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TOP教育全般基礎学力向上はなぜ求められている?向上させるための取り組みも解説

基礎学力向上はなぜ求められている?向上させるための取り組みも解説

2023.07.28 (最終更新:2023.12.13) 全般 教務情報

近年、学生の基礎学力の低下が問題視されるようになりました。
基礎学力不足により、専門学校に進学したものの授業についていけずに退学を選ぶケースや、社会に出た後の業務に支障が出るケースが発生しています。
そのため、学校には学生が確実に基礎学力を身に付けられるように支援することが一層強く求められています。

そこで本記事では、基礎学力の概要や重要性、就職や資格取得に必要な基礎学力の内容についてまとめました。
あわせて、学校が基礎学力向上のためにできることについても具体的に紹介しているので、ぜひ実践の参考にしてください。

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今の時代だからこそ求められる「基礎学力」とは?

基礎学力とは、読み・書き・計算など、どの学習においても基礎となる知識・能力のことを指します。
基礎学力が低いと授業を聞いても内容を理解できず、学習の効果が薄くなります。

企業のDX化が推進されている現代において、ITスキルを身に付けるうえでも基礎学力は欠かせません。
また、社会人として必須のコミュニケーション能力や応用力も基礎学力が素地になります。

基礎学力が低ければ、文章を正しく読み理解することや、状況に応じた適切な表現で意思疎通を図ることなどが困難となり、社会生活に支障が出る可能性があります。

基礎学力の向上はなぜ大切なのか

では、基礎学力の向上はなぜ必要なのでしょうか。
ここでは、基礎学力が大切だといわれる2つの理由についてご紹介します。

1:応用力の向上に繋がる

1つ目の理由は、基礎学力が応用力の向上に繋がるためです。

応用力とは、基礎的な複数の知識を柔軟に組み合わせ、新たな事柄に対応する力のことです。
例えば、図形の面積を求める応用問題を解く場合を想定してみましょう。
図形が複雑であっても、線を引いて図形を分けることで、基本的な三角形や台形を求める公式によって正解を求められます。
このように、基礎を身に付けることは応用力を身に付けることに繋がります。

確かな基礎学力が土台にあってこそ、柔軟に問題に対処し、考えることができるため、専門学校での学習をうまく吸収できるのです。

2:就職活動や社会活動でも重視される

2つ目の理由は、基礎学力が就職活動や社会活動でも重視されるためです。

就職採用試験では多くの場合で筆記テストが行われます。
基礎学力が低ければ思うような結果が出ず、就職が困難になるでしょう。
企業が筆記試験を採用の判断材料としているのは、基礎学力が高い人を採用したいという理由からです。
それだけ社会生活でも基礎学力が必要とされています。

以下では、社会において基礎学力が必要とされる理由をご紹介します。

社会人として働くために基礎学力は必要な力である

社会人として働くために、基礎学力は必要な力だといえます。
なぜなら、基礎学力はその人の仕事効率のよさや成長の早さにかかわるためです。

例えば、仕事でリフォームの計画を立てる場合を想定してみましょう。
工数出しや見積りには計算が必要です。
算数の基礎学力があれば、すぐにざっくりとした数値イメージを伝えることができるでしょう。暖かい部屋に住みたいというお客様からの要望を叶える際には、科学的発想が必要です。理科の基礎学力があれば熱伝導率を調べ、適切な素材を選定することができるでしょう。
このように、基礎学力があれば効率よく問題が解決できる可能性が高まります。

効率よく仕事における問題解決を実現していれば組織に信頼され、多くの業務を頼まれるようになるでしょう。
その結果、個人の成長につながり、やがて会社・組織の成長にも寄与することができます。

DX時代によるリスキリングの取り組みも進んでいる

近年、DX時代によるリスキリングの取り組みが進んでいますが、リスキリングを成立させるためにも基礎学力が必要です。

リスキリングとは、働き方が変わることに伴って生じる新しい業務に対応するために、知識やスキルを習得することです。
現在、企業のDX化が進み、人間の仕事をシステムやAIが代替するケースが増えてきました。

このとき、新たに何もしなければ自身の仕事を失うだけでしょう。
しかし、システムのプログラム設計や社内システムの管理など、新たに発生する業務に対応できれば、引き続き職場で活躍できます。
スキルや知識をあらかじめ獲得しておけば、業務の変化にも対応できるのです。

リスキリングも基礎学力が低いと難しくなります。
例えば、プログラミングを習得しようと思っても、算数・数学の力がないとアルゴリズムの正しい理解は困難でしょう。
転機に備えるためにも、基礎学力を高めておくことは重要です。

基礎学力の範囲とは?どの程度まで基礎学力を上げればいい?

基礎学力といっても、どこまでが「基礎」に該当するのかは学校によって異なります。

専門学校で学ぶ際は高校卒業レベルの学力が理想だが…

専門学校で学ぶ際は高校卒業レベルの学力が必要です。…といいたいところですが、中学卒業レベルの学力を基礎学力とする学校もあるでしょう。

例えば、専門学校で濃度計算の問題を扱う場合、先生は濃度計算の問題を解くための解法を教えます。
理想は、モル計算などについて詳しい説明をすることでしょう。
しかし、現実では分数の計算やxを用いた計算ができない学生が多く、先生方がプリントを作成したり、日々補習をするなど対策しています。

専門学校での授業で学びを深めてもらうためには、学生には最低限中学卒業レベルの基礎学力をもっていてもらいたいところではないでしょうか。

社会に出るには最低限中学卒業のレベルは必要

また、どのような進路を選ぶ場合でも、社会に出るには最低限中学卒業レベルの基礎学力が必要です。
ここでは「SPIや一般常識テストを受検する場合」と「公務員試験を受験する場合」に、どのレベルの基礎学力が求められるのかを説明します。

SPIと一般常識テストに必要な学力は中学卒業から高校卒業レベル

SPIや一般常識テストは、企業の採用試験であり、基礎学力をはかる方法の1つです。
企業に対して応募者が多数に及ぶ場合、足切りとして用いられることもあります。

SPIと一般常識テストの出題範囲は、中学卒業から高校卒業レベルです。
集合・確率・速度といった基礎的な計算力や資料を読み取る力、読解力、語彙力がはかられます。
難しい問題は少ないですが、試験時間が短いこともあるので、基礎がいかに定着しているかが重要です。

公務員試験に必要な学力は高校卒業程度

高卒公務員・警察官・消防官などの地方初級の公務員試験を受験する場合、高校卒業程度の基礎学力が必要だといわれています。
しかし、実際に出題されるのは中学までに学習した範囲であることがほとんどです。
学生が公務員試験に合格するためには、中学までの勉強を復習し、基礎学力をしっかりと身に付けるようにすることが大切です。

学生の基礎学力を育てるために専門学校がすべきこと

学生の基礎学力を育てるために専門学校がすべきことは「学習意欲を高める環境の整備」と「基礎学力を定着させるためのPDCAサイクルの構築」です。

学習意欲を高める環境の整備

学生の基礎学力を高めるために、専門学校には学生の学習意欲を高める環境を整備することが期待されます。

基礎学力の育成には反復学習が重要ですが、基礎学習を習慣化するには学習意欲を高めることが重要です。
そして学習意欲を高めるには、学習に対する興味関心をもつことや、理解度を深めることが必要だといわれています。

具体的な方法として、以下の対策が考えられます。

  • ICT教育の導入
  • リメディアル教育の実施

それぞれ詳しくみていきましょう。

ICT教育の導入

学生の学習意欲を高めるための方法の1つがICT教育の導入です。

ICTとは「Information and Communication Technology」の頭文字で、日本語でいえば「情報通信技術」のことです。
ICTは、インターネットなどを通じて人と人を繋ぐ役割をもっています。

ICTを利用することで、基礎学力の向上が期待できます。
例えば、学生が疑問をもったとき、ICTがあれば先生に聞く前にインターネットで調べることが可能であり、さらに「自分で調べる」という能動的な姿勢が身に付くでしょう。

また、自分が興味をもった物事について、インターネットを利用することでとことん調べて関心や理解を深めることが可能です。
なぜ?どうして?という問いに、インターネットは膨大な情報を提供してくれます。
普通の生活では得られない知識まで得ることに成功すれば、学習意欲向上にも繋がっていきます。

リメディアル教育の実施

リメディアル教育を実施することも、学生の学習意欲を高めるといわれています。

リメディアル教育とは、小学校から高校までの学習内容を補完・復習したり、専門科目履修のための準備をしたりする取り組みです。
具体的には、eラーニングの利用や、個別指導といった取り組みが行われています。

リメディアル教育によって学生は学習習慣を習得し、苦手科目を克服することができます。
学習の理解が深まることにより、学習意欲が向上するでしょう。

参考:JAMCA ニュース 第80号

基礎学力を定着させるためのPDCAサイクルの構築

専門学校の先生は、学生に基礎学力を定着させるためのPDCAサイクルを構築することも必要です。

PDCAサイクルとは、Plan(計画)・Do(実行)・Check(評価)・Action(改善)の4つからなる、物事を継続的に評価・改善していくためのサイクルです。

専門学校でPDCAサイクルに則した教育を行う場合、具体的には下記のような流れが想定されます。

  • P:学生の基礎学力を把握し、現状を踏まえた指導計画を作成する。
  • D:ICTの導入や自主学習の習慣化に向けた取り組みの実施など、基礎学力定着に向けて学習改善の取り組みを行う。
  • C:学力テストを行うなどして、基礎学力の定着を測定・分析する。
  • A:授業方法を改善し、教育課程の見直しをするなど、取り組み結果に基づき指導改善を行う。

指導計画を踏まえた教育活動の実施で、取り組みに関する評価・改善がしやすくなり、学生は効率的に基礎学力を身に付けていくことが可能です。

まとめ

基礎学力は、専門学校での学びのためにも、社会人として活躍していくためにも必要な力です。

学生の基礎学力を向上させるために、学校には学生の学習意欲を高める環境を整備し、学生の実情に合わせて教育活動を常に改善することが求められています。
本記事を参考に、基礎学力向上のための施策を検討してみてはいかがでしょうか。

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