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情報Ⅰの教科書分析 情報デザインと問題解決

2023.01.13 記事 教務情報

連載専門学校教職員が知っておきたい高校「情報Ⅰ」

令和4(2022)年4月より高等学校教育に必履修科目として新導入された「情報Ⅰ」。この連載では教科用図書(文部科学省検定済教科書)13冊の分析を通し、「入学生の前提知識がどのくらい変わってくるのか」「各教科書のプログラミング教育のレベル感」など、専門学校の先生方が知っておきたいポイントをご紹介していきます。

令和4(2022)年4月より「情報Ⅰ」が必履修科目として高等学校教育に導入されました。
「情報Ⅰ」を学んだ生徒たちが専門学校に入学してくるのは令和7(2025)年4月。
とくに情報処理・IT系の専門学校では、入学生たちが前提として持っている知識がどのくらい変わってくるのか、気になるところではないでしょうか。

この連載では、令和4年に発行された情報Ⅰの教科用図書(文部科学省検定済教科書)13冊を分析し、専門学校の先生方向けに知っておきたいポイントをご紹介します。
第4回は、おもな教科書で扱っている「情報デザインと問題解決」について解説します。

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教科書で扱っているおもな情報デザイン

実教出版『最新情報Ⅰ』では、第2章「メディアとデザイン」で「情報デザイン」についての内容が扱われています。

概観をつかむために実教出版『最新情報Ⅰ』(情Ⅰ705)の目次を見てみましょう。

第2章 メディアとデザイン
1節 メディアとコミュニケーション
 1 メディアの発達
 2 メディアの特性
 3 コミュニケーションの形態
 4 インターネットのコミュニケーション
2節 情報デザイン
 1 社会の中の情報デザイン
 2 情報デザインの工夫
3節 情報デザインの実践
 1 文書の作成
 2 プレゼンテーション
 3 Webページ

文字や数値のデジタルデータの扱い方、音や画像、色覚特性への配慮をはじめとしたユニバーサルデザインなどの記述も見られます。
ほぼどの教科書も同じ内容を扱っており、情報化社会におけるコミュニケーションについて広く知識を学んでいることがうかがわれます。

おもに扱われている用語についていくつかご紹介します。

■コンテンツとメディア
コンテンツとは、メディアを通じて発信される情報を指す広義の言葉です。コンテンツには、一次情報、二次情報などさまざまな種類があります。 具体的には、一次情報とは、物語や画像、映像など、ある目的のために新たに制作されたメディアの要素を指し、自分自身の初見の情報源からまとめられた資料です。二次情報は、一次情報が再利用された情報という特徴があり、他者から提供された事実やデータが含まれるため、情報の真偽の確認(ファクトチェック)などを必要に応じて行う必要があります。

■情報バリアフリー
情報バリアフリーとは、高齢者や障がい者が情報通信システムを利用する際に障壁がなく、円滑に知識やサービス、商品にアクセスできることを指します。これらを社会的に実現するためには、さまざまな政策、設計、施策が必要となります。

■ユニバーサルデザイン
ユニバーサルデザインとは、1980年代にロナルド・メイス博士が提唱した概念で、年齢や能力、環境に関係なく使いやすい製品や建物、環境をデザインしようとするものです。日本では1990年代頃から普及が始まった概念で、「高齢者や障がい者の社会生活における障壁を取り除く」といったバリアフリーの概念を拡張した考え方がベースになっています。ユニバーサルデザインは、高齢者や障がい者だけでなく、すべての人を対象としたものです。

■PDCAサイクル
PDCA(Plan-Do-Check-Act)サイクルとは 、継続的な業務改善のための管理手法として広く採用されている、反復型の4段階プロセスを指します。
PDCAの4つのフェーズは、「計画(Plan)」⇒「実行(Do)」⇒「評価(Check)」⇒「見直し・改善(Act)」です。
「計画(Plan)」では、現状のプロセスを改善するために、どのような目標を達成する 必要があるのかを定義します 。「実行(Do)」は、計画の実行を伴い、その結果を測定するための「評価(Check)」が続きます。評価のフェーズで得られた教訓は、「見直し・改善(Act)」のフェーズに活かされ、必要な修正と変更を実施します。
このPDCAサイクルは、当初の計画の目標がすべて達成されるまで繰り返されます。

■HTML
HTML(HyperText Markup Language)とは 、タグを使って文書の構造やウェブページの内容を記述する表現形式のことです。HTML文書は、見出し、段落、リストなど、ページ内に含まれる情報を構成する要素など、文書の構造が記述されています。
これにより、ユーザーは内部リンクや画像などの要素 をクリックすることで、ページ上のコンテンツにアクセスすることが可能です。
HTMLは当初、ハイパーテキスト文書、つまり他の文書にリンクすることができる文書を構造化する手段として作成されました。

「情報デザイン」を学んで身につく能力

情報デザインを学んで身につくリテラシーについて簡単に紹介しました。
情報デザインとは、情報を整理・表現し、問題を発見・解決するための方法です。言い換えれば、情報を抽象化・視覚化し、構造化することです。
ポスターやWebページなどのコンテンツに限らず、Webサイトやインターフェースの機能設計、モデルやアルゴリズムのロジック設計も情報デザインに含まれます。
情報デザインは、「コンピュータとプログラミング」、「ネットワークとデータ活用」の章を学ぶ上でも重要な位置を占めています。

教科書で扱っているおもな問題解決

実教出版『最新情報Ⅰ』では、第5章「問題解決とその方法」で「問題解決」についての内容が扱われています。

概観をつかむために実教出版『最新情報Ⅰ』(情Ⅰ705)の目次を見てみましょう。

第5章 問題解決とその方法
1節 問題解決
 1 問題解決
 2 問題の発見
 3 問題の明確化
 4 問題案の検討
 5 解決案の決定
 6 解決案の実施と評価
2節 データの活用
 1 データの収集と整理
 2 データの分析と表計算
 3 データの可視化
 4 データ分析の手法
 5 データベースとは
3節 モデル化
 1 モデル化とシミュレーション
 2 モデルの分類
 3 モデル化の手順
 4 モデル化の手法
 5 モデル化をする時の注意
4節 シミュレーション
 1 シミュレーションの実際
 2 モンテカルロ法
 3 モデル化とシミュレーションによる問題解決

教科書によっては、2節以降を別の章にあてている場合があります。

ほぼどの教科書も同じ内容を扱っており、データサイエンスに関する基礎的な知識を学んでいる ことがうかがわれます。

おもに扱われている用語についていくつかご紹介します。

■ブレーンストーミング
ブレーンストーミングとは 、多様な意見を得るために活用される討議手法のことで、従来の会話とは異なり、参加者は次の4つの意識面でのきまりごとを守ります。「ブレスト」と略されることもあります。
①参加者が安心して意見を出せるように、批判は避けます。
②創造的な意見を出しやすい雰囲気を作るために、考えをオープンにすることを意識します 。
③アイデアの質よりも量を重視し、可能性の幅を広げることを意識します。
④仲間からの提案に時には便乗し、想像力を膨らませながら参加者同士で互いにアイデアを出し合うことを意識します。
この討議手法は、与えられた問題を創造的に解決するため、あるいは無制限にアイデアを生み出すために用いられます。

■箱ひげ図箱ひげ図とは、統計解析でよく使用される図です。中央値、最小値、最大値、および四分位数を「箱」と「ひげ」を使って表現しています。中央値は箱の中に線で表示されます。ひげは箱の外側に出ていて、両端はそれぞれ最小値と最大値を表しています。これにより、データ全体のちらばりや偏りを視覚的に理解することができます。

■相関係数
相関係数とは、相関分析によって得られる-1~1の数値で、2つの要素間の関係の強さを表します。
相関係数が1の場合は強い正の相関(一方の要素が増加すると他方の要素が増加する)、相関係数が-1の場合は強い負の相関(一方の要素が増加すると他方の要素が減少する)、相関係数が0に近い場合は相関がないことを示しています。
なお、相関はあくまで2つの要素の関係を示すものであり、因果関係を示すものではないことに注意が必要です。

■回帰分析
回帰分析とは、目的変数(結果となる数値)と説明変数(原因となる数値)との因果関係を表す関数式を求める統計解析手法の1つです。
とくに、1つの目的変数と1つの説明変数の関係を表すことを単回帰分析といい、回帰分析により、目的変数と説明変数の関係に適合する方程式を導き出すことができます。

■DBMS(データベース管理システム)
DBMSとは、データベースを管理するために設計されたソフトウェアで、複数のユーザーから矛盾なく同時にデータにアクセスし、利用することができるようにしたものです。
DBMSにはおもに、データの一貫性、整合性、独立性、機密性、可用性(障害対応)などの機能があります。

「問題解決」を学んで身につく能力

情報Iの「問題解決」を学んだ学生たちは社会で通用する問題解決能力が身についています。
問題解決能力においては、問題を特定し分析する能力、効果的な解決策を見つける能力、そしてその解決策を実行する能力の3つが不可欠です。
優れた問題解決能力を持った学生は、問題を特定し、現実的な解決策を見つけ、その解決策を適切に実行することができます。
これらの能力は、ビジネスや生活面において、人生のあらゆる場面で問題を迅速に解決するために重要となるでしょう。

教科書で扱われている内容の違い

情報デザインと問題解決について、どの教科書でもほぼ同じくらいの深さの内容を扱っています。
この領域は、とくに、用語の解説をはじめ、データサイエンスの基礎をなす重要な単元でもあり 、高等学校では教科書をもとに基本的な内容を学習していると想定されます。

また、情報デザインと問題解決を取り扱う授業の際に、情報を取捨選択する方法やコミュニケーション、プレゼンテーション方法を学ぶために、実習などの活動も実施されていると思われます。
このように、情報デザインと課題解決の領域では、より実践的な情報の科学的な見方・考え方を養うことを目的としていることがうかがえます。

まとめ

今回は、高等学校の「情報Ⅰ」で扱う「情報デザイン」と「問題解決」について簡単にご紹介しました。

次回は、連載最終回です。
新学習指導要領における小中学校でのプログラミング教育の内容と、小中高での情報教育を踏まえた専門学校での対応について詳しくご紹介します。

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この記事を書いた人
真南風文藝工房 代表

真南風文藝工房 代表

ライター・サイエンスコミュニケーター
工学修士(航空宇宙学)
自動車メーカーでの先行開発エンジニアを経験した後、理系教材編集(小中高理科テスト編集・高校数学・中学校理科教科書編集)職に転向。
近年は環境・航空・宇宙・自動車・理科・数学・サイエンスなどを中心に幅広い分野での執筆活動にも取り組んでいる。

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