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【12】非常勤講師として、学生・学校・専任常勤講師とどう向き合う?

2022.08.18 (最終更新:2022.09.26) 記事 教務情報

連載侑加先生のお悩み相談室

先生に特有のお悩みから、ワークライフバランス、キャリアデザインまで。「他の学校はどうなんだろう、他の先生はどう考えているんだろう……」と思ったら、学校の現場にも詳しい侑加先生に相談してみませんか?

今回は、「非常勤講師としての学生・学校・専任常勤講師との向き合い方」についてのお悩みです。
専門分野の第一線で活躍されている非常勤講師の先生の存在は、専門学校が最新の専門知識・業界常識にキャッチアップするためにとても重要ですが、初めて「先生」になる方にとっては、戸惑うことも多いですよね。

先生として学生とどう接するべきか同僚の先生方や学校とはどのようにコミュニケーションをとっていくべきか……侑加先生に聞いてみましょう!

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【今回のお悩み】小林先生(仮名)(男性・30代)

普段は映像制作の仕事をしていて、縁あってこの春から専門学校の映像系学科の非常勤講師として1科目を受け持つようになった者です。
自分が先生をやるようになるとは思っていませんでしたが、自分の知識やスキルを整理する機会にもなり、エネルギー溢れる学生と触れ合うのもいい刺激になっています。
一方で、色々と戸惑いや不安も多いです。

まず、学生との接し方です。
いわゆる先生的でないのが受けるのか、学生たちとは結構すぐに打ち解け、懐いてもらえてきています。
ただ、つい「親戚のおじさん」的な接し方になってしまっているように自分でも感じていて、「先生なのだから甘やかしてばかりではいけない」と思うのですが、なんというか、「叱り方」もよく分からず……。
専門学校として、専門スキルを身に付けさせるだけでなく、立派な社会人に育てるというミッションもあることを考えれば、私が教えるのは専門科目とはいえ、学生のふるまいで良くないと思うところがあればしっかり指摘して引き締めなければと思うのですが、下手な叱り方をして信頼関係が崩れたり反感を買ったりして授業がうまくいかなくなったらと思うと中々難しく感じています。

また、専任の常勤講師の先生との関係性についてもなにかと気をもんでいます。
専任の先生はやはり学校を背負う意識がしっかりとされていて、学生にも厳しくするところは厳しくしていらっしゃいます。
すると学生は甘い私のほうに懐いたりするものですから、専任の先生からしたら気分はよくないのではと心配です。
また、教える領域が被る部分もありますが、私と専任の先生とでやり方が違う場合もあります。
それが事前にわかっている場合には専任の先生のやり方のほうに寄せたりしているのですが、このあたりのすり合わせの仕方、専任の先生に嫌な思いをさせないように、学生を混乱させないように……というのも日々悩んでいるところです。
専任の先生は実務経験後に専門学校講師のキャリアを長く積んでおられ、実務と兼任の私のやり方・考え方のほうがより新しいというケースも今後あるだろうと考えると、そういう場合はどうしたら……と今から気がかりです。

先生としての心得学生との接し方ほかの先生方や学校とのコミュニケーションなどについて、何かアドバイスを頂けますと幸いです。

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学校の定めるルールを基準とし、常勤の先生との信頼関係を大切にしたいですね

小林先生、映像制作のお仕事と非常勤講師の両立、お疲れ様です。
非常勤の先生からのご相談は初めてで、嬉しいです。ありがとうございます!
4か月間を振り返り、いかがですか。
「自分の知識やスキルを整理する機会にもなり、エネルギー溢れる学生と触れ合うのもいい刺激になって」いるとのこと、素晴らしいですね。
きっと学生達も、充実した授業を受けられて楽しいと感じていらっしゃることでしょう。

20年以上前ですが、正社員で担任業務をしているとき、何人もの非常勤の先生方と働きました。
一番困った先生は、高校で校長先生を退任後、週1コマを担当された方です。
学園の役員の紹介でいらしていたので、現場の教員が採用をした方ではありません。
担任として、本当に困ると感じていたのは、以下の3点です。

1点目は、必要な事務などの仕事をしてくれないことです。
「15分以内の遅刻が3回で、1コマの欠席とみなす」という出欠席管理のルールがあるのですが、名簿に記録を書いてくれません。
何度かお願いするのですが、取り合ってくれないのです。
すると、担任の私が確認をするなど、余計な仕事が増えてしまいます。
最終的に出席率を管理しなければなりませんから、仕方ありません。
月次報告書の提出が遅れることも多々あり、催促することもありました。

2点目は、学生に注意をせず、担任の私に愚痴をこぼすことです。
高校では校長という立場でしたから、直接的な教科指導を何年もしていなかったのではないかと思います。
専門学校には、遅刻したり、よそ事をしたり、お手洗いに出たまま教室にすぐに戻らなかったり、あからさまに反抗的な態度をとったり、突っ伏して寝てしまったりする学生もいました。
教える側は、不愉快ですよね。しっかり注意してほしいのですが、してくれません。
授業後に、愚痴をこぼしながら、担任である私の躾が悪いという感じのことをおっしゃるのです。
「今日は、学生はちゃんとやってくれるかなぁ」とハラハラしていました。

3点目は、教材研究をしっかりしてくれないことです。
来年度採用のテキストを相談しようと思っても「まぁ、他にいいのも無いし、これでいいわよ」という感じで、より良い教材を探そうという意欲を示してくれません。
先輩が「あの先生、高額な報酬を受け取っているのに、それは無いよね~」とおっしゃって、現場の私達の士気も下がりました
あのとき「私は20年後、若い先生を盛り立てられるような人になりたい」と心に誓ったものです。

もう一人、困った先生がいました。
その先生は、その道のプロとして学生が憧れるような方で、非常勤講師の依頼ができて学校側も喜んでいました。
若々しく、先生というより先輩という感じでした。
この先生は、一部の学生に自分の連絡先を公開し、非常勤講師としての職務を超えた付き合いをし、接し方に極端な偏りが出てしまいました。
また、守秘義務を守りません。
学校に納品されるテキストや物品の卸値を伝えてしまい、他の先生の個人情報も明かしてしまいます。
冷静な学生が疑問を抱き、話してくれたことで問題が発覚しました。

小林先生は、専門学校への勤務が初めてとのことですが、常勤の先生、学生への対応を配慮されていて、学校にとってありがたい先生だと思います。
お勤めの専門学校に、非常勤講師の先生方へ配布するマニュアルがあるか気になるところです。
セクハラ・パワハラなどは論外ですが、学校独自のルールがあれば、学校側との契約の際に伝えておいてほしいですよね。
学生からしてみると、常勤でも非常勤でも先生は先生なのですから、学校職員の一員として、ルールを守り、信頼を獲得していきたいです。

教科指導では、常勤の先生の指導を「古い」とせず「基礎基本」と捉える声掛けを

映像制作というお仕事は、日進月歩で常に進化があるのではないでしょうか。
テレビ・ラジオ・新聞・雑誌などマスコミも、インターネットの出現で色々な変革を遂げています。
「スマホに合わせた縦型コンテンツが流行している」という番組を見ました。
テレビや映画は横長ですから、撮影そのものも変わってきているのですね。
誰もがYouTuberになれる時代です。

小林先生の「実務と兼務の私のやり方・考え方のほうがより新しいというケースも今後あるだろう」という気がかりは、全くその通りだと思います。
また、学校としては、それが狙いだともいえるでしょう。
常勤の先生が、実務経験後に専門学校の先生になっている経歴からして、その実務経験は過去のものだからです。
また、常勤の先生が採用するテキストは、すでに出版から年数が経過しているケースがほとんどです。
世の中の流れは速く、またコロナ禍で時代が大きく変わっていることもあり、テキストの内容そのものが古くなってしまっている場合もありますよね。

専門学校には、多くの検定を取得する目標がありますが、この検定も内容が古くなっているケースがあります。
すると、対策テキストも古い内容を扱っているということになりますよね。
しかし、現時点では取得すべき検定であり、履歴書に書ける重要な項目になります。
学生の魅力を増すことに直結します。
非常勤の先生には、常勤の先生が教えるテキストを事前に渡し、学生が受ける検定の内容と時期を伝えておきたいですね。
そして、学生には、これらを「古い」とせず「基礎基本」と捉えるような声掛けをしたいです。

実務経験は、「基礎基本」にプラスする「応用編」「発展編」「2022年版」のような扱いで伝えられると良いと思います。
学生が「常勤の先生より、非常勤の先生の方が新しくてカッコいい」と捉えない方が、学校全体として、学生指導も教科指導も上手くいきます。
常勤の先生にも、年間シラバスを提示する際に、学生配布用のプリントなどを渡しておくといいですね。
常勤の先生と非常勤の先生が連携して指導していけるのが理想で、お互いを認め、学生にも信頼関係を育んでいる様子が伝わると良いのです。
妙な張り合い方をしている先生方を見たことがありますが、本当に見苦しいです。
それに、学生も大人で、そうした様子を見抜きます。結果として、張り合う先生方を見下すようになります。

非常勤の先生は、その地域や日本のトレンドに接することが多いでしょう。
SNS全盛の時代、好きな学生は、ニューヨークや韓国の情報にも興味を持っています。
友人の娘さんも東京で映像制作の専門学校を卒業後、韓国語を猛勉強し、ソウル大学へ留学します。
グローバルな視点も持ちたいとのこと。若いパワーは限界を知りません。
小林先生の最新の実務も、一つの方法という謙虚な捉え方で指導をされると良いのではないでしょうか。

「『楽しいけど厳しい』『厳しいけど楽しい』の繰り返しで、現場で役立つ人間に」が理想の授業

叱り方」は本当に難しいですよね。
学生と打ち解け、懐いてもらえるのは嬉しいですが、「親戚のおじさん」とは違うし……という感覚、よく分かります。
非常勤講師として長く働く中で、私もジレンマに陥ることがあります。
「学生のふるまいで良くないと思うところがあればしっかり指摘して引き締めなければ」と思いますよね。

就職活動をしていて、面接試験に落ちた学生は、ひどく落ち込む傾向にあります。
筆記試験で落とされれば「数学ができなかったから」などと自分なりに理由を付けられます。
しかし、面接で不合格ということは、態度や言動がダメだったということになり、自分自身を否定された気持ちになるのです。
必ずしもそうでないケースもあるのですが、そう受け止めてしまうということです。
ふるまいを注意するときは、細心の注意を払う必要があるのですね。
精神的に幼さの残る学生の場合は、反抗的な態度をとったり、教室から出て行ったりしてしまうかもしれません。
叱ったあとも想定して、タイミングや言葉を選びたいと思います。

注意したい内容を、二つに分けて考えてはいかがでしょうか。
一つは、今すぐに注意しないと他の学生が不利益を被るもの。例えば、無駄話です。
もう一つは、本人にとって損失はあるものの、他の学生には大きく悪影響を及ぼさないもの。例えば、居眠りです。

無駄話が邪魔となり、講義の聞こえない学生がいたら、問題ですよね。
真剣に講義を聞きたい学生は、「注意してくれて当然」と思うでしょう。
即刻注意し、注意している様子を他の学生に示す必要があります。

居眠りの場合は、注意しても、またすぐ眠ってしまうことが多いです。
何度も注意すると講義の流れの妨げになりますし、他の学生にとっては耳障りです。
他の学生が演習や実習など、自分の学習に集中する時間が始まったら、眠っている学生のところへ行き、起こすようにしてはいかがでしょうか。
眠る学生を無視せず、何とか授業に参加させたいと促す先生の姿に信頼を覚えるでしょう。
もちろん、眠らせないように、15分に1回は動きを取り入れたり、面白い話をして興味を引いたりするなど、授業における創意工夫を行う必要もあります。

学生を叱るとき、一番効果を発揮するのは、学生が先生に寄せる信頼です。
先生がいつも一生懸命に授業に取り組み、思いやりに満ちた眼差しを学生へ向けていることが大切です。
「あの人の言うことは分かるけど、あの人には言われたくない」と学生から嫌われてしまう先生は、自分が遅刻したり、何年も前の教材を使い回していたり、授業を片手間にしていると思われたりしているものです。
学生は、先生の肩書きやキャリアなどよりも、目の前の学生の成長や幸せを願って一生懸命取り組む姿を見て先生を信頼します。
「学生が映像制作の現場で役立つ人間になれるか」を基準にし、必要だと思われる場合には愛情を持って叱ってあげてください。
小林先生が末永く、専門学校でも活躍されることを念願しています!

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この記事を書いた人
侑加先生

侑加先生

一般企業を経て、専門学校に正教員として勤務。
現在は、企業・大学講師、小中学生の塾経営。
趣味は、お笑いと高校野球、旅行。一児の母。

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