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TOP教育公務員【完全版】公務員試験における時事問題の対策方法!2023年度のポイントも

【完全版】公務員試験における時事問題の対策方法!2023年度のポイントも

2023.07.03 (最終更新:2024.01.15) 公務員 教務情報

連載公務員試験合格への道しるべ

公務員試験は自治体によって受験内容が大きく変わります。そのため戦略立てて授業や課題を実施していく必要があります。この戦略を正しく立てるには、公務員試験の情報を正しく知ることが大切。本連載では公務員試験にまつわる「知って得する情報」や「合格へのノウハウ」を、豊橋創造大学公務員試験支援センターの伊藤先生が教えてくれます。

公務員試験を突破するには、過去問題をベースに演習を重ねることが大切であることはご周知のとおりかと思います。
しかし、公務員試験の筆記試験のうち一つだけ対策方法が異なるのが「時事」分野です。

時事問題は毎年出題される内容が違います。
そのため、過去問題の演習という取り組み方では対応が難しく「どうやって取り組ませたらいいのだろう」とお悩みの方も多いと思います。

今回は、そんな先生方におすすめの対策方法をまとめました。ぜひ、ご覧ください。

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【公務員試験】時事問題対策の重要性

時事が重要な理由は、次の3つです。

  1. 時事は総出題数の1割を占める
  2. 社会科学の分野に絡んだ出題がある
  3. 二次試験以降の論文・面接にも必要な知識である

1.時事は総出題数の1割を占める

試験区分時事出題数教養問題出題数
国家総合職340
国家一般職340
国家専門職340
地方上級3~450
都ⅠB540
特別区440
市役所0~440

総出題数の1割程度を占めています。
無視することのできない出題数で、これだけでも時事問題の重要性は理解いただけると思います。

2.社会科学の分野に絡んだ出題がある

「絡んだ」という点が重要です。単に「時事」を対策しようとしても、そこには社会科学の基礎知識が必要となります。
例題をもとに説明をいたします。

(例題)
新型コロナウイルスへの国や自治体の対応について正しい記述を1から5から選んで答えなさい。

1.改正予防接種法によりワクチン接種の健康被害が出ても製薬会社に請求された損害賠償を国が肩代わりできるようになった。
2.日本はワクチン供給不足を受けて、世界保健機構(WHO)などが主導する新型コロナワクチン供給の世界的な枠組み(COVAXファシリティー)への参加を見送った。
3.国民に一律10万円を支給した特別定額給付金(2020年)の財源はすべて消費税の増税分で賄われている。
4.新型コロナ対策の最前線を担う保健所は厚生労働省が全国に設置している。
5.新型コロナウイルス拡大の影響で政府は景気拡大期について、完全に終了したと正式に認定を行った。

正答 1

例題は新型コロナウイルスについて出題されています。
達成目標の年や目標などが挙げられていて新型コロナウイルスについて学習すれば3から5について判断できます。

しかし、2については「世界保健機関(WHO)」という組織についての知識も必要になります。
国連の機関については基本的に社会科学の政治分野で学習します。
時事問題はこのように時事のみでなく社会科学の基礎知識が必要になります。
つまり時事問題が出来ないのではなくて社会科学の基礎が身についていない、理解できていないとも言えるのです。

言い換えると時事問題は社会科学の基礎を押さえているかどうかの目安にもなり、時事対策を行うことで社会科学の得点力向上にも寄与します。

3.二次試験以降の論文・面接にも必要な知識である

以下は論作文の出題例です。

・最も関心のある社会的な問題(大阪府)
・迷惑行為の増加原因とその対策(京都府)
・携帯電話のマナー(芦屋市)
・少子高齢化について(門真市)
・市民が求める行政サービスとは(綾部市)
・交通事故を減らすためのアイデア(福岡県警)

時事系の論作文の出題も多いです。
いくら作文を書く力があってもテーマについての知識が無ければ書くことができません。これは面接でも言えることです。

「最近気になるニュース」という質問は必ずと言って聞かれる質問ですが、ただ、ニュースの題名だけを答えるだけにはいきません
そのニュースに対する知識と自分の考えが必要になります。
そのためにも時事問題への取り組みは重要になります。

公務員試験の教養分野は6割の正解率で合格すると言われています。
指導する側も受験生も、一見効率の悪い分野は、無意識のうちに後回しにしがちです。
ただ、時事問題の重要性を理解すれば後回しにはできないはずです。

時事を制すれば公務員試験を制することができる。

そう理解することができれば、「やる気」が出てくると思います。

時事問題のテストはこちら

どう勉強するとよいか?勉強方法のコツ

ここからは学習者がどう勉強していくとよいか勉強方法のコツをまとめます。
まずは、過去問題を解いてみてください。
気が付くことがあるはずです。ここでは類題を使って説明をいたします。

(類題)
政治分野における男女共同参画推進法(2018年)や女性の政治参画について正しい記述を1から5から選びなさい。

1.この法律はフランスで導入されている法律と同じように政党に男女同数の候補者擁立を義務付けている。
2.この法律を受けて、女性議員の割合は国政では世界で1,2位を争うほど増えている一方で,東京都特別区議会などの地方議会では低迷している。
3.政府の第5次男女共同参画基本計画(2020年)は候補者の一定割合に割り当てるクオータ制について各政党には自主的な導入を要求すると明記された。
4.女性の衆議院議員が初めて誕生したのは、日本国憲法が施行された後のことである。
5.選挙の候補者を男女同数にしない政党には罰金が科せられることが法律で決まっている。

正答3

適切なテーマを選定し、テーマに関わる内容を学習する

時事問題は毎日のニュースを見聞きしているだけでは解けないことに気づけると思います。
しかし、やみくもに学習をしてもすべての時事を取り扱うには非効率。
そのため、適切なテーマを学習することが大切です。

テーマの例を挙げると以下のようなものです。

テーマ例1 話題となった法改正や立法
テーマ例2 選挙や外交問題について
テーマ例3 国際会議や国際情勢について
テーマ例4 話題になった厚生労働について
テーマ例5 地方創生について
テーマ例6 各種社会問題について

また、各種社会問題は、具体的に頻出なテーマが決まっています
人口動態に関する問題(出生率・高齢者人口の割合など)、ICTに関する問題、地球環境、選挙です。

したがって、①人口問題 ②ICT(情報通信技術) ③地球環境問題 ④選挙
この4つの分野は2023年度にも出題される可能性は高いです。

さて、上記の出題ですと「選挙」というテーマについて学んでいた人は得点ができたはずです。
この問題の場合は選挙の知識に限定せず、2018年に成立した比較的新しい法律である「政治における男女共同参画推進法」に基づいて行われた政策について問うています。

法案が成立したときにのみ、時事問題に登場するのではないということもわかります。
既にある制度の「法改正」のみではなく、新しい法律に基づいた政策についてもその動向に注目すべきでしょう。

このことから、テーマを決めて、そのテーマに合わせた法案を学習していくことをおすすめします。

よくある時事の学習方法として毎日ニュースを追いかけていくというものがありますが、1つのテーマについて複合的な視野をもって掘り下げるようにして取り組むほうが、得点力が上がります

社会科学を時事の視点から学びなおす

男女共同参画に関する平等については、基本的人権について学ぶ際に説明を行っていますよね。

同数にすることがすなわち平等に直結するわけでは無いことなどを、その際に説明をしておけばこの問題を解くときに助けになることは確かです。

現状、政治の分野への女性の進出は進捗しておらず、批判的であったクオータ制という議席の一定の割合を女性に充てる制度の導入を推進するような流れになっている点については、授業で触れておかないと受験生には、理解しにくい内容になっているとも言えます。

これから、指導者の皆さんは受験生の最後の仕上げの時期に入ると思います。その際に、社会科学で学んだ制度をおさらいするはずです。制度の改正が無かったか、制度に関する法律が改正されていなかったかまで、見直しをすると自然に時事の対策になっているはずです。試してみてください。

解説の多い、索引のあるテキストで学習する

時事の学習は調べながら行うことが多いです。
そのため、テキストは索引のあるものを選ぶことが大切です。

調べたところはチェックを付けておき、試験直前の見直しの際にすぐに重要な箇所を見返せるようにしておくことが重要であると言えるでしょう。
具体的には一回目に見たときに「蛍光ペン」で線を引く、2回目で見たときには「赤ボールペン」でチェックする、3回目は「青ボールペン」でチェックするというように、一目で何回見たかがわかるようにすると良いです。

直前の見直しの際には自分だけの「オリジナル索引集」になっているはずです。この色付けが今まで自分が勉強してきたことを示すものでもあり、自信にもつながります。
時事だけではなくて他の分野にもお勧めです。

2023年度時事問題!3つのキーポイント

指導する先生方は、時事問題以外の問題について作問をする経験はあると思います。
それと同じように時事問題も予想してみてください。

身近な人の予想問題は受験生の興味を学びに向けることができます。
興味を持たせる意味ではとても重要なことであると思います。

私のほうで3つほど今年はこの時事をおさえてほしい!というものをピックアップしました。

  • 2022年、国連の推計によると、世界の人口は80億人を突破
  • 2023年4月1日より、すべての年齢層で自転車に乗る際のヘルメット着用が努力義務へ
  • 2023(令和5)年3月27日から文化庁が京都に拠点を移し業務を開始

問題を作成する際の参考にぜひ。

2022年、国連の推計によると、世界の人口は80億人を突破

人口増加の原因として衛生環境や医療技術の向上により平均寿命が延び、乳幼児期に死亡することが減少したことが挙げられます。

押さえておきたい点としてはこうした国々が低中所得の国が中心であることです。

そうした貧しい国々に人口が増えるということは食糧不足や経済格差が拡大する恐れがあります。2022年の国別人口ランキングは1位が中国(約14億4千万人)、2位がインド(約13億8千万人)、3位が米国(約3億3千万人)とされていますが、2023年にはインドが中国を人口において上回ると予測されています。

人口減少が問題になっている日本もまだ約1億2千6百万人で、11位となっている事実も押さえておく必要があると思います。

2023年4月1日より、すべての年齢層で自転車に乗る際のヘルメット着用が努力義務へ

最近は自転車専用の道路を見ることも多くなりましたが、交通ルールは生活に身近なものです。

警察官希望の対策の場合はもちろんですが、行政職員や土木職員の方も仕事で関わることが多いので出題もしくは面接で問われることは十分に考えられます。
法改正で最も身近な例と言えるでしょう。

2023(令和5)年3月27日から文化庁が京都に拠点を移し業務を開始

中央省庁の地方移転は東京一極集中の是正、地方創生の一環として計画されました。

これまでも消費者庁など一部機能の移転はありましたが、本格的な移転はこれが初めてとなります。
文化庁の京都移転は2016年に決定されたもので、ようやく実現した形になります。

当時の出来事を時事問題として覚えている方も多いのではないでしょうか。
そして全ての機能が移転したわけではなく、全体の3割程度の職員は今後も東京での勤務になる予定である点も出題しやすい時事的な話題ということができます。

最後に

時事対策は悩みの種と感じる皆さんは要注意です。
公務員試験対策が単なる過去問演習に陥っている可能性があります。
もう一度、受験指導を見直していただくのも良いのではないでしょうか?

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連載「公務員試験合格への道しるべ」
全ての記事はこちらでご覧いただけます。

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この記事を書いた人
伊藤 圭一

伊藤 圭一

豊橋創造大学短期大学部 教授
豊橋創造大学公務員試験支援センター長
公務員別科長

話すこと、相手にわかってもらうことが大好きで教員の道を目指す。
大学院修了後(教育学修士)、専門学校教員を経て現職。
楽しく授業をするのをモットーにして笑いのある授業を実践している。
特に授業の導入部分の面白さには定評があり、オンライン授業の際は「面白いよ」と学生が家族を誘って授業に参加させたこともあるほど。アクティブラーニングを軸とした授業が好評であり、教員向けの研修も担当している。
2022年度ベストティーチャー賞を受賞。

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