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TOP教養その他「過去の問題点」よりも「未来の改善点」─パワハラにならない指導法

「過去の問題点」よりも「未来の改善点」─パワハラにならない指導法

2024.11.11 その他 学校運営

連載専⾨学校の先⽣に贈る「働きやすい学校への道」

働きやすい職場づくりには、「人間関係を円滑にすること」が何より大切!この連載では「楽しくはたらく人・チームを増やす」をテーマに活動を行うNPO法人「しごとのみらい」の竹内さんが、コミュニケーション術やチーム⼒を上げるアイデアを伝授。実践すれば、より働きやすい学校へブラッシュアップすること間違いなし!

しごとのみらいの竹内義晴です。本連載では、専門学校の先生方に向けて、ほかの先生や学生のみなさんとの⼈間関係やコミュニケーション、働きやすい職場づくり、ハラスメントや世代間ギャップの課題解決について、お話ししています。

今回のテーマは「学生や先生への指導の仕方」についてです。

専門学校という環境は「人を育てる場」です。人を育てるためには「指導」が必要な場合もあるでしょう。指導とは「教え導く」こと。知識や経験などを教え伝えるのはもちろんのこと、場合によっては「それは、〇〇ではないよ」と問題点を指摘したり、「もっと〇〇にしなさい」のように、相手の行動に対して改善を求めたりすることもあるでしょう。

一方で、ネガティブな言葉は相手に反感を抱かせる恐れがあります。また、ストレートに指導すると「パワハラ」と言われるリスクもあります。その結果「どのように指導したらいいのだろう?」と悩んだり、時には「言わないでおこうかな」と思ったりすることもあるでしょう。

学生に対してばかりではありません。ほかの先生に対してもそうです。

しかし、伝えるべきことを伝えなければ、成長を支援できません。指導って難しいですよね。

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問題点を指摘するよりも、理想を伝える

このときに意識したいのは、「何を言うか」よりも、「どのように言うか」です。

相手に対して問題点を伝えるとき、「〇〇が問題なので、□□にしてください」というように、ストレートに伝えるケースが多いでしょう。しかし、ストレートに伝えると、相手にネガティブな感情を抱かせる恐れがあります。

ここで、あなたが「なぜ、問題だと思ったのか」について考えてみます。その背景には、おそらく「本当は、〇〇だったらいいのに」「この場合は、〇〇のほうがいいよな」といった、何かしらの「理想」があるはずです。自分の中にある理想に対して、現状がそうなっていない。だから「〇〇は問題だ」と指摘したくなったり思ったり、モヤモヤしたりするわけです。

言い方を変えると、「〇〇は問題だ」と思うのは、「理想があるからこそ」だと言うこともできます。

■「モヤモヤ」するのは、「理想がある」から

「モヤモヤ」とは、「理想と現実のギャップ」
「モヤモヤ」するのは「理想がある」から
→もっとも簡単な問題の解決方法は「理想を捨てる」こと

そこで、問題点をストレートに伝えるのではなく、「理想は何なのか」を考え、それを伝えてみるのはどうでしょうか? 

たとえば、「大変だ」「面倒くさい」など、ネガティブな発言をする先生や学生がいたとします。こうした発言に対して指摘する場合、どのような言い方が考えられるでしょうか?

「大変だ」「面倒くさい」といった言葉に反応するということは、「本当は、もっと前向きな言葉を掛けたほうがいいのではないか?」「できれば、ポジティブに取り組みたい」といった理想があるはずです。

そこで「大変だ、面倒くさいといったネガティブは発言はやめましょう」というストレートな言い方ではなく、「わたしの意見では、前向きでポジティブな言葉掛けのほうが、相手のやる気を引き出せるのではないかと思っています」のように、理想を意識してみます。

問題点よりも理想を伝えたほうが、指摘・禁止・命令といった言葉ではなくなるため、相手にネガティブな印象を抱かせるリスクを軽減することができます。

「過去の問題点」よりも「未来の改善点」を伝える

問題点を指摘する場合、「過去の問題点」よりも「未来の改善点」を伝えるのもいい方法です。ネガティブな印象を抱かせるリスクを下げ、伝える側の負担を軽減できます。

たとえば、わたしは企業における社員研修を行っています。スキルを身に付けるようなワークショップを行う際、状況によっては受講者に対して問題点を指摘したり、改善を促さなければならない場合があります。

その際、「〇〇が問題なので、□□にしてください」のようにストレートに伝えると、相手にネガティブな印象を与え、モチベーションを下げてしまう恐れがあります。

そこで、「過去の問題点」ではなく「未来の改善点」を伝えることにしています。具体的には「〇〇を□□に変えると、もっとよくなりますよ」のようなイメージです。現状に対して、「新たな改善点を加えて、もっとよくする」伝え方となるため、わたしはこれを「足し算指導法」と呼んでいます。未来に対する改善点を伝えるため、ネガティブな気持ちになりづらい特徴があります。

■「問題の指摘」から「行動の改善」に

過去の問題に意識を向けると、問題点の指摘になりネガティブな印象になる
→未来の理想に意識を向けて、「何を加えるとよくなるか」にすると前向きな印象になる

問題点よりも理想を大切に

先のお話で、「〇〇は問題だと思うのは、理想があるから」というお話をしました。言い方を変えれば、「問題をなくすためには、理想を捨てればいい」とも言えます。つまり「あきらめる」わけですね。

しかし、教育に携わっていらっしゃるみなさんにとって、理想を捨てるのは決して最適解ではないでしょう。むしろ、理想は大切にしたい。

「何を言うか」よりも「どのように言うか」で、相手に与える印象は変わります。過去の問題点を指摘するようなネガティブな言葉よりも、未来に対する改善点を伝えるような言葉を使ったほうが、相手に対してポジティブな印象を与えるとともに、批判やパワハラをはじめ、伝える私たちへのリスクも軽減することができるでしょう。

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この記事を書いた人
竹内 義晴

竹内 義晴

特定非営利活動法人しごとのみらい 理事長
企業研修や講演を通じて理想の働き方を支援する「しごとのみらい」理事長。元はプログラマー。職場の人間関係でストレスを抱えたことをきっかけに、コミュニケーション心理学やコーチングを学ぶ。また、サイボウズ株式会社にてブランディングやマーケティングを担当し、「複業」など新しい働き方を実践している。著書に『Z世代・さとり世代の上司になったら読む本 引っ張ってもついてこない時代の「個性」に寄り添うマネジメント(翔泳社)』など。
しごとのみらい:https://shigotonomirai.com

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