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内定がゴールではない 〜目指すはその先にあるもの〜

2021.12.10 (最終更新:2024.03.27) その他 教務情報

連載withコロナ・afterコロナの就職活動最前線

2020年、新型コロナウイルス感染症の拡大によって一変した就職活動。翻弄された学生たちや特に多大な影響を受けた業界の様子、afterコロナに向けた展望まで、就活支援や企業の社員研修に精通した川口先生が最前線からレポートします。

皆さん、こんにちは。
ついにこの連載のシリーズも最終回を迎えることになりました。
桜満開の4月からスタートし、この記事を執筆している今は紅葉真っ盛りの11月。
早いもので今年を振り返る季節となりました。
皆さんにとって、2021年はどんな年だったでしょうか。

最終回は「内定がゴールではない 〜目指すはその先にあるもの〜」です。

この連載では主に「学生の就職」をテーマにして現状をレポートしてきました。
就職指導の一つの区切りは「内定」、そして春になれば学生たちは卒業し、学校を離れていきます。
しかし、憧れの職業・職場に就職できた学生にとってもできなかった学生にとっても、内定はゴールではなく、職業人としてのスタート地点です。

今回は、今までの連載に登場した卒業生たちの「その後」、「今」をお伝えしたいと思います。

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卒業生たちは今

まずは第1回で登場した、航空業界を目指していたものの新型コロナウイルス感染拡大により採用が中止となってしまい、別の道へ進んだ3人の現在の様子をご紹介します。

1人目は、大手英会話スクールの英語の先生として、同期の仲間と励まし合いながら頑張っています。
TOEICのスコアも上げ、学生や社会人のレッスンを担当できるまでになっています。

2人目は、老舗有名ホテルに入社し、ベッドメーキング、清掃、レストラン、ベルなど研修を積み、現在はフロントで接客を磨いています。

3人目は、一番劇的な半年を過ごしてきました。
4月に入社した中古車販売の会社を2か月で辞め、次にリゾートホテルのレストラン業務に転職しましたが退職。
現在はこども英会話スクールの先生をしています。

3人に共通していることは、将来CA・グランドスタッフになるという夢は少しも揺るぎなく、それぞれの場所で英語や接客のスキルアップをしながら、挑戦する日を夢見て働いているということです。

* * *

「3人目の卒業生は何があって2か月で辞めてしまったんだろう」とお思いになったでしょうか。

入社からたった2か月で退職の相談を受けた際、私も一度は「もう少しやってみたら」と助言しました。

その教え子が中古車販売の会社に決めた理由は、社長から「CAになる夢を応援する」と言ってもらえたからでした。
採用担当者からも「それぞれの夢を実現すればいい」という社風なのだと聞いていて、魅力的に映りました。

ところが、入社後には厳しい現実に直面します。
中古車販売の仕事はシビアで、営業職として入社した教え子には売上が強く求められました。
教え子は早くも現実と理想とのギャップ、学生と社会人とのギャップに苦しみました。
さらには何度も社長室に呼ばれて怒鳴られるようになり、精神的に追い詰められてしまいました。

初めての就職では誰しもある程度のギャップを感じるものですし、辛抱が必要なこともあります。
しかし、この教え子の場合、転職して解き放たれたような笑顔でのびのび働いている姿を見ると、これでよかったのではないかと感じます。

就活生は内定までをゴールにしてしまいがちですが、就職してからのほうがよほど大変なのです。

* * *

第3回に登場したスリランカからの留学生は、空港の検疫案内スタッフとして職場の仲間と楽しく働いている様子をつい最近、写真に撮って送ってくれました。

写真に添えられた、コロナ禍でも夢だった空港で働ける毎日への感謝をつづったコメントを読んで、大変嬉しくなりました。
就労ビザを取得したことでビザが切れる心配をせずに日本で働ける喜びをかみしめながら、日々過ごしています。
多くの留学生がこのように安心して働けるよう、引き続き就職サポートに取り組んでいこうと気持ちを新たにしました。

* * *

最後に、第5回に登場した、4月に地元の空港のグランドスタッフとして入社し、5月に遠く離れた地方空港に出向になった教え子の話です。

同期はいろいろな空港に散らばっていて、教え子と出向先の同じ同期はいないとのこと。
コロナ禍でなかなか実家に帰ることもできず、出向先の上司との折り合いもあまりよくなく職場の雰囲気にも馴染めていない……などと聞いていて、心配していました。

そのような中、先日、社内で表彰を受けた!と賞状の写真とともに報告を受けました。
その表彰は接客の優れたスタッフに与えられるもの。
頑張っている姿にとても心を打たれました。
今、自分にできることは何か」を常に考えて行動した結果が、表彰という形で評価されたのだと思います。
出向を終えるのは2年先ですが、たくましくなって帰ってくるのが楽しみです。

最後に

航空業界に進んだ教え子たちの多くは、コロナ禍で異業種への出向を余儀なくされながらも慣れない環境で一生懸命頑張ったり、一度は職を失いながらも新しい職場で奮闘していたりします。
そして、昨年から今年にかけて、就活生が夢を断念せざるをえないという状況をみてきました。

この記事の執筆時点では、緊急事態宣言も解除となり、ワクチン接種の普及で国内線は回復の兆しがみえてきています。
しかし、国際線の回復はまだしばらく先になりそうです。
これから就活を控える学生は、まだ厳しい情勢ですが、採用再開に向けて受験準備をしておくのがベストだと思います。
航空業界で不安定な状況に置かれている卒業生たちには、今置かれている環境で成果を出せるように、1日1日を大切に過ごしてほしいと願います。

最後になりましたが、航空業界関係者・志望者だけでなく、コロナ禍で平時とは異なる就職活動への対応を強いられた学生たち、学生を支える先生方、すべての皆さんに伝えたい言葉を贈ります。
「明けない夜はない」

内定がゴールではなく、目指すはその先にあるもの。あなたは何が見えますか?

約半年間、ありがとうございました。また皆さまにお会いできるのを楽しみにしています。

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この記事を書いた人
川口 晴美

川口 晴美

元日本航空グランドスタッフ。在職14年の間、JAL「サービスの達人」社長賞や社内接客大賞「ホスピタリティ賞」受賞。全国各地の空港で指導教官として勤務。退職後、大学、専門学校の非常勤講師として客室乗務員やグランドスタッフを多数輩出。現在は、大学、専門学校(医療系、留学生)高校、NHK文化センターで教える。
オフィス川口(G-mother)を設立し、学生の就活サポート、各種検定、企業研修を手掛ける。サーティファイ認定会場。

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