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アカデミックハラスメント(アカハラ)とは?具体例や対策を紹介

2023.09.11 (最終更新:2024.03.27) その他 教務情報

セクハラやパワハラなど、様々なハラスメントがありますが、教育の現場で問題になっているのがアカデミックハラスメント、通称「アカハラ」です。被害に遭って悩む学生や先生は増えており、何らかの対策が必要でしょう。

しかし、アカハラと聞いてピンとこない先生もいるかもしれません。本記事では、どのような事例があるか詳しく解説します。なくならない理由や対策にも触れているので、ぜひ参考にしてください。

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アカデミックハラスメントとは?

アカハラは加害者側に自覚がないケースもあるため、どのような行為が該当するのか事前に理解しなければいけません。ここではアカハラの基本知識を解説します。

  • 優位な力関係を利用した嫌がらせ
  • アカハラが起こる理由
  • アカハラと判断される可能性が高い言動

それぞれ見ていきましょう。

優位な力関係を利用した嫌がらせ

大学や専門学校など、学術機関のなかで起こる優位な立場を利用した嫌がらせ・いじめがアカハラです。主に不適切な態度や言動で、相手に不利益を与える行為を指します。

先生から学生、教授から先生などの形で発生しますが、将来に影響が出ないように耐える被害者は少なくありません。

アカハラが起こる理由

ハラスメントは上下関係がある世界で発生しやすく、指導する側と教わる側の立場の差が大きい学校は、必然的にその条件を満たしています。一般企業における上司と部下のイメージですが、この場合は実力次第で立場が逆転するケースもあるでしょう。

しかし、学校内で先生と学生の立場が逆転するケースは基本的にありません。一般企業の上下関係以上に、権力が特定の人物に集中しやすいことが要因の一つに考えられます。

またアカハラには明確な定義がないため、指導とハラスメントの線引きが難しいのも起こりやすい理由かもしれません。

アカハラと判断される可能性が高い言動

アカハラと判断される可能性が高い言動をまとめました。学生や指導対象の先生と接する際に、以下の言動をしていないか振り返ってみましょう。

先生・教授から学生へのアカハラ言動例

言われたとおりにしないと単位をあげないよ

君みたいな学生は就職できないよ

君は本当に暗い性格だね

先生から先生へのアカハラ言動例

女はさっさと結婚して辞めればいいのに

お前の指導では学生がかわいそうだ

こんな仕事は子どもでもできるぞ

心当たりがある先生は要注意。冗談のつもりでも、相手は傷ついているかもしれません。具体的な事例は次章で紹介します。

どこからがアカデミックハラスメント?主な6つの事例

アカハラと一口に言っても、種類は様々です。ここでは主な事例を6つ紹介します。どこからアカハラに該当するか、判断の参考にしてください。

  1. 学習や研究活動の妨害
  2. 卒業や進級の妨害
  3. 進学や就職の妨害
  4. 研究成果やアイデアの盗用
  5. 暴力や誹謗中傷
  6. プライバシーの侵害

それぞれ詳しく解説します。

1.学習や研究活動の妨害

学生の学習や研究活動を妨害する行為です。間接的に妨害するケースが多く、表面化しにくいといわれています。主な事例は以下のとおりです。

  • 研究に必要な機器やデータを廃棄する
  • 学習に必要な資料を使用できないようにする
  • 研究で使用する部屋を理不尽な理由で禁止する
  • 学生が希望していない研究テーマを押し付ける
  • 学生を教室から追い出す

2.卒業や進級の妨害

学生の卒業や進級を妨害する行為です。指導する立場を利用して学生に嫌がらせ行為をします。主な事例は以下のとおりです。

  • 正当な理由なく不当な評価をする
  • 「態度が気に入らない」などの理由で留年や退学を強要する
  • 指導する側の感情で評価基準を変更する
  • 基準を満たしているのに単位を与えず理由も教えない
  • 卒業論文を受け取らない

3.進学や就職の妨害

学生の進級や就職を妨害する行為です。主な事例は以下のとおりです。

  • 不当な理由で推薦状を書かない
  • 理由なく就職活動を禁止する
  • 就職や進学に必要な情報を提供しない
  • 企業側に圧力をかけて気に入らない学生の内定を取り消しさせる
  • 推薦状で学生が内定を得た企業に辞退させないよう圧力をかける
  • 就職や進学に不利となる情報を口外する

4.研究成果やアイデアの盗用

研究成果やアイデアを盗用する行為もアカハラに該当します。主な事例は以下のとおりです。

  • 学生や他の先生が書いた論文を自分の書いたものとして発表する
  • 学生や他の先生のアイデアを自分のものとして発表する
  • 学生や他の先生が書いた論文に第一著者として自分の名前を入れるよう脅す
  • 研究者の許可なく著者の表記順を決める

5.暴力や誹謗中傷

常識を超えた行動や言動で、相手に不利益を与える行為が該当します。言葉や間接的な行動で嫌がらせするのが特徴で、主な事例は以下のとおりです。

  • 机やドアを強く叩いて威嚇する
  • 「ほかの学生と比べて頭が悪い」「学校辞めろ」などの発言をする
  • 物を投げる
  • ほかの学生や先生の前でプライバシーを勝手に公開する
  • 大勢の前で罵倒する
  • 暴力を振るうような素振りを見せる

6.プライバシーの侵害

学習や研究に必要ないプライベートなことをしつこく聞いたり、行動を強要したりする行為が該当します。主な事例は以下のとおりです。

  • 家族関係や休日の予定をしつこく聞く
  • 交友関係に助言する
  • 深夜や早朝など非常識な時間帯に連絡する
  • 単位の取得を理由に私的な時間に付き合わせたり自宅に呼びつけたりする
  • ほかの学生や先生を追い込むため嫌がらせに加担させる

アカデミックハラスメントがなくならない3つの理由

多くの事例が報告されているにもかかわらず、なぜアカハラは減らないのでしょうか。考えられる主な理由は次の3つです。

  • 判断が難しい
  • 被害を訴えにくい
  • 加害者側に自覚がない

それぞれ解説します。

判断が難しい

優位な立場を乱用した嫌がらせの線引きは、難しいといわれています。適切な指導だと主張しても、周囲から見ればアカハラと感じるケースも。しかし、ときには学生の行動や言動に対して注意しなければならない場面もあるでしょう。

アカハラと訴えられることを恐れては、適切な指導の機会が失われるリスクもあります。どこからアカハラに該当するのか、学校内で正しい知識を広めることが大切です。

被害を訴えにくい

アカハラが発生する現場は閉鎖的な環境が多く、被害を訴えにくいといわれています。弱い立場だと、なおさら訴えることは難しいでしょう。

「不当な嫌がらせと主張しても理解してもらえない」「訴えることで嫌がらせが悪化するかも」と感じ、我慢する学生や先生も多くいるようです。またアカハラを目撃した先生たちも、自分がターゲットになることを恐れて黙認するケースが多いのも、被害が減らない理由の一つといえるでしょう。

加害者側に自覚がない

アカハラに限りませんが、ハラスメントは自覚がないケースも多くあります。たとえば加害者側が「上の立場だから多少の言動は許されるだろう」「上下関係を保つには必要な行為だ」「これも指導の一環」と思っていれば、いつまで経ってもアカハラは減らないでしょう。

アカデミックハラスメントへの対策3つ

アカハラを放置すれば、優秀な先生や学生の将来を潰すことになりかねません。ここではアカハラへの対策を3つ紹介します。

  • アカハラを正しく理解する
  • 相談窓口を設置する
  • 外部と連携する

それぞれ解説します。

アカハラを正しく理解する

まずは、学校や研究機関などの運営側がアカハラについて知りましょう。正しい知識がなければ適切な指導も対策もできません。

アカハラが問題になる理由や、被害者側の身体的・精神的ダメージ、どのような言動が該当するのかを正しく理解し、周囲に伝える必要があります。定期的に勉強会を開いたり、研修に参加したりするのもよいでしょう。

相談窓口を設置する

周囲が気付きにくい環境で発生することが多いアカハラは、被害者が訴えられずに終わるケースも多くあります。放置すれば、退職や退学率が上がる可能性もあるでしょう。そのようなリスクを防ぐためにも、相談窓口の設置がおすすめです。

秘密厳守かつ安心して相談できる環境を用意し、校内の実態を把握できるようにしておきましょう。匿名形式のアンケートや、定期的な調査も効果的です。アカハラ防止に力を入れていることが校内で周知されれば、優位な立場に立つ先生も意識するようになるのではないでしょうか。

外部と連携する

校内での窓口設置が難しい場合は、外部機関と連携するのも一つの方法です。弁護士事務所や自治体などの相談機関を活用し、学校を通さずに相談できる仕組みを作りましょう。アカハラの被害に遭っている学生や先生も、1人で抱え込まずに対応しやすくなります。

アカデミックハラスメントの被害に遭ったら?

もし自分がアカハラの被害に遭った場合は、どのように行動すればよいのでしょうか。ここでは対応策を2つ紹介します。

  • アカハラの証拠を集める
  • 信頼できる機関に相談する

冷静に対処できるよう、覚えておきましょう。

アカハラの証拠を集める

アカハラの被害を主張する際、言葉だけでは証拠にならず認めてもらえないケースが多いでしょう。加害者側が「指導の一環だった」「そのような発言をした覚えはない」などと否定すれば、泣き寝入りするしかありません。目撃者に助けを求めても、アカハラのターゲットになることを恐れて正しく証言してくれない可能性もあります。

被害に遭ったら目に見える証拠を集めましょう。嫌がらせに該当しそうなメールの文面はすべて保存し、会話も可能な限り録音することを心がけてください。

信頼できる機関に相談する

証拠が集まったら、信頼できる機関に相談しましょう。学校内に窓口がなければ、弁護士やアカハラ防止に取り組むNPO法人が開設している相談窓口もあります。各都道府県の労働局にある総合労働相談コーナーを利用するのもよいでしょう。

自分だけ我慢すればよいと黙っていると、いつまでもアカハラはなくなりません。むしろ、ほかの先生や学生に被害が広がる可能性もあります。最初は勇気が必要ですが、思い切って行動しましょう。

まとめ

アカハラは、学校内の立場の差が大きいことから発生しやすいハラスメントの一つです。常識を超えた発言や行動は加害者側に自覚がないケースも多いため、学校側で正しい知識を共有していく必要があるでしょう。

また被害者になった場合は、これ以上広がらないためにも対応が必要です。1人で抱え込まず、証拠を集めて信頼できる機関に相談してください。

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