文章を書くことは一生を通して必要です。学生時代にはレポートや就職活動に関する書類、社会人になってからは各種資料の作成など、常に求められるスキルです。今回は、今のうちから学生に指導しておきたい「わかりやすい文章を書くコツ」をいくつかご紹介します。
目次
覚えておきたい!正しい文を書く基本
わかりやすい文章とは、「読み手が正しく理解できる文章」という意味。まず「正しい文で書く」ことが大切です。日本語は言葉の使い方一つで細かいニュアンスを伝えることが可能な反面、たくさんの漢字やカタカナ語などを正しく使い分ける必要もあります。正しい文を書くためのポイントを押さえておきましょう。
(1)誤字をなくす
誤字脱字のある文章は相手からの評価も得にくくなります。間違いをなくすために、次のようなポイントに気をつけて書き上げた文章を読み返し、チェックしましょう。
・「ミスはあるものだ」と思って、疑いながら読み直す
自分が書いた文章こそ、間違いを見つけにくいもの。「間違いがあるはず」と意識して読むことでミスを発見できる可能性が高まります。できれば第三者に読んでもらうことをオススメします。
・画面上ではなく、印刷して確認する
画面上では誤字脱字を見落としやすいものです。メールや応募フォームなど、オンラインの入力画面であっても、可能な限り印刷して確認しましょう。
・インターネットの情報を鵜呑みにしない
インターネットに掲載されている情報には、誤字脱字だけでなく、情報そのものに誤りがあるケースも散見されます。正しい情報を得るには、出版社が発行する書籍や辞書、政府など公的機関の発信内容を活用するとよいでしょう。
(2)正しい日本語で書く
昨今、パソコンやスマートフォンなどの予測変換機能が充実したことで、自分で考えて送り仮名やカタカナ語を書くことも減っています。あいまいな場合は必ず調べて、正しく書くことが大切です。
・間違いやすい送り仮名
【例】
(正)明るい (誤)明かるい
(正)新しい (誤)新らしい
(正)承る (誤)承わる
・間違いやすい仮名づかい
【例】
(正)こんにちは (誤)こんにちわ
(正)〜という (誤)〜とゆう
(正)少しずつ (誤)少しづつ
・間違いやすいカタカナ語
【例】
(正)コミュニケーション (誤)コミニュケーション
(正)シチュエーション (誤)シュチエーション
(正)ハイブリッド (誤)ハイブリット
なお、カタカナ語の場合は、元になった言葉のスペルを覚えることも間違いをなくすコツです。
(3)表記をそろえる
言葉を文字で表すことを「表記」といい、ある文章中に複数回書くときは、すべて同じ文字を使って表記をそろえましょう。例えばこの記事でいうと、「すべて」はどれも「すべて」と書き、「全て」とは表しません。表記がそろっていないことを「表記ゆれ」と呼びます。表記ゆれがあると、文章に対する注意力が欠けていると思われてしまう可能性があります。
・表記ゆれの種類―漢字と平仮名
【例】
最も得意な科目は社会だ。英語はもっとも苦手で課題をこなすのに時間がかかる。
・表記ゆれの種類―数字
【例】
今月はもう2回も遅刻してしまった。三回目は絶対にないように気を引き締めたい。
・表記ゆれの種類―英単語の大文字小文字
【例】
Webサイトのわかりやすさは大切だ。情報を見つけにくいWEBサイトは使いにくい。
(4)「ら抜き言葉」に注意
助動詞の「れる」「られる」は可能・受け身・自発・尊敬の意味を表します。話し言葉で可能の意味の「られる」を使う際に、「ら」を抜いて「れる」を使う学生も多いのではないでしょうか。公の場では正しく書くことが大切です。そのためには、普段から「ら抜き言葉」を使わないよう意識づけるようにしましょう。
使ってしまいがちな「ら抜き言葉」
【例】
(正)食べられる (誤)食べれる
(正)見られる (誤)見れる
(正)来られる (誤)来れる
(5)接続詞を正しく使う
文や語句をつなぐ接続詞を正しく使うことで、伝わりやすい文章にできます。また、同じ意味でも複数の接続詞があるため、同じ文章内で同じ接続詞が続かないようにすると、より読みやすくなります。
以下の例以外にも多数の接続詞がありますので、正しく使って、書き手の思いがしっかり伝わる文章を書けるように訓練していきましょう。
・順接の接続詞
だから・すると・したがって・それで・そこで
【例】
もう後悔したくない。だから、今回は入念に準備をしよう。
・逆説の接続詞
しかし・だが・けれども・それでも・ところが・とはいえ
【例】
実験してみた。ところが予想どおりにはいかなかった。
・説明・補足の接続詞
なぜなら・ちなみに・ただ・ただし・つまり・すなわち
【例】
この小説は素晴らしい内容だ。ただ、わかりやすくはない。
文章を書くスキルは長期的に養おう
生まれた時からSNSが当たり前に存在している今の学生にとって、長い文章を書く機会は激減しています。また、文章を書くスキルは一朝一夕に上達するものでもありません。これから社会に出ていく学生がわかりやすい文章を書けるように、学校としても早い段階から指導しておきたいものです。
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