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TOP教養学校運営学校の風評被害に関する事例とその対応策

学校の風評被害に関する事例とその対応策

連載IT弁護士が教える!最新インターネット・SNSトラブル

近年、後を絶たないSNS・インターネット上でのトラブル。学生だけではなく、先生個人としてや学校公式のSNS運用においても注意が必要です。 元ITエンジニアで「IT弁護士」として活躍しているモノリス法律事務所代表弁護士、 河瀬弁護士に最新の事例とともにアドバイスしてもらいましょう!

インターネットやSNSの普及に伴い、学校に関するクチコミや評判が瞬く間に広がる時代となりました。時には事実と異なる情報が拡散され、学校の信頼やイメージに大きな影響を及ぼすこともあり、学校にも風評被害への対応策を講じることが求められています。

そこで本記事では、インターネット上の学校に関する風評被害の事例と、その対応策について解説します。

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近年における学校の風評被害

一昔前のインターネットにおける学校の風評被害は、主に学校専用の口コミサイトなどを通じて発生していました。在校生や卒業生を名乗る匿名アカウントによって投稿される情報には、いじめや体罰に関するネガティブなものが含まれていましたが、閲覧者はサイトの利用者に限られるため、学校の風評被害が顕在化するケースはそこまで多くはありませんでした。

しかし近年、SNSの普及により、学校の風評被害はより多様で深刻な形に変化しています。SNSは、学生を中心とした若い世代のユーザー層が多く、また、即時性と拡散力に優れていることから、特に学校に関する話題は瞬時に広範囲へ広がり、大きな反響を呼ぶことがあります。

例えば、ある大学の部活動での不祥事がSNS上で拡散されて炎上した際、その不祥事の内容だけでなく、大学側の対応までもが注目され、長期間にわたり大学全体の評判に影響を及ぼしました。また、学生の私生活上の問題行動がSNSで炎上し、氏名や学校名が特定されることで学校の風評被害につながるケースも近年増加しています。

このように、SNSを通じた風評は、即時にかつ爆発的に拡散される傾向があり、主に次のような影響を引き起こします。

  • 誤情報の拡散
  • 苦情などへの対応
  • 在校生の不安増大
  • 入学希望者の減少 

学校の風評被害が生じる主な原因

以上のように多様化・深刻化する学校の風評被害に対して対処するには、まずその原因を知っておくことが重要です。そこで以下では、近年における学校の風評被害に共通する3つの要因について解説します。

1. 情報の不確実性と発信不足

まず、SNSでは、それが事実であるか否かにかかわらず、話題性のある情報は即座に拡散されます。また、事実が不確実な中で拡散される情報は、より煽情的な方向に流される傾向にあります。だからこそ、学校による迅速で適切な情報発信が何よりも重要です。初期段階で適切な対応をして、正確な情報を発信することで、事実と異なる情報が広まるリスクを軽減することができます。

2. 迅速な対応の難しさ

とはいえ、SNSの拡散力は凄まじく、初動で迅速かつ適切に対処することは難しいのが現実です。学校が事実確認などを行い、適切な対応をするまでに時間がかかります。結果として「隠蔽している」といった憶測が広まり、風評被害がさらに深刻化する場合もあります。そのため、事前にリスクを見越した対策を講じ、情報が拡散された際に即座に対応できる体制を整えておくことが重要です。

3. 不適切なコミュニケーション

風評被害が発生した際の対応が不十分であれば、事態は悪化します。たとえば、不祥事に対する表面的な謝罪は「責任逃れ」と批判され、かえって学校全体の信用を失うことに繋がりかねません。適切な対応と誠実なコミュニケーションがなければ、風評被害は長期間残り続けてしまうでしょう。

学校の風評被害への対策と対応

風評被害を最小限に抑えるためには、次のような対策と対応が有効です。

1. 危機管理体制の構築とモニタリング

風評被害が発生した際には、迅速かつ効果的な対応が求められます。まずは、危機管理体制を構築し、情報の収集・発信体制や関係者の役割分担、メディア対応の方針を明確にすることが重要です。事前にさまざまなシナリオを想定し、当該シナリオに応じたリスク管理と対応計画を策定しておくことで、風評被害の発生時に迅速に対応できます。加えて、定期的なモニタリングを行うことで、問題が発生する前に兆候を察知し、未然に対策を講じることで、より迅速で効果的な対応が可能です。

2. 透明性のある情報発信とコミュニケーション

風評被害が発生した際には、迅速かつ透明性のある情報発信が求められます。学校側は、事実に基づいた正確な情報を公式サイトやSNS、プレスリリースなどを通じて定期的に更新し、不安や誤解を最小限に抑えましょう。一貫性のあるコミュニケーションを行うことで、関係者との信頼関係を築き、風評被害の拡大を防げます。

3. その他の対策・対応

場合に応じて外部の専門家と連携することも必要です。学内の不祥事が法的問題に発展する場合も少なくなく、また、学生の精神面でのサポートが必要な場合もあるでしょう。置かれている状況に応じて外部の専門家と連携することで、労力を適切に分配し、いち早く事態を収束することができます。

まとめ

近年では、学校にとっても風評被害への対策は重要です。SNSの影響で風評被害が多様化・深刻化し、迅速な対応が求められるなか、適切な危機管理体制を構築し、情報発信を透明にすることが、風評被害を防ぐ鍵となります。また、場合によっては外部の専門家と連携しながらこれらの対策を講じることで、学校の信頼を守り、風評被害を最小限に抑えることにつながるでしょう。

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河瀬弁護士に監修いただいた書籍「SNS・ネットで違法行為をしないためのガイドブック」(ウイネット)では、実際に起こり得る身近な例をもとに、SNSやインターネットで誰もが起こしてしまう可能性がある違法行為のリスクや、その防ぎ方を学べます。学生に伝わりやすいよう、トラブル例は漫画で紹介、法律違反もイラスト付きでやさしく解説しています。グループワークなどで使用できるトラブルクイズも掲載。学生がSNSやネットをより安全に使用できるようにするための指南書です。

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この記事を書いた人
河瀬 季

河瀬 季

モノリス法律事務所 代表弁護士
小3でプログラミングを始め、19歳よりIT事業を開始。
ベンチャー経営を経て、東京大学法科大学院に入学し、弁護士に。
モノリス法律事務所を設立し、ITへの知見を活かして、IT・ベンチャー企業を中心に累計1,297社をクライアントとしている。
モノリス法律事務所:https://monolith.law/

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