学校ではさまざまな就活指導が行われますよね。
しかし、そのなかで学生に「なんでこんなことをやるの?」と思われがちなのが「自己分析」。
理由がわからないものはやらない、という傾向がある学生もいるでしょうから、「なぜ必要なのか」をしっかり説明したいところ。しかし、自己分析のメリットを伝えるのはなかなか難しいですよね。
そこで今回は、自己分析のポイントと留意点をおさえつつ、「自己分析をするメリット」を解説していきます。
※本記事の内容は書籍「これだけは知っておきたい! 面接対策&ビジネスマナー」(ウイネット)の一部を再編集したものです。
目次
自己分析で考えるポイント
就職活動で一番大切なことは、『己(おのれ)を知って、相手を知る』ことです。『己を知る』ということは、「将来の夢は何か」「何を得たいのか」「何がしたいのか」「何ができるのか」など、自分の働く目的や適性、欲求を理解することです。己を知る作業が自己分析であり、就職活動の出発点といえます。
自己分析作業では、自分の過去を振り返り、現状の性格(長所、短所、適性など)や価値観などを整理し、他者に負けない自分の資質、能力、技術を発見していきます。就職活動では、自己分析で明確になった自分の性格上の強みや適性がいかに仕事に役立つか、いかに組織で発揮できるかということを、自信を持って相手(企業)にアピールすればよいのです。
自己分析をする際の留意点
(1)自己PR作成を意識せず、とにかく書き出すことに集中する
自己PRや志望動機の「たたき台を作る」という意識で割り切って、どんどん紙に書き出すことに力を入れてください。「こんなことは就職活動には役立たない」「これは小さなことなのでいらない」と判断しないで、とにかく自分のやってきたことを思い出して、細部まで詳しく書き出すことです。「自分を徹底的に知る」ことが自己分析の最大の目的といえます。
(2)自分に合う手法で分析する
自己分析の方法、ツールはいろいろあります。しかし、一般的な方法は以下の2つといわれています。
- 自己分析のテキストを用意し、収録されている自己分析シートなどをガイダンスに沿って進めていく
- 就職活動用のノートを1冊用意し、自分に関することをさまざまな角度から思いつくままに書き出していく
例えば、書籍『これだけは知っておきたい! 面接対策&ビジネスマナー』(ウイネット)には「ワークブック」が付属しており、自己理解のためのワークシートが多数用意されています。このワークシートに沿って記入していくだけで、「2.」の手法と同様の自己分析がスムーズにできます。先生の指示に従って、自己理解を深めてください。
自己分析にしっかりと取り組み、その後の自己PR、志望動機の作成につなげていくのが就職活動成功の近道になります。
自己分析書き出しリスト例
●過去から現在までの自分
小学校~高校、専門学校・大学時代別に、それぞれの経験から「何を得たのか」「そこで行った工夫」を見つけ、次のことを書き出していきましょう。
- 得意科目/不得意科目/学業成績
- 取り組んだ趣味、スポーツ/特技
- 取得した資格、検定
- 所属したクラブ、サークル
- アルバイトの数、期間、内容
- 勉強のやり方、特長
- これまでにやったボランティア活動
- 子どもの頃に就きたいと思った職業
- 一番力を入れたこと/一番熱中したこと
- 一番つらかったこと/一番うれしかったこと
- 自分の進路をどのように決めてきたか
- 自分を変えた大きな出来事は何か、その後自分はどのように変わったか
- 学校の専攻分野を選んだ理由/学んだこと
●現在の自分の性格
今現在の自分について、周囲の意見や評価を交えながら、次のことを書き出してみましょう。
- 他者からの自分の評価(他者評価)
- 自分の長所、短所/自分の興味、関心
- 友人関係/友人や周囲からの評価
- 集団の中での自分の位置、役割、成果
●人生観と価値観/将来展望
「自分にとって大切なことは何か」「自分はどうしたいのか」など、しっかりと自分を見つめながら、次のことを書き出してみましょう。
- 自分にとって働く意味
- 人生のモットー、信条
- 影響を受けた人、尊敬している人(両親以外)
- 何を大切にして生きていきたいか
- 人生で最も大切にしたい価値
- 人生の夢、目標/仕事上の夢、目標
- 将来やりたい仕事
- 自分の理想の姿
- 20代、30代、40代、50代の理想像
- 5年後、10年後の自分
- 働く地域や場所のイメージ など
自己分析をするメリット
(1)自己PRのベースになる
自己分析で発見した「自分らしさ(好きなこと、嫌いなこと)」「自分に合っていること」「自分が物事に取り組む傾向」などを自分自身で理解して、その自分らしさが最も発揮されたエピソードを示すことで自己PRに変化していきます。
(2)志望動機のベースになる
自分の性格や能力に合致した仕事をすることが、仕事上で最も力が発揮できることになります。自己分析で発見した自分らしさや自分の長所を活かせる仕事を示すことで、志望動機につなげていけます。
(3)面接は、自己分析結果(自己分析をしっかりしたか)を聞くもの
面接では、自己分析のテキストに記載されているような質問項目が多く問われます。それは「あなたは自己分析をして、その結果、応募しているのですよね」と面接官が考えているからです。
逆に、自己分析もしないでどうして応募してくるのか、面接官には理解できないといえます。ここでしっかりと自己分析に取り組むことは、そのまま面接での質問に答えるための準備をしていることになります。
(4)書き出すことに大きな目的がある
自己分析ワークシートに自分のことを記入していく作業は、そのまま自分を客観的に見る作業でもあります。また、書き出していくことで、頭の中に漠然としているものを具体的に整理していく作業になります。
これは前述の(3)の面接の準備としてとても大切なことで、頭の中に漠然とあるイメージを言葉に出して話すことは難しいのです。自己分析ワークシートに書いていくだけで、そのまま面接に対しての「想定問答集」を作成しているのと同じ効果があります。
まとめ
学生から自己分析ってなんでやるの?と聞かれたら、「自己PRや志望動機のタネになるだけでなく、面接の質問に的確に表現できるようになります」とキッパリと伝えましょう。長い場合は「面接試験に合格するためです。」でもよいと思います。
『これだけは知っておきたい! 面接対策&ビジネスマナー』は、就職活動における学生の「準備不足」をなくす最適な教材です。面接試験が終わった後に、学生からの「もっとちゃんと対策すればよかった…」という嘆きを減らし、自信を持って試験に臨むための一助として、本テキストをご活用ください。
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