連載大原先生の学生指導のすゝめ
動機づけ教育プログラム「実践行動学」を開発する「実践行動学研究所」大原専務理事の学生指導のすゝめ。 学習塾での指導歴25年の大原先生が、実例を用いて学生への接し方をお伝えするシリーズです。 テンポのよいユニークな文章は、一度読んだらハマること間違いなし。
学校生活でもそれ以外でも、学生が目標を持つというのは素晴らしいことです。先生の中にも、目標を立てて物事に取り組まれている方が多いのではないでしょうか。
ただせっかく目標を立てても、忘れたり、あまり意識しないで過ごしたりしたらもったいないですよね。「目標を立てただけ」で終わらないようにするには、一体どうすればいいのでしょうか。
今回は、「目標を忘れないようにする2つの工夫」について、実践行動学研究所 大原幸夫専務理事から寄稿していただきました。
目次
ガジュマルのマルちゃん
今、会社の私のデスクには、鉢植えのガジュマルが置いてあります。ここでは仮称マルちゃんと呼ぶことにします。
マルちゃんは2021年6月に購入して以来、ずっと私の仕事ぶりを見守ってくれてます。殺風景なオフィスにあって、いつも私に癒やしを与えてくれる相棒です。
さてマルちゃんは、私のもとに来てから少しずつ伸びてはいたものの、それほど大きくはなっていませんでした。
ところがこの夏、あることをきっかけに急成長し、今は見違えるように立派になりました。こちらに写真をアップしましたので、もしよかったら成長ぶりをご覧ください。幹から1本の手が握手をするように横に伸びているのが見て取れると思います。ウソ偽りなく、どちらも同じマルちゃんです。
さて、マルちゃんはどうして急成長したと思いますか。
そのきっかけとなった“あること”とは?
ちなみに日々の水やりなどは何も変えていません。
マルちゃんが急成長したきっかけ。
それは何と!!!!!!!
“鉢の植え替え”でした!
…普通の答えで申し訳ない(笑)。
うす緑色の若葉が日々増えていくマルちゃんを見ていて、「そうだよねぇ」と腑に落ちたことがあります。
それは、成長のためのもっとも重要な条件は、“根を張れる環境かどうか”ということ。私は、日々のお世話をがんばったわけでも、マルちゃんのモチベーションを上げたわけでもありません(笑)。
ただ、環境を変えただけ。
根を張れる環境を得たマルちゃんは、私にことわりなく自ら成長していきました。逆に言えば、小さな鉢のままではどんなにたくさんの水や肥料を与えようと、成長しないどころか、下手をしたら根腐れを起こしてしまったかもしれません。
「根を張る子は、自ら育つ」のです。
だって、生命にはもともと「成長したいという本能」があるわけですから。
「子は育ててあげる存在でなく、自ら育つ存在である」。
そんな眼差しで見守っていきたいなぁと思います。
目標に向かって努力し続けるには
さて、今年も早いもので半分が過ぎました。年初に目標を立てた方も多いと思います。その目標は今、どうなっていますか?
「え~っと…」って感じ?
ぜんぜん自慢になりませんが、私は目標に向かって努力を継続することがほんの少し苦手です。ほんの少しだけ(笑)。
けど、苦手だからこその工夫もあります。今日は、私みたいに続けることが苦手な方にオススメの方法をご紹介したいと思います。
1.「在り方」を短いキーワードで目標にする
私がやっている工夫というのは、「在り方&仕組み化」の2つ。
1つめの工夫は、「在り方を目標にする」です。1年の目標を立てていると、あれもこれもとたくさん出てきますが、私は心の真ん中に置いておける情報量のキャパが大きくありません。
だから、いろいろ思い描いた結果、「それって結局、自分がどう在りたいのか?」というキーワードをつくることにしました。「何をやるか?」も大事ですけど、「どう在るか?」はもっと大事です。
こんな自分になれたらいいな、というイメージを短いキーワードで言葉にしてみます。できるだけ思い出しやすいようにひとことで言い切る言葉がベストです。
数は2個か3個と決めています。私には「なんだっけな~」とならない個数の限界が3個というわけです(苦笑)。
キーワードの考え方
- 目標をBe(在り方)、Do(行動)、Have(得たい結果)に分けるとするなら、あなたのBeはどんな言葉で表されますか?
- 大事にしたい価値観は何ですか?
- どんな自分で毎日が過ごせたら気持ちいいですか?
心に響く言葉を、改めて探ってみてはいかがでしょうか。
2.目標を忘れない「仕組み化」をする
いくら短いキーワードにしたとしても、日常的に触れていないといつの間にかどこかに消えてしまうのが目標というもの(私の経験調べ)。
そこでやっておきたい2つめの工夫が「仕組み化」です。
これはコーチングのスキルをそのまま自分にも活用しました。
「仕組み化」とは、目標をリマインドしたり振り返ったりするためのツールを持つ、ということです。毎日の生活に溶け込む仕組みなら何でもOK!
例えば…
- 手帳に書く
- スマホの待ち受けにする
- 毎日寝る前に振り返ってアプリに記録する
- イメージ化した絵や写真を机に飾る(作る過程も記憶に残ってグッド!)
- 目標を象徴するグッズを買って身につける(身につけるたび、見るたびに思い出す)
などなど…。
実を言うと、最初に紹介したマルちゃんは、ある目標を忘れないようにするための仕組みとして、デスクに置いている相棒なのでした。
※この記事は、実践行動学研究所のメールマガジン「しなやかな心と学ぶ力が育つメルマガ Colorful Times」216号と218号を再編集したものです。
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大原 幸夫
一般社団法人実践行動学研究所 専務理事
学習塾に25年勤務。その後小~中学校向けのワークショップの開発、及びファシリテーターの育成に従事している。またコーチング研修等の講師・講演を行う専門家でもある。