を復唱しましょう。

(2)電話のかけ方

電話をかける時は、サロンの電話が長い時間不通とならないように短時間で用件を済ませる必要があります。必要な準備をしてから電話をかけましょう。

電話をかける前のチェックポイント

1.どこにかけるのかを確かめる
相手の電話番号、氏名を確かめます。(会社であれば内線番号、所属等も)

2.用件をまとめる
用件を5W2Hの要領で事前にまとめておきます。必要ならメモをしておきましょう。

3.必要な資料・書類を用意する
話の中で必要になる資料や書類は前もって用意しておきます。相手を待たせないための配慮です。

4.受話器は左手でもつ(利き腕と反対の手で)
利き腕はいつでもメモをとれるようにあけておきます。

5.正しく電話番号を押す
間違い電話はかけてもかかっても無駄です。メモを見ながら正確にボタンを押しましょう。

また、相手が話し中でつながらない時は、4〜5分待ってからかけ直しましょう。すぐかけ直すよりもつながる確率が高くなります。
その他、以下にも注意しましょう。

  • 電話が途中で切れてしまったら、かけた方からかけ直す
  • 万一番号を間違えてしまったら、丁寧にお詫びしてから切る
  • 周囲がにぎやかすぎる場合、静かにしてもらうようお願いする(周囲の声や雑音は 4 ㎡まで聞こえます)

まとめ

いかがでしたでしょうか。

これらの内容は、知識として知っているだけではなく、学習した知識を実社会で実践できてこそ、初めて役立つものです。学習した内容を日常生活でも実践してみましょう。

日頃のそうした努力の積み重ねによって、美容師として、そして社会人としてふさわしい心構えとビジネスマナーが身につき、実社会に出た時に、戸惑うことなく行動できるようになるのです。「知っている」だけでなく「いつも実践している」を目指しましょう

書籍「美容師のための接客・接遇マナー」(ウイネット)では、ロールプレイングやケーススタディを豊富に収録しています。基本的な知識を覚え、その動作や言葉遣いを繰り返し練習する構成で、実際のサロンの現場で活かすことができる知識とノウハウが満載です。効果的な指導をサポートする「指導のてびき」をお付けしますので、先生にも安心してご活用いただけます。

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