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TOP教育美容・理容【現役美容師が教える】就職前に本当に必要な美容学生のスキルはコレ!

【現役美容師が教える】就職前に本当に必要な美容学生のスキルはコレ!

2024.03.11 (最終更新:2024.03.28) 美容・理容 学科特化情報

美容師として働く人は、年々増えています。
厚生労働省の2023年3月時点での発表によると、美容師として活動しているのは571,810人です。
これは前年の561,475 人と比較して1.8%の増加です。

※参考:令和4年度衛生行政報告例の概況

一方、美容師の離職率は、3年以内で50%を超えるといわれています。
つまり、「美容師になる人も多い反面、辞める人も多い」というのが美容師の現状です。

この記事では、そんな厳しい世界でも働きやすいように美容学生が就職前に身に付けておいた方が良いスキルを紹介します。現役でフリーランスの美容師をしている筆者が調べた、現場のリアルな意見となります。

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目標に向かって走る向上心

専門学校を卒業後、美容師になってもすぐに髪を切れるわけではありません。
なぜなら、スタイリストになるためにはアシスタント期間があるからです。
平均のアシスタント期間は3年前後になっています(筆者は5年でした…)。
この期間に以下のような技術力と接客力を磨きます。

【主な技術】
・カット(グラデーションカット、レイヤーカットなど)
・カラー(白髪染め、ファッションカラー、ブリーチなど)
・パーマ(コールドパーマ、デジタルパーマなど)
・縮毛矯正(アルカリ矯正、酸性矯正など)

【主な接客】
・思わずお客様から会話したくなる雑談力
・美容の知識がない方でも理解できる技術説明
・お客様から要望を聞き出すカウンセリング術

上記で紹介したのはあくまでほんの一部です。美容室によっては心理学なども勉強します。これらを3年以内に一定のレベル以上覚えないと、スタイリストにはなれません

そして、多くのアシスタントがこのスタイリストになるまでの期間に挫折してしまいます。冒頭でも紹介したように、3年以内に約50%の人が辞めるのが美容師の現状なのです。

そのため、アシスタント期間を乗り切るために「向上心」は美容師に欠かせない要素です。「もっと技術力を身に付けたい」「もっと上手に接客ができるようになりたい」と目標を持っていることが肝心なのです。

稀に「美容室へ就職したらすぐにクリエイティブな活動ができる」と思い込んでしまっている美容学生もいますが、クリエイティブな活動は、基本的な技術や接客を覚えてからになるため注意してください。

やり抜く力

やり抜く力は、ビジネスシーンのみならず勉強やスポーツでも重要です。近年では、「やり抜く力は究極の能力」ともいわれるほどです。そして、やり抜く力は美容学生に必ず求められています。なぜなら、アシスタント期間の途中で辞めることは、美容室側からしても非常に困ることだからです。

アシスタントのうちは、スタイリストのヘルプがメイン。そのため、アシスタントは美容室に対して直接的な売上を生みません。美容師はスタイリストになって初めて「売上」という形で美容室に利益を生みます。

やり抜く力がない人は、スタイリストになる前に辞めてしまいます。その結果、美容室側はそれまでに払った給料や教えた技術レッスンが水の泡になってしまうことに…。

世代で分けるのは良くないですが、Z世代と呼ばれる今の若者たちは継続力がないと思われがちです。そのため、先輩美容師は「美容師になってもすぐに辞めるんじゃないの?」という先入観を少なからず持っています。

そもそも美容師の技術は一朝一夕では身につきません。スタイリストになるためには、日々の練習を積み重ねていくことが必須です。途中で投げ出す癖がある人は、土台となる技術が身に付きません。つまり、美容師として独り立ちをするには覚えるまでやり抜く力が必要になってきます。

しかし、やり抜く力といっても「昔から継続して最後までやり抜くのが苦手」という美容学生もいるはず。安心してください、やり抜く力は先天的には決まりません。

やり抜く力は、以下の4ステップで後天的に高めることができます。

やりぬく力を高める4Step
1.目標を設定する
2.目標達成のための計画を立てる
3.計画に沿って行動した内容を客観的に振り返り改善点を見つける
4.改善する中で小さな成功例を積み上げる

紹介したやり抜く力を美容学生に当てはめると、以下のようになります。

やりぬく力を高める美容学生のStep例
目標設定 学内のコンテストで優勝をする
計画 衣装作りやモデル探しをする
改善 衣装作りが上手くいかない、
モデルがなかなか見つからない理由を考える
小さな成功例 先輩からコツを聞き満足のいく衣装が完成!
SNSを駆使することで理想のモデルが決定!

注意点は、当たり前の内容を目標にしないことです。例えば、「美容師国家試験に合格する」といった目標だと、美容学生全てがクリアすべき内容になります。これではやり抜く力としては、少し物足りません。理想は、就職面接の際に面接官に対して自信を持って言える内容が好ましいです。

手前味噌になりますが、私の場合は美容学校の学費は全て自分で払いました。このような内容も悪くありません。あくまで、現状から努力したことが伝わるような目標が良いでしょう。

スポンジのように教えを吸収する素直な心

美容室へ就職する美容学生に必ず知っておいてほしい内容があります。それは「美容室は学校ではない」ということです。

学校では授業料を払って教えてもらいます。しかし、美容室は給料を頂いて教えてもらいます。この2つの違いは大きいです。技術を教えてもらうのは当たり前のことではありません

指導してくれる先輩に対しては、学生時代のノリで教えてもらうではなく、素直な心で教えを聞く必要があります。ここでよくある失敗例を紹介します。

例】
SNS上で有名な美容師が「〇〇のようなやり方でカットしてください」と発信していました。
一方、先輩からは有名な美容師さんとは違うやり方で教えてもらいました。
あなたならどちらのやり方を覚えますか?

【答え
「有名な美容師のやり方を参考にしよう!」ということは絶対にやめてください。まずは所属している美容室のやり方を覚えるのが先です。

ほかの美容師さんの技術を参考するのは、基本的なことを覚えた後です。ちなみに先ほど例に挙げたやりとりは、実際に筆者の友人の体験に基づいています。

SNSで簡単にトップクラスの美容師の技術が見られる現在だと、このようなことが起こりがちです。美容室に所属する以上は、素直な心で技術を学ぶ姿勢が重要です。

積極性

美容室のような接客業おいて、積極性に行動できる能力は必要不可欠です。そのため、事前に就職したい美容室に行くような美容学生の評価は高いといえます。なぜなら、積極的に行動ができているからです。

就職する際の面接対策をするのも良いですが、就職したい美容室があるなら、事前に何度か通って想いを伝えてみましょう。そのほかにも、就職したい美容室へ事前に行くメリットは多くあります。

・美容室の雰囲気を知ることができる
・直接質問ができる
・美容室側から覚えてもらえる

もちろん、美容室へ行くために時間やお金を使わなくてはいけません。しかし、本当に就職したい美容室があるなら足を運んだ方が良いでしょう。

また、美容室へ行く前に注意してほしいことが5つあります。

・美容室にアポを取ってから行く
・土日祝日は行かない
・質問内容を事前に準備しておく
・断られた場合は行かない
・オシャレに気遣いながらも清潔感のあるファッションで行く

美容学生のうちは想像しづらいかもしれませんが、土日の美容室はまさに戦場。美容室のスタッフは、一分一秒を争うように働いています。そのため、土日に美容室へ行くのはやめておきましょう。比較的にゆとりのある時間を事前に聞くと安心です。

また、美容室によっては就職したい目的で学生が来店することを断る場合もあります。その際は素直に行くのをやめてください。

SNS活用の上手さ

筆者がアシスタントの頃は、今ほどSNSは盛んではありませんでした。しかし、現代ではSNSの活用は美容師の必須スキルです。Z世代と呼ばれる1990年代後期生まれの多くは、幼い頃からスマホやネットが当たり前の状態で育ったデジタルネイティブです。その分、美容室側からは「若いのだからSNSの活用がうまいはず」と思われがちです。

よって、美容学生の頃からSNSでフォロワーのを多く獲得をしている人は、美容室側からしても魅力的に見えます。なぜなら、フォロワー数が多い人は以下の能力に長けているからです。

・自分自身の見せ方を知っている
・トレンドに敏感
・ターゲティングが的確
・情報収集能力が高い
・SNSを通じたコミュニケーション能力が高い

つまり【SNSの活用が上手い=マーケティングが上手い】ということです。美容師は人気商売的な部分があります。技術が上手くても見せ方が下手だとお客様に伝わりません。SNS活用が上手い人は、テキストだけではなく写真や動画を使った効果的な発信が可能です。

さらに、流行のファッションやメイクなどのトレンドを情報収集できる人は、インプットできる能力が高いともいえます。このように自分自身の強みを相手に届けられる人は美容室にとって極めて重要な人材です。

美容師に必要なスキルを磨きながら、学生生活を過ごそう

・向上心と忍耐力が重要
・素直に学ぶ姿勢を持つ
・やり抜く力が必要
・事前に美容室へ行く
・SNS活用の上級者になる

ここまで記事を読んでわかるように、美容室は美容学生に技術的なスキルはあまり求めていません。一番求めているのは「どのような心構えで働いてくれるか?」です。

今回紹介した内容は、現役の美容師が考える現場の本音になります。実際に就職すると挫折しそうなときは何度もあります。しかし、美容師を目指した頃の気持ちを忘れず前向きに楽しんでください

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この記事を書いた人
宇井 一八

宇井 一八

福岡県でヘアカラー推しのフリーランス美容師として活動中。
WEBライターとしても「HAIR CAMP」や「中野製薬」などで執筆。
Instagram:@uicyan

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