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TOP教養その他先生・学生との間に感じる価値観の違い。どう関わる?

先生・学生との間に感じる価値観の違い。どう関わる?

2024.09.09 その他 学校運営

連載専⾨学校の先⽣に贈る「働きやすい学校への道」

働きやすい職場づくりには、「人間関係を円滑にすること」が何より大切!この連載では「楽しくはたらく人・チームを増やす」をテーマに活動を行うNPO法人「しごとのみらい」の竹内さんが、コミュニケーション術やチーム⼒を上げるアイデアを伝授。実践すれば、より働きやすい学校へブラッシュアップすること間違いなし!

しごとのみらいの竹内義晴です。本連載では、専門学校の先生方に向けて、ほかの先生や学生のみなさんとの⼈間関係やコミュニケーション、働きやすい職場づくり、ハラスメントや世代間ギャップの課題解決についてお話ししています。

今回のテーマは「価値観が異なる先生や学生との関わり方」についてです。

専門学校という職場は、下は10代の学生から上はベテランの先生まで、本当に多様な世代、経験をもった方々が関わっている職場です。それだけに、同僚の先生や学生と関わる中で、「なぜ、あんな行動を取るのだろう?」このように、相手のことが理解できないことはありませんか?

たとえば、指導が熱心すぎる先生に対して「あれは、ハラスメントに当たるのではないか?」と感じることもあるかもしれません。あるいは、そうした先生への指導に「なぜ、あんな行動を取るのだろう?」「どうにかできないか?」とストレスを感じるかもしれません。

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そもそも、人は多様である

自分と相手との間に価値観や行動の違いを感じるとき、「これだから〇〇世代は……」のように、ある世代をひとくくりにするケースがよくあります。だからといって「これだから〇〇世代は……」とストレートに接してしまうと、世代間の分断を生んでしまいます。

そこで、「そもそも、人は多様である」と考えてみるのはどうでしょうか?相手を変えるのは難しいものです。だからといって、相手の価値観に無理に合わせようとしたり、バチバチ対立すると、余計ストレスに感じてしまいます。そこで「人はそれぞれ違うのだから、価値観は違って当然」を前提にしておく。

こうすることで、ストレスが少し和らぐのではないかと思います。

「何が、相手に」その言動をさせるのか?

価値観が違う相手との関係を改善しようとするとき、「なぜ、〇〇さんは、あんな言動をするのだろう?」と、相手の「言動の背景」を考えることがあります。

相手の言動の背景を考えるとき、わたしは「なぜ、〇〇さんは……」ではなく、「何が、〇〇さんに、あんな言動をさせるのだろう?」と考えるようにしています。

というのも、人の価値観は、その人が生まれてからこれまでに至るまでの経験によってできています。それは本人の経験だけではなく、社会や学校における教育など、本人の意思とは直接関係のない影響も色濃く受けています。

たとえば、上の世代の人たちがパワハラのような言動をしてしまうのは、その世代の人たちが、さらに上の世代から、そのような関わり方をされてきたからです。

だからといって、「上の世代からそのような関わり方をされてきたのだから仕方がない」と、相手の言動を許す……というわけではもちろんありません。パワハラのような言動がいいはずはありません。しかし、単に「これだから、〇〇世代はダメなんだ」というように否定的に見るよりも、「何が、〇〇さんに、あんな言動をさせるのだろう?」と考えることによって、相手のことが少し理解できるかもしれません。

学生に対してもそうです。自分が望む行動をしないとき、「なぜ最近の学生は……」のように、「なぜ?」という問いを使って、相手の言動の背景を考えます。この問いを「なぜ、〇〇さんは」から、「何が、〇〇さんに」に変えることで、相手の言動のみならず、社会や時代の背景を含めた、客観的な視点から捉えることができます。

もちろん、相手の言動を客観的に捉えたからといって、すべてが理解できるわけではないでしょう(その必要もありません)。ですが、相手にもさまざまな事情があることを想像できたとき、硬くなっているこころの状態が、少しやわらかくなるのではないかと思います。

ポイントは「なぜ、〇〇さんは」ではなく、「何が、〇〇さんに」です。

You are OK, I am OK—相手を否定せずに自分の意見を伝える関わり方

とはいえ、相手のことを理解しただけでは、相手との関係は改善しませんし、「本当は、もっと〇〇してくれたらいいのに」という自分の意見を伝えることもできません。

そこで、相手に嫌な思いを過度に抱かせず、自分の意見を伝える方法についてお伝えします。その1つが「You are OK, I am OK」という表現方法です。

相手の言動が自分と異なるとき、一般的には「あなたの〇〇は正しくないよ。本来は〇〇にすべきだよ」のように伝えるケースが多いと思います。この状態を英語で示すと、「You are not OK, I am OK」の状態、つまり「あなたは正しくない。わたしは正しい」です。この表現は、相手のことをいったん否定するために、反感を抱かせる恐れがあります。

そこで、「You are OK, I am OK」を意識してみます。つまり「あなたは正しい。わたしも正しい」です。具体的には「あなたの意見は〇〇なのですね。わたしの意見は□□です」のような感じです。

たとえば、やや熱心すぎる指導が気になる先生がいた場合、「その指導は、ややもするとパワハラにあたりますよ。言動に気を付けてください」のようにストレートに伝えると、関係がギクシャクしてしまうでしょう。

ここで、「You are OK, I am OK」を意識してみます。「熱心な指導も、時には大切かもしれませんね。わたしは、本人が自分の意思で学ぶことが大切だと思っています」のような形だと、バチバチやり合う感じは防げそうです。

もちろん、実際に「伝えよう」と思うと、なかなか言えないのが本音だと思います(というより、怖いですよね)。また、コミュニケーションは「〇〇と言えば、□□になる」というほど簡単なものではありません。

大切なのは「こういう場合、ほかにどんな言い方があるだろう?」という選択肢を持っておくこと。その場では、伝えるのが難しくても、ほかの場では生きるかもしれません。一人ひとりの「職場をよりよい環境にしていこう」という思いと小さな行動が、環境を少しずつ、でも確実に変えていくのだと思います。

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この記事を書いた人
竹内 義晴

竹内 義晴

特定非営利活動法人しごとのみらい 理事長
企業研修や講演を通じて理想の働き方を支援する「しごとのみらい」理事長。元はプログラマー。職場の人間関係でストレスを抱えたことをきっかけに、コミュニケーション心理学やコーチングを学ぶ。また、サイボウズ株式会社にてブランディングやマーケティングを担当し、「複業」など新しい働き方を実践している。著書に『Z世代・さとり世代の上司になったら読む本 引っ張ってもついてこない時代の「個性」に寄り添うマネジメント(翔泳社)』など。
しごとのみらい:https://shigotonomirai.com

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