連載大原先生の学生指導のすゝめ
動機づけ教育プログラム「実践行動学」を開発する「実践行動学研究所」大原専務理事の学生指導のすゝめ。 学習塾での指導歴25年の大原先生が、実例を用いて学生への接し方をお伝えするシリーズです。 テンポのよいユニークな文章は、一度読んだらハマること間違いなし。
会議やディスカッションにおいて重要な「ファシリテーション」。
後述の大原氏によると単なる司会進行ではなく、「グループの知的相互作用を促進する働き」を指すのだそうです。「どのような技術なのだろう?」と興味のある先生も多いのではないでしょうか。
今回は、教室などで 「ファシリテーション」を行う際の話し合いを深めるコツについて、実践行動学研究所 大原幸夫専務理事から寄稿していただきました。
目次
「発表会」で終わらせないためのファシリテーション
私は今、オンラインのファシリテーション講座を新たに始めようと、あれこれ考え中です。そこで、「どんな内容があるといいと思う?」と一緒に働いているNさんに聞いてみたところ、こんな答えが返って来ました。
「最後の発表を、ただの発表会にしない方法が知りたいです」
彼女曰く、私(筆者)がファシリテーションを行うときは、ただの発表会にはならずに、そこから深まったり気づきが生まれたりする印象があるそうなんです。「どうしたらそれができるのかが分かる講座なら受けてみたい」とのこと。
そう言われてみて、「ん?自分はどうしているのかな??」と…。
ファシリテーターにはさまざまなタイプがいると思いますが、私は、「感覚」とか「直感」を大切にしているので、改めて聞かれると具体的に説明するのが難しい…(苦笑)。
「私は一体、何をやっているんだろう?」
議論を深めるための2つのコツ
むむむ~っとがんばったら、2つのコツが浮かびました。
有料講座のために考えましたが、ここでお話しちゃいます。
(1)話の方向性にアンテナを張る
まず浮かんだのが、話の「方向性」を聞き取ること。「いま、話はどっちに向かっているのか?」に意識を向けます。
「ワイワイと盛り上がって、上へ上へと昇ってるな~」
「思考がグッと地下深くに潜り込んで行ってるな~」
「たくさん意見を出し合って場が広がってるな~」
「結論に向かう収束のエネルギーだな~」
「みんな固まっていてなかなか動かんな~」
など…。
どうやら私は、そういうことを感じ取りながら、場のハンドルを握っているみたいです。で、このとき最も大事なのは、「この話はどこにも向かってないな~」という感覚に敏感であることです。
ぶっちゃけると、この感覚さえ使えるようになれば、話し合いの成果は格段に上がると思います。
私の場合は、気持ちがザワザワするサインがやって来るので、そのタイミングで「今、この話はどこに向かってる?」とか「みんなは何について話してるの?」ということを率直に聞くようにしています。
ポイントは、「何とかしなくちゃ!」(滝汗)のようになって一人で背負わないこと。参加者を信じて委ねれば、自然によき方向に流れていくと考えてOKです。
100%ではありませんけど(笑)。
(2) オープンに感想を言葉にして「どう思う?」と聞いてみる
「ファシリテーターは中立性を保つことが大事なので自分の意見は言わない」という流儀もありますが、私は役に立ちそうだと感じたらけっこうしゃべっちゃうタイプです(笑)。
ただし、「私はこう思った」で終わらせずに、参加者のレスポンスを聴くために質問で終わらせることを心がけています。
そうすると、さらに一段深い思考になったり、まったく別の視点からの意見が出たりします。
これもまた、100%ではありませんけど(笑)。
ポイントは、「上手くやらねば」を手放して、オープンマインドでいろいろと試してみることです。
成果の質を向上させる対話の場を作ろう
最近は、教育、地域づくり、組織改革などなど、あらゆるシーンで「対話」という言葉が使われるようになりました。
ただの進行役ではなく、成果の質を向上させる「ファシリテーター」が求められています。
オンライン講座では、実体験を交えながら一緒に学んで行きたいと思っています。
『先生のためのファシリテーション入門』に興味のある方はこちらをご確認ください!
※この記事は、実践行動学研究所のメールマガジン「しなやかな心と学ぶ力が育つメルマガ Colorful Times」211号を再編集したものです。
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大原 幸夫
一般社団法人実践行動学研究所 専務理事
学習塾に25年勤務。その後小~中学校向けのワークショップの開発、及びファシリテーターの育成に従事している。またコーチング研修等の講師・講演を行う専門家でもある。