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先生にとって難しい保護者対応、お互いのストレスを減らすための対策は?

2023.05.12 (最終更新:2023.12.13) 全般 業務効率化

近年、保護者への対応にストレスを感じている先生が多いようです。
なかには、メンタルヘルスの不調の原因になっているという先生も……。
しかし、保護者への対応は、先生にとって避けて通れない業務の1つです。

そこで本記事では、保護者への対応をする際のポイントやいざという時に備えて良好な関係作りをするための注意点をご紹介。
また専門学校ができる先生のメンタルヘルス対策なども、お伝えします。

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なぜ保護者対応を難しいと感じるのか?           

ともに学生を思う立場にあるはずの先生と保護者。
ところがときには、保護者による厳しい言動が、先生にとってのストレスとなることも多いようです。
先生が、保護者への対応を難しいものと感じてしまう原因を見ていきましょう。

保護者の子どもに対する認識と実態のズレ

子どももまた、大人と同じようにTPOに合わせてその場にあった「顔」を見せるものです。

たとえば家庭では親思いの優しい落ち着いた態度をとる子どもが、いざ学校に出てくると友達といる楽しさで自由奔放に振舞ってしまうことも。
すると、先生の中でその子は「自由奔放な子」と認識することでしょう。

その2つの顔を持つ子どもが学校でのトラブルにかかわってしまったとしたら……。
先生は「自由奔放な学生だから、やりすぎてしまったのだろう」とその件をスムーズに受け入れられるでしょう。
しかし、親は「優しくて落ち着いたあの子がなぜ?」と取り乱すかもしれません。

このように、子どもの見せる「顔」に対して、保護者と先生の持つ認識にズレが生じることはままあります。
子どもの「顔」に対する前提が違うことによって、保護者との意思疎通が上手くいかず、先生が対応に難しさを感じるケースが生じうるのです。

保護者が孤立し相談できる相手がいない 

核家族・共働きが多くなっている昨今、わからないことや心配ごとの話相手のいない保護者が増えています。
心を許す環境に恵まれない中で多忙な日々を過ごしていると、対人関係にセンシティブになる人も出てくるものです。

そうした保護者は、先生の小さな言動にも不安を抱き、結果的に先生に対して厳しい言葉を投げかけてしまう場合があるのです。

実際に保護者から厳しい言葉を向けられた経験がある先生もいることでしょう。
その際に、先生に苦手意識が生まれてしまうと、その後の保護者への対応に難しさを感じる原因となるでしょう。

保護者が求めるレベルが高くなりがち 

さまざまなメディアの影響もあってか、保護者が先生に求めるレベルが高くなりがちです。
進路に関する適切なアドバイスや、経験にもとづいた熱意のある指導はもちろん、先生という職業の人には人柄性格のよさまで期待されているのが現状です。
期待の大きさが、先生の保護者対応の難易度を上げている側面もあるでしょう。

希望する分野で活躍するためのスキル・知識が身についているのか不安 

子どもを専門学校に通わせている保護者は、目的が明確です。
わが子が、目指す職業に関する知識・技術・資格を身につけて、就職を決めて卒業することを期待しています。
もちろん、学生本人も同じです。

そのため、わが子が社会で通用するスキルを身につけていると学習段階で実感できなければ、不安や焦りにかられることもあるでしょう。
学校側に説明を求めることもあります。

そんな時、先生の方で余裕をもって親身に子どもの状況を説明できれば、多くの場合、場がまとまるものですが、慌てて対応してしまった経験のある先生にとっては、保護者対応は難しく警戒心を持つ業務になってしまうでしょう。

スムーズな保護者対応のポイント

それでは、先生はどのようなことに注意して保護者対応に臨むとよいのでしょうか。
ここでは3つのポイントをお伝えします。

場面ごとに対応策を決めておく

クレームがあった場合の対応策をあらかじめ決めておくこと、これが後々の展開を決めるカギとなります。
具体的には「いつ」「誰と」「どのように」といった内容です。

クレームは「子ども間の関係」「成績や進路」「本人のふるまい」などに関する内容が考えられます。
それぞれの内容に対して、以下のことを明確にして、対応に臨みましょう。

  • いつ:どのタイミングで(例:事実確認が済んだタイミングで)
  • 誰と:同席する先生を依頼するかどうか(例:上司と一緒に)
  • どのように:話し方・態度をどうするか(例:おだやかに、ゆっくり聞き取りやすく、聞くことを優先して)

対応策を用意することで、いざという時の保護者対応に落ちついて臨めます。

冷静に保護者対応をする

保護者の不安や焦りが強い場合、先生は冷静に対応する必要があります。
責められるとつい固まったり、防御態勢を取ったりしがちですが、伝えるべきことを明確にしておけば、先生自身が冷静になれるでしょう

箇条書きやメモを準備しておくことも有効です。
ここでは保護者対応の4ステップを紹介します。

対応のステップ

①傾聴
積もり積もった思いがあり、結果的にクレームになっている場合も多いので、言葉の背景まで読み取る姿勢で耳を傾けます。

②謝罪
不信感や不安の要因をつくってしまったことに対し、おわびしましょう。

③状況説明
その時点で明確なことを、客観的に整理しながら伝えましょう。
どのような状況だったのか、どのような教育意図で指導したのかについて、保護者の理解が得られるように言葉を尽くして説明します。

④今後についての説明
保護者の話に基づいて事実確認をする
 ↓
対応策を講じる
 ↓
その後も引き続き様子を見る

上記の段階を踏み、その時々で報告することを約束して、安心感を持ってもらいましょう。

保護者から、厳しい指摘や強い言葉を受けることもあるでしょう。
それでも、①から④のステップを踏んでいけば、少なからず相手の心情は和らぎます
「話を聞いてもらえた」と感じると、落ち着いて冷静になる保護者も多いのです。

保護者に真摯に対応することが、その子どもへのよりよい教育につながることを念頭において、対応をしていきましょう。

相手に感謝する心をもつ

どんなときでも「感謝の心」をもって対応すると、その思いは自然と相手に伝わるものです。

保護者の意見によって学校側に気づきがもたらされることもあるでしょう。
また、保護者からの貴重な情報が、今後の指導に役立つこともあるはずです。
伝えてくれたことに謝意を示し、あらためて保護者の心情に寄り添ってあげてください。

保護者と良好な関係を築くために日頃から気をつけること

保護者と学校との間で認識の相違が生じたときにもたらされるリアクションは、両者の信頼関係の度合いによって大きく異なるものです。
ここでは、保護者と良好な関係を築くために日頃から気をつけるべきことを4つお伝えします。

表情や声のトーンに気を配る

表情や話し方に気を配ることで、保護者に安心感を与えましょう
「人を判断する基準の9割が目や耳から入る情報である」という実験結果があります。
発言の内容よりも視覚・聴覚から得る印象の方が圧倒的に強いということです。

笑顔」「身だしなみ」を心がけ、「声のトーン」に気を配ることは、保護者とよい関係を築くうえで大切です。

懸念事項に関する連絡はこまめに

トラブルやマイナスな情報こそ早く保護者に伝えることを心がけましょう。
学校より先に、学生の言葉やうわさ話として保護者の心配するような情報が耳に入れば、保護者は不安を抱いてしまいます。

たとえマイナスな情報を聞いたとしても、先生からあらかじめ状況説明を受けていれば、保護者の冷静な判断につながり、不安を抱きにくいでしょう。

事実は正確に伝える

事実を正確に伝えることを心がけましょう。

人間の記憶は時として不確かなため、記憶だけに頼ると、保護者に誤った情報を伝えてしまうことがあるかもしれません。
学生と先生から聞いた情報が異なってしまうと、保護者に不信感や不安を抱かせる原因になります。

正確な情報伝達のために、メモを取ることは非常に有効です。
何かあった場合には、記録を残しておくという習慣をつけましょう。

ちょっとした会話を大切に

保護者と良好な関係を築くために、保護者とのちょっとした会話を大切にしましょう。
学校生活の様子や学生の頑張っている姿などが、保護者の知りたい情報です。
先生側から、気にかかっていることなどがないか尋ねてみましょう。
その「ちょっと」の積み重ねが、有事の際に功を奏すのです。

先生のメンタルヘルス対策として専門学校がすべきこと

学校全体で、先生のメンタルヘルス対策を講じているところも今は少なくありません。
外部の専門機関や企業など、活用できそうなことを検討し、先生のメンタルヘルス対策を適切に進めていきましょう。

ストレスチェックの導入と活用

ストレスチェックとは、メンタルヘルスの不調を未然に防ぐための検査のことです。
ストレスチェックを導入している学校では、保険師などの職員を対象とした講習を専門機関に依頼しているところもあります。

本人の申し出がなくてもカウンセラーを派遣してもらうなど、メンタルヘルスの不調を未然に防ぐ対策は有効です。
アンケートやチェックを導入し、対策のとれた職場環境の「実現」につなげていきましょう

ストレスチェックには、教職員版の「心のケアチェック」のほか、さまざまな職業の人向けの「厚生労働省ストレスチェック※1」など多くの種類があります。
※1:参考「東京メンタルヘルス

保護者の対応に関するサポート体制

保護者との間にくしくもトラブルが起こってしまった場合のために、力を借りられる外部の専門家を確保し、サポート体制を構築しておくとよいでしょう。
いじめや体罰、学級崩壊など、問題が複雑で深刻になってしまった場合、法的な相談ができる相手がいれば力になってもらえます。

文部科学省は2020年にスクールロイヤーを配置する方針を打ち出しました。
専門学校においてもこのような体制作りは必要な時代だといえるでしょう。

まとめ

保護者への対応にストレスを感じている先生に向けて、対応の際のポイントや良好な関係作りのための注意点をご紹介しました。
スムーズな保護者対応のポイントは3つです。

  • 場面ごとに対応策を決めておくこと
  • 「傾聴」「謝罪」「状況説明」「今後の説明」の4ステップを踏んで冷静に対応すること
  • 相手に感謝する心をもつこと

先生という仕事は、業務の内容的にも量的にも、かなりのエネルギーを必要とします。
職場に心強いサポート体制ができていれば、先生たちは安心して業務に取り組むことができるでしょう。

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