連載少子化を生き抜く学校ブランディング
自校らしさとは?自校の魅力とは?よく分かっているはず……でも、本当に全員が同じように考えているでしょうか?外部へきちんと伝えられているでしょうか?競争の中でも選ばれる学校になるための学校ブランディングの基本メソッドを、ブランディングのプロがお伝えします。
今回から執筆を担当する株式会社アドハウスパブリックの関本です。
どうぞよろしくお願いいたします。
目次
専門学校の学生数は増加傾向。しかし長期的には……
令和2年度学校基本調査によると、令和2年度の専門学校の学生数は604,415人。
前年度より6,545人増加しています。
一方、大学生の数は3,063人減少しました。
専門学校生増加の傾向は、新型コロナウイルス感染症の影響によりこれから数年続く可能性があり、
「大学4年間の学費を支払う余裕がない」
「早い自立を求められている」
などの理由で、短期間で職能スキルを学べ、より就職に近い専門学校に人気が集まっていくと予想されます。
しかし、読者の皆さんもご存知の通り、小中高の学生数は減少の一途をたどっています。
令和2年度の小学生の数は、前年より6万8千人減少して過去最少に。
高校生は7万人減少しました。
また、令和2年度の大学生数が少し減ったとはいえ、大学への進学率は58.6%と依然高く、専門学校への進学率24%を遥かに上回り、大学人気に翳りは見えません。
学習のオンライン化も進み、住む場所・通学エリアを問わない学業スタイルの実現も、そう遠くはない未来にやって来るでしょう。
ビジネスの観点では、専門学校の学生確保には大きな課題があると思います。
少子化の進行
全国の大学・専門学校が競合
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学生の確保で激戦化
学校改革は「待ったなし」。学生確保に検討すべき3つの視点。
私の予想では、2年後には大きく環境が変わっていて、波に乗れた学校法人と乗れなかった学校法人の差がつき始めているのではないかと思います。
特に少子化とオンライン化の波は「待ったなし」です。
思っているよりも早く変化が訪れることになるでしょう。
学生確保のために、素早く今後の方針を検討する必要があります。
検討すべき点は、次の3つです。
- オンライン化対応
- 全国展開を視野・デジタルマーケティング
- 競合への打ち勝ち方の模索(ブランディング)
オンライン化対応
コロナ禍により、リモートワークやオンライン学習が一般的なものになりました。
もうすでにオンラインの便利さを知ってしまった訳ですから、この風潮がさらに加速していくことは間違いありません。
オンライン化にうまく対応できていないというだけで、学生や保護者から選ばれない理由になります。
これまでITとは距離のあった学校・学科でも、昨年の対応を振り返り、他校の事例なども参考にしながら改善を続ける必要があるでしょう。
全国展開を視野・デジタルマーケティング
これからの時代、自分の学びたい内容を時間・距離などの制限なくオンラインで学べる環境が必ずやってきます。
この時、従来通りに学生を確保することが困難になると予想されますが、逆に考えると、今までターゲットではなかった全国の学生を募集対象にするチャンスであるともいえます。
全国・地元対応の両方を視野に入れた事業構築が必要となるでしょう。
また、全国に自校の存在を知らしめるためにも、若い世代に情報を伝えるためにも、デジタルマーケティングのスキルが必須となります。
競合への打ち勝ち方の模索(ブランディング)
そして、全国または地元の学生・保護者から選ばれる学校となるためには、独自の価値を打ち出していく必要があります。
魅力的な授業内容や独自の取り組み、自校の考え方や講師の魅力など、「自校らしさ」を強烈に表現・体現していくブランディングが重要となります。
変革には時間と手間がかかります。
様々な理由でまだ手をつけられていない学校も多くあると思いますが、そういった学校こそ素早い検討が必要です。
学校ブランディングの重要性
オンライン時代が到来し、競争環境が激しくなっていることはご理解いただいたと思います。
そこで、これからなお一層大切になってくるのが、競合との差別化です。
他校と比べても「この学校で学びたい」「この学校に進学したい!」と選ばれるために、自校の強みや個性を明確にして、魅力的に表現・体現していくことが重要です。
自校を唯一無二――他に真似されない状態にまで差別化し、魅力や個性を際立たせて「自校らしさ」を表現・体現するのが、ブランディングです。
大きな学校は、無料での講義や有名講師の集中講義など、企画力と実行力を駆使してあの手この手で集客活動を行ってくることでしょう。
たとえ小さな学校でも、負けじと独自の魅力を打ち出して行く必要がありますが、決して派手なことをすればよいというわけではありません。
学生を惹きつけるものはなんでしょうか。
学校の雰囲気・授業の魅力・講師の魅力・将来の希望が描けるかなどのことはもちろんですが、その学校の信念・想いがうさんくさくなく、真実味を感じられることもとても重要です。
学校の信念、授業内容や講師の魅力、事業内容・実績など、学校の活動全般に一本筋が通っていて信頼できる、その学校らしさがしっかりと伝わっていくということが大切です。
これこそが「本物のブランディング」であり、自校の真のターゲットを呼び寄せる重要な秘訣です。
この連載では、学校ブランディングを5つのステップに分け、その実践ノウハウを紹介していきます。
ブランディングには、社内・校内のベクトルを合わせるインナーブランディングと、自校の魅力を外部へ伝えるアウターブランディングが存在し、その両面に磨きをかけていく必要があります。
本物のブランディングを成功させる5つのステップ
5つのステップは次の通りです。
- ブランディング推進チームを立ち上げよう!
- 自校が持つ3つの宝物を見つけ出そう!「CI・強み・資源」
- 強み・魅力をアウトプットし、差別化した事業を生み出そう!
- 名は体を表す!見た目9割!デザインで魅力を見える化しよう!
- 伝えるべきことはまとまった!あとはPR実践!
これからこの連載では、各記事でそれぞれのステップのノウハウを説明していきます。
まとめ
ブランディングは、これからの学校マネジメントにおける最重要課題であるといっても過言ではありません。
自校らしさを内部外部へしっかりと伝えていき、自校の独自の魅力を際立たせていきましょう。
連載は、月に1回のペースで更新していきます。
一緒にブランディングの素晴らしさとノウハウを学んでいきましょう。
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関本 大輔
株式会社アドハウスパブリック代表取締役。
中小企業専門のブランディングカンパニーの代表。
インナー・アウターブランディングの実践経験900件以上に及ぶ。
全国で講演を行い、企業ブランディングのノウハウを伝えている。
ストレングスファインダーの認定コーチでもあり、4,000名以上約200社のチームビルディングを行う。
[アドハウスパブリックHP] https://adhpublic.com/