アルバイトをスタートさせたり、インターンシップなどで社会人の方と接したりする際に、学生たちに必要なのは正しい言葉遣いです。
先生方は、日々の学生対応の中で、きちんとチェックできていますか?
SNS時代であっても信頼性が高いのはリアルな口コミ。「●●専門学校の学生は言葉遣いが悪い!」などと「悪い口コミ」が広まってしまうと、学校のイメージがダウンしてしまうケースも……。
そこで、日々の指導の中でも役立つ、「学生に伝授しておきたい敬語の使い方」をご紹介します。
※本記事の内容は書籍「知っておきたい ビジネスのマナー」(ウイネット)の一部を再編集したものです。
目次
敬語は円滑なコミュニケーションに欠かせないもの
敬語には、「敬い」「へりくだり」「あらたまった気持ち」などを表現する役割があります。コミュニケーションを円滑に行うために欠かせないだけでなく、誤った使い方をすることでかえって相手の気持ちを害したり、言葉を発した本人の評価を下げたりする場合もあるため、敬語を正しく使うことは非常に重要です。
敬語には「尊敬語」「謙譲語」「丁寧語」の3分類があり、それぞれ使い方が異なります。
(1)尊敬語
相手の動作や状態を高める言葉で、相手への敬意を表現するもの
・動詞に尊敬の助動詞「れる」「られる」をつける
(例)
話す→話される
来る→来られる
・動詞に「お(ご)〜になる」をつける
(例)
話す→お話になる
書く→お書きになる
・尊敬を表す別の動詞に置き換える
(例)
話す→おっしゃる
食べる→召し上がる
(2) 謙譲語
自分の動作や状態を低める言葉で、間接的に相手への敬意を表現するもの
・謙譲の動詞に置き換える
(例)
話す→申し上げる
食べる→いただく
・動詞に「お(ご)〜する」をつける
(例)
話す→お話しする
待つ→お待ちする
(3)丁寧語
動作や状態を丁寧に表現する言い方で、相手に対しても自分に対しても使える
(例1)
通常の言い方 「〜だ」
丁寧な言い方 「〜です」
最も丁寧な言い方 「〜でございます」
(例2)
通常の言い方 「ある」
丁寧な言い方 「あります」
最も丁寧な言い方 「ございます」
要注意!間違いやすい敬語
敬語は、慣れないうちは使い方を間違いやすいものです。間違った表現をしないために、初めに正しい使い方を覚えましょう。
(1)尊敬語と謙譲語の混同
お客様や上司に対して謙譲語を使ってしまうケースがよくみられます。
(例1)
(誤)正しい内容は受付で伺ってください。
(正)正しい内容は受付でお聞きになって(お尋ね)ください。
(例2)
(誤)こちらの用紙にお名前をお書きしてください。
(正)こちらの用紙にお名前をお書きになってください。
(例3)
(誤)先ほど部長が申された通りにお伝えしました。
(正)先ほど部長がおっしゃった通りにお伝えしました。
(2)二重敬語
敬語を2つ重ねて使ってしまうケースです。誤りであるだけでなく、くどい印象を与えますので注意しましょう。
(例)「お(ご)〜になる」と「れる・られる」の同時使用
(誤)お客様が先ほどからお待ちになられています。
(正)お客様が先ほどからお待ちになっています。
(3)社内と社外の使い分けの混同
社外の人に話をするときは、上司や自社の社長であっても謙譲語で表現します。外部から見れば、社内の人間は自分の身内であるという考えからくるものです
(例)
(誤)佐藤部長は、そのようにおっしゃっていました。
(正)部長の佐藤は、そのように申しておりました。
まとめ
社会人として欠かせない素養の1つであるビジネスマナー。敬語の使い方はもちろん、挨拶の仕方、名刺交換の作法、電話の独特な受け答えなど多岐にわたります。学生にとっては未知の世界で、本当に必要なの?という疑問を持つ人も少なくないでしょう。
社会人になるということは、これまでの一個人から変わって、会社など組織の一員になることです。自分の行動やその結果が所属する組織の業績や対外的な評価に影響するため、責任ある立場としての自覚を持つことが大切です。
このような「社会人の心得」を指導していくことも、学校の重要な役割だと言えます。 敬語の使い方以外にも重要なビジネスマナーの基本をまとめた、こちらのテキストもぜひご活用ください。
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