連載大原先生の学生指導のすゝめ
動機づけ教育プログラム「実践行動学」を開発する「実践行動学研究所」大原専務理事の学生指導のすゝめ。 学習塾での指導歴25年の大原先生が、実例を用いて学生への接し方をお伝えするシリーズです。 テンポのよいユニークな文章は、一度読んだらハマること間違いなし。
「生きる力」は知・徳・体のバランスのとれた力の総称として、2008年の小・中学校学習指導要領の理念に掲げられました。この考え方は今の学習指導要領にも継承されています。
専門学校では「この力を養うぞ!」と打ち出し、教育活動をすることは少ないかもしれません。しかし、悩みを抱えた学生への支援に、この考え方はよい知識になるかもしれません。
今回は、そんな「生きる力」について、実践行動学研究所 大原幸夫専務理事から寄稿していただきました。
目次
「生きる力」って、なんだろう?
みなさんなら、この問いにどう答えますか?
今日は、「生きる力」について、一緒に考えてみましょう。
文科省の学習指導要領の理念に掲げられている「生きる力」は、「知・徳・体のバランスのとれた力のこと」と謳われています。
知とは確かな学力、徳とは豊かな人間性、体とは健康・体力のことです。
どれも大事なことは分かりますが、力の範囲が広すぎて、「結局なに?どうしたらいいの?」と思ったりしませんか。
「生きる力」とは何か?と聞かれたとき、精神的な逞しさを思い浮かべる人もいれば、強靭な肉体をイメージする人もいれば、「生きていくにはお金が必要なんだから、稼ぐ力のことでしょ!」という人もいるかもしれません。
私が考える「生きる力」
このように、「生きる力」の捉え方は人それぞれですが、「苦難を乗り越える力が重要」という意見に異論を唱える人はいないでしょう。
生きている限り、どんな人にも必ず苦難はやって来ますから。
♪だいたいのことでは傷ついてきた。恋仕事生活家族や~。
♪捨ててしまいたいと悩むことばかりだよ~。
と、あいみょんも歌っています。(「ひかりもの」の歌詞より)
ちょうど今読んでいる本に、「生きる力って、これじゃないかなぁ~」と唸らせられる一説があったので、ご紹介させていただきますね。
人間は生きる「意味」や「目的」さえ掴むことができれば、大抵の苦難には耐えていけます。
けれどもそれを欠いては、辛いことばかりのこの人生を耐えることなどできはしません。人間は苦難そのものにでなく、その苦難に「意味がないこと」に苦しむ存在だからです。だから人生でいかんともし難いつらい出来事に直面したとき、人はその苦難が何のためのものかと、その「意味」を問わずにはいられない。
※「人生に意味はあるか」/諸富 祥彦 (講談社現代新書)より引用
本当にそうだなぁと思います。
抱えている悩みごとに意味が見つからないと、「何でこんなことに悩まされなくてはいけないのか」とか「ただ辛いだけ」とか、グルグル考えて抜け出せなくなります。
一方で、悩みごとに意味を見出した途端、乗り越える勇気と力が湧いてきたという経験が皆さんにもあるのではないでしょうか。
こう考えると、「生きる力」とは、人生で起こる様々なできごとに意味を見出す力と言っても過言ではない気がします。
「生きる力」をつけるためにどうしたらいいのか
意味を見出す力は、人に教えられて身につくものではありません。
問いに向き合う経験を積むことが重要です。
だから、教えるのではなく、問いかける関わりが大事になります。
問いかけられることによって、自ら答えを見出そうとする姿勢が身につき、意味を見つける筋力が養われます。
さらに言うと、問いに答える(応える)だけでなく、問いかける方の力を養うことも大事です。
子どもが小さければ、好奇心から生まれた問いを大切にしてあげる。
少し大きくなってきたら、問いをつくる練習をするといいです。
しかし残念ながら、日本の学校では問いをつくる練習はしてくれませんよね。
ちなみにカラフル・ドアーズの中学生向けプログラムには、「問いづくりワーク」が入っていますので、生きる力を鍛えるとてもよい機会になります。
うっかり宣伝してしまいました。すみません。笑
ちなみに中学生向けと言えども、このワークはかなり地頭を鍛えられる内容ですので、専門学校生に対して行うのも全然アリかと思います。ご興味がありましたら弊所までお問い合わせください。
さて、「生きる力」とは何か?
みなさんはどう答えますか?
※この記事は、実践行動学研究所のメールマガジン「しなやかな心と学ぶ力が育つメルマガ Colorful Times」131号を再編集したものです。
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大原 幸夫
一般社団法人実践行動学研究所 専務理事
学習塾に25年勤務。その後小~中学校向けのワークショップの開発、及びファシリテーターの育成に従事している。またコーチング研修等の講師・講演を行う専門家でもある。