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学生を狙う闇バイトとは?見分け方や学校側ができることを解説

2023.03.15 (最終更新:2023.03.17) 記事 教務情報

最近ニュースで大きく取り上げられている闇バイト。2022年から相次いだ強盗事件の実行役は、いずれも闇バイトへの応募がきっかけでした。

彼らの指示役だった「ルフィ」と呼ばれる4人の容疑者は逮捕されましたが、ほかにも同じような犯罪が横行していると推測されています。

そもそも闇バイトとは、具体的にどのような内容を指すのでしょうか。本記事では闇バイトの基礎知識や、話題となった「ルフィ広域強盗事件」をわかりやすくまとめました。

闇バイトの見分け方や学生を守るための対策にも触れていますので、ぜひ最後までご覧ください。

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闇バイトとは?

闇バイトは、犯罪に抵触する行為と引き換えに報酬を得るアルバイトを指します。誰でもアクセスできるサイトやSNS上で募集しているため、インターネットを日常的に使っている人なら目にする可能性があるでしょう。

闇バイトであることを隠しているケースも多く「誰でもできる簡単な作業で1日5万円」など甘い言葉で募集しているため、つい応募したくなるかもしれません。しかし、気づいたら犯罪に加担してしまっているリスクが高いのです。

ここでは闇バイトの種類や、勧誘の手口を解説します。

闇バイトの種類

闇バイトに分類される違法行為は多くありますが、代表的な種類は以下のとおりです。

  • 振り込め詐欺(特殊詐欺)
  • 名義貸し(口座レンタル)
  • パチンコ・スロットの打ち子
  • 出会い系サイトのサクラ
  • 売春やデリヘル
  • 薬物の運び屋
  • 違法の看板貼り

上記はすべて犯罪行為です。作業自体は簡単かつ高収入なので、おいしい仕事のように見えるでしょう。しかし、このような行為に加担すれば犯罪の片棒を担ぐことになるのです。

また最近、若い女性の注目が集まっている「パパ活」。20歳以上の女性が謝礼を受け取り、男性と食事する行為自体は違法ではありません。

しかし、金銭が絡むためにトラブルが絶えないのが現状です。関係がこじれれば危害を加えられることもあるため、闇バイト同様に避けるべき行為といえます。

募集はSNSが主流

闇バイトは通常の求人雑誌に掲載できません。そのため、SNSやインターネット上の掲示板を使って募集する手口が主流です。

TwitterやInstagramで「初心者大歓迎!」「簡単に高収入!」「割の良い仕事あります」などのキーワードを目にしたことはないでしょうか。

怪しいバイト募集(Twitterより)

すべてとは言えませんが、それらは闇バイトの可能性が高いでしょう。

学生や「お金がない」「稼ぎたい」と投稿している人を狙い、SNSのダイレクトメール機能を使って接触してくるケースもあります。

一度手を出したら抜けられない可能性

「1回だけやってみようかな」と、安易な気持ちで闇バイトに手を出すのは非常に危険です。なぜなら多くの場合、応募時に身分証明書や電話番号など個人情報を提出する必要があるからです。

もし応募者が途中で怖くなって逃げようとしても、提出した個人情報を使って「学校にばらしてやる」「SNSに晒してやる」などと脅してくるでしょう。つまり、一度手を出したら抜けられない可能性が高いのです。

「やらなければよかった」と後悔しないためには、怪しい求人には手を出してはいけません。

闇バイトが再注目されるきっかけとなった「ルフィ広域強盗事件」とは?

闇バイト自体は以前から存在していますが、再注目されるようになったきっかけが「ルフィ広域強盗事件」です。

2022年から関東圏を中心に強盗事件が相次いで発生しました。その数なんと30件以上。3人組以上で押し入り、家主の手首を縛ったりハンマーで脅したりして、金品を奪う手口を繰り返していたようです。

そして2023年1月。金品を奪うだけでなく、90歳の女性が強盗団によって殺害される痛ましい事件が発生しました。深刻な状況が続きましたが、犯行を指示する「ルフィ」を名乗る人物が捜査線上に浮かびます。

ルフィの通話履歴を辿ったところ、正体はフィリピンの収容所に収容されていた日本人4人でした。2023年1月には日本側がフィリピンに送還を要請します。翌月9日には4人全員移送が完了し、ルフィは逮捕されました。

ルフィの指示で動いていた実行犯は、いずれも闇バイトの募集で集まった人たちだということが捜査で判明しています。

そして今でもSNS上には、闇バイトと思われる募集が散見されます。今回の事件は氷山の一角といえるでしょう。

なぜ闇バイトに手を出してしまうのか?

「怪しい」「やってはいけない」と想像がつくにもかかわらず、なぜ学生は闇バイトに手を出してしまうのでしょうか。主なきっかけは3つ考えられます。

  • 生活に困っているから
  • 遊ぶお金が欲しいから
  • 先輩や友達に誘われたから

それぞれ解説します。

生活に困っているから

学費をアルバイト代から捻出する学生は多くいます。一人暮らしをしているなら、家賃や光熱費など生活費も稼がなければなりません。

しかし、思うようにシフトに入れなかったり、学業が忙しいために働けなかったりして生活費に困ることもあるでしょう。そして効率良く稼げる方法がないか探した結果、闇バイトの求人を見つけてしまうのです。

特に2020年の新型コロナウイルスの流行下では、アルバイトの求人が激減して生活費と学費が払えず退学せざるを得ない学生もいました。なんとか生活するために、危ないとわかりながらも手を出してしまう学生が急増したようです。

遊ぶお金が欲しいから

生活には困っていないけれど、ラクして遊ぶお金を手に入れたいという欲求から手を出してしまうケースもあります。地域にもよりますが、学生アルバイトの時給相場は1,000円前後。仮に時給1,000円だと仮定すると、10,000円を稼ぐためには10時間必要です。

しかし、学生の場合は学業もおろそかにはできません。そんなときに「誰でもできる簡単な作業で1日2万円」などのキーワードを目にしたら…。

闇バイトに関する知識を持っていない学生のなかには、安易に手を出してしまう人もいるでしょう。

先輩や友達に誘われたから

友人や先輩からの誘いがきっかけで始めるパターンもあります。「簡単に稼げるバイトがある」と親しい友人から言われたら、興味を持つ学生は多いでしょう。

実際に身近で稼いでいる友人がいて、特に問題なさそうであれば「自分もやってみようかな」という気持ちになってしまうのは当然です。

しかし、作業内容が犯罪行為に該当すれば逮捕される可能性があります。どんなに親しい友人からの誘いでも、怪しい話に乗ってはいけません。

危険な闇バイトの見分け方

SNSやWebサイトに潜み、学生を狙っている闇バイト。通常のアルバイトだと思って応募したら闇バイトだったなんてことも。ここでは危険な闇バイトの見分け方を解説します。

  • 条件が良すぎる
  • 仕事内容が曖昧
  • 連絡手段がTelegram(テレグラム)

それぞれ見ていきましょう。

条件が良すぎる

「時給5000円〜」「1日5万円〜」など、極端に高額な報酬を提示している求人は要注意です。よほどの専門知識や特別なスキルが求められる仕事でない限り、高額な報酬をもらえることはありません。

最近ではYouTubeやインターネットビジネスで高収入を得る学生も登場していますが、それらは本人の努力の結果といえるでしょう。ラクして大きく稼いでいるように見えて、コツコツと行動した成果なのです。

簡単な作業内容に対して通常ではありえない報酬額を提示している場合は、犯罪に加担している可能性が高いでしょう。

仕事内容が曖昧

「運ぶだけ」「渡すだけ」「話すだけ」など、仕事内容が曖昧な場合も、闇バイトを疑うべきです。たとえば最近、持続化給付金の仕組みを利用した詐欺が問題となりました。

「簡単な書類に記入するだけで10万円」という謳い文句で闇バイトを募集し、不正に受け取った持続化給付金100万円のうち、10万円を実行犯に支払うといった内容です。犯罪と知らずに手を染めてしまった学生は多くいました。

アルバイトを探す際は、報酬だけでなく仕事内容や求人元も確認しなければなりません。疑問があれば確認し、はっきりした回答が得られなければ手を出さないようにしましょう。

連絡手段がTelegram(テレグラム)

闇バイトを募集する犯罪集団が好んで使っている連絡手段がTelegramです。基本的に闇バイトはTwitterやInstagramで募集されることが多いですが、応募後はTelegramに誘導されます。

Telegramとは匿名でやりとりできるメッセージアプリで、メッセージを自動削除できる機能もあります。これを悪用して、犯罪を指示した証拠が残らないようにしているのです。

求人元の所在地や連絡先が明記されていない求人は非常に危険。具体的な連絡先がなく「気になる人はDMお待ちしてます」などと記載されている場合は、応募を避けましょう。

学生を闇バイトから守るためにできること

犯罪集団は、知識がなく誘惑に負けやすい学生を狙ってきます。悪質な犯罪から学生を守るために学校側ができることをまとめました。

  • 闇バイトの危険性を共有する
  • SNSの使い方を指導する
  • 変化に気づけるようコミュニケーションを密にとる

それぞれ解説します。

闇バイトの危険性を共有する

闇バイトの危険性を共有しましょう。なかにはゲーム感覚で、悪いことをしている自覚がない学生もいるようです。しかし、どんなに生活に困っていても、遊ぶお金が欲しくても、安易に手を出してはいけません。

簡単な作業で直接人を傷つけていないとしても、やっていることは犯罪行為です。一度手を染めれば警察に捕まって将来が台無しになるリスクがあります。

途中で気づいても元には戻れません。犯罪集団側に脅されて足を洗いたくても洗えず、恐怖に怯えながら毎日を過ごすことになります。闇バイトだとわかった時点で絶対に手を出さないように指導しましょう。

SNSの使い方を指導する

多くの学生が使っているSNS。SNS上のやり取りがきっかけで人間関係が広がっていくことも、Z世代にとっては当たり前のことです。しかし、なかには年齢や性別を偽って近づいてくる人もいます。

共通の趣味があると嘘をついて親近感を抱かせ、闇バイトに誘ってくるケースもあるでしょう。顔が見えない相手とのやり取りにはリスクがあることを、改めて理解してもらう必要があります。

  • 会ったことがない人からの誘いは受けない
  • 甘い言葉の投稿に反応しない
  • 「#闇バイト」「#高額バイト」などのハッシュタグがついた投稿は無視

上記を徹底するように指導しましょう。

変化に気づけるようコミュニケーションを密にとる

普段から学生との信頼関係を構築しておくことも大切です。悩みを打ち明けられる雰囲気を作ることで、闇バイトに手を出す学生を減らせるかもしれません。

また急に金回りが良くなった学生にも注意が必要です。様子がおかしいと感じたら声をかけ、気にかけている姿勢を伝えましょう。

すでに手を出していて抜けられず、困っている状態となっている可能性もあります。そのようなときに備えて、相談できる機関も把握しておくとよいでしょう。

まとめ

闇バイトの現状と見極め方、学生を守るための対処法を解説しました。生活に困っているときや、心が弱っているときは誘惑に負けそうになるもの。いつもは見向きもしない怪しい話にも手を出してしまうかもしれません。

しかし、おいしい話には必ず裏があります。学生を犯罪に巻き込まないためにも闇バイトの危険性を共有し、常に学生の様子に目を配るようにしましょう。

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