読み書き計算の大切さは従来からうたわれていますが、近年、その重要性はさらに高まっています。
本記事では、読み書き計算の重要性やメリットについて解説します。
また、鍛え方や指導方法も紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
「読み書き計算」はすべての学びの基礎・重要性を再確認しよう
読み書き計算は、いわゆる「基礎学力」です。
読み書き計算はすべての学びの基礎であり、この力をどれだけ習得しているかで、あらゆる学習内容の理解度が変わってきます。
専門学校の現実
専門学校では、学生の学力低下が問題視されています。
その理由の1つが、読み書き計算などの基礎学力が十分に身に付いていないことです。
例えば、簡単な分数の計算ができなかったり、教科書の内容を正しく読み取れなかったりする学生がいます。
他にも、レポートに支離滅裂な文章が書かれていることもあり、専門学生の読み書き計算能力の低さが顕著に表れているのです。
前述の通り、読み書き計算はあらゆる学習の基盤となるものです。
この土台ができていなければ、専門学校の授業についていくことはできません。
専門学校での学びを充実させるために、読み書き計算の重要性が見直されています。
人間力構成の礎
読み書き計算は人間力を構成する礎の1つです。
人間力は”社会を構成し運営するとともに、自立した一人の人間として力強く生きていくための総合的な力”と定義されています。
人間力を構成する要素には「知的能力的要素」「社会・対人関係的要素」「自己制御的要素」の3つがあり、知的能力的要素に含まれるのが読み書き計算といった基礎学力です。
人が社会の一員として自立して生きていくためにも、読み書き計算は重要な役割を担っています。
読み書き計算を鍛えるメリット
読み書き計算を鍛えるメリットには「授業の理解度向上」「前頭前野を中心とした脳の活性化」の2つがあります。
1.読み書きを鍛えれば学校の授業についていける
読み書きの力を鍛えることで、学校の授業についていけるようになります。
専門学校では、大量の専門知識を覚えなければなりません。
そのためには、教科書を正しく読み取る力が必要です。
読む力を鍛えて文章を正しく理解できるようになれば、知識の習得がスムーズになり授業にも難なくついていけるようになります。
また、読む力があれば参考書などを用いた自主学習でさらに知識量を増やせるため、その分授業の理解度も高まります。
さらに、専門学校ではレポート課題の提出も少なくありません。
書く力を養い論理的な文章を書けるようになることも、授業についていく上では重要です。
2.前頭前野を中心とした脳全体の活性化が見込める
脳科学において、簡単な計算をすると、前頭前野を中心とした脳全体を活性化させることが証明されています。
つまり、計算力を鍛えることは、脳のトレーニングにもつながります。
2-1:モチベーションを高められる
前頭前野が活性化すると、物事に対するモチベーションが高まります。
人が何かに対してやる気になれるかどうかには、前頭前野の働きが関係しているためです。
前頭前野が衰えてしまっていると、物事に対して面倒くさいという感情を抱きがちになり、やる気を出せません。
しかし、前頭前野を鍛えられれば、物事に対するモチベーションを向上させやすくなります。
2-2:コミュニケーション能力の向上につながる
前頭前野が活性化することにより、コミュニケーション能力が向上します。
前頭前野は、社会生活に関わるあらゆる働きを担っています。
そのうちの1つがコミュニケーションです。
前頭前野が活性化すると、相手の考えていることや発した言葉の意味を正確に読み取れるようになります。
また、言葉だけでなく表情やしぐさなどからも相手を理解できるようになるため、結果的にコミュニケーション能力が高まるのです。
読み書き計算の力を鍛える基本的な方法
読み書き計算を鍛えることは、決して難しいことではありません。
ここでは、読み書き計算の力を鍛える基本的な方法を3つ紹介します。
文章の音読
1つ目の方法は、文章の音読です。
音読も、前頭前野を鍛えるのに効果的であることが多くの研究によって証明されています。
前頭前野が強化されれば、情報の処理能力が鍛えられます。
すると、文章の意味を正確に理解する読解力の向上が見込まれます。
文章を声に出して読む機会を設け、読解力を向上させましょう。
徹底した反復学習
計算能力を鍛えるためには、徹底的に反復学習を行うことが効果的です。
一度解いただけでは、たまたま解けただけだったり、時間をおいて再度同じものを解こうとしたときに計算方法を忘れていることがあったりするからです。
定着するまで繰り返し学習することで、確かな計算力が身に付き、理解が深められます。
読書習慣を身に付ける
読書習慣を身に付けることは、読む力と書く力を鍛えるために有効な方法です。
読書の量と学力の伸びには相関性があるとする研究があります。
特に文章の意味を正確に捉える力(読む力)は、読書量を増やすことで養えます。
また、読む力と書く力は密接に関係しているため、読書の習慣をもつことは、文章同士のつながりや構成を自分で考えて文章にする力(書く力)の習得にも効果的です。
加えて、あらゆるジャンルの本を読むことによって、幅広い知識や価値観を得られるため、好奇心を育てられるでしょう。
読む力・書く力を習得するためには、読書を習慣化させることが大切です。
読み書き計算を向上させる指導法
前項の読み書き計算を鍛える方法を踏まえて、専門学校で実践できる指導法を3つ紹介します。
ぜひ教育現場で試してみてください。
読む力を育てる指導法
読む力を育てるには多読が効果的です。
多読とは、精読と異なり、とにかく読む量を増やし、かつ多少分からない単語があっても止まらずに読み進める学習法です。
多読を行うことで、語彙力を高めつつ、読解力が鍛えられます。
読書を習慣付けるために、1時間目の授業が始まる前の5~10分程度の読書時間を取り入れるのもおすすめです。
書く力を育てる指導法
書く力を育てるためには、思考力を高めることが大事です。
そもそも自分自身の考えがなければ、何かを書き起こすことはできません。
自身の考えのもととなるような情報や他者の意見が学べる読解教材を使用し、考える力を養うことで書く力を強化できます。
さらに、授業でディベートを実施することもおすすめです。
ディベートではいかに自分の意見を論理立てて伝えられるかが大切になるため、ディベート経験を積むことで論理的思考力を高められます。
計算力を育てる指導法
計算力を高めるためには、計算を数多くこなすことが重要です。
問題集などを用いて多くの問題に取り組ませましょう。
ただし、計算問題に取り組む際は、短期的に量をこなすのではなく、分からないところや間違えたところは振り返りながら進めます。
機械のようにただ計算するのではなく、なぜその公式で解を導くことができるのか、なぜ自分が間違えたのかを把握しながら取り組めば、ミスが減るだけでなく、解法を忘れることがなくなるからです。
また、計算力を上げるためには、基礎問題の解き方を徹底的にマスターさせることが大切です。
基礎問題の解き方が完全に理解できていれば、複雑な文章問題を解く際にも、基礎を活かして取り組めるようになります。
まとめ
読み書き計算はすべての学びの基礎であり、学力低下が問題視されている現代において、その重要性は再注目されています。
読み書き計算の力を身に付けることで専門学校生活で余裕が生まれ、前頭前野も活性化できるなど、学問以外でもメリットがあります。
本記事で紹介した読み書き計算の鍛え方、また教育現場で実践できる指導法を参考に、学生の読み書き計算力の向上を図りましょう。
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