連載大原先生の学生指導のすゝめ
動機づけ教育プログラム「実践行動学」を開発する「実践行動学研究所」大原専務理事の学生指導のすゝめ。 学習塾での指導歴25年の大原先生が、実例を用いて学生への接し方をお伝えするシリーズです。 テンポのよいユニークな文章は、一度読んだらハマること間違いなし。
本掲載の執筆者である大原先生が専務理事を務める「実践行動学研究所」のセミナーでは、コミュニケーションやモチベーションに関する講演を行っています。
この度、その講師である法政大学キャリアデザイン学部教授廣川進様より、「モチベーションや自主性を育むために」を主題として2記事を寄稿していただきました。今回はその2本目です。
すぐに教室で取り入れられる具体的なワークの紹介を通じて、心理的安全性をどうクラスの中で確保し関係づくりを行い、自己肯定感を伸ばし、意欲や自主性を高めるのか。
企業が求めるコミュニケーションスキルを身に付けるヒントを、今回も廣川先生がわかりやすく解説しています。ぜひご覧ください。
目次
「構成的グループエンカウンター」の実施手順
前回ご紹介した「構成的グループエンカウンター」についてさらに詳しく見ていきましょう。
前回記事: モチベーションアップのための土台づくり〜「エンカウンターグループ」のヒント(基礎編)〜【特別編 第7回】
「encounter(エンカウンター)」とは「出会い」、私とあなたが出会ってお互いに心を開き、信頼関係を深めることです。「心理的安全性」の前提になるような大事な関係づくりです。
國分先生の理論から実施の手順を説明します。
【1】インストラクション(教示):これから行うエクササイズの説明をします。内容、目的、方法などを簡潔に、参加に興味を持てるように話すことがポイントです。
【2】エクササイズ:ふれあい体験による自己と他者の発見、理解と受容を深めるためのワーク、課題を行います。
【3】インターベンション(介入):エンカウンターが促進されるようにリーダーが助け船を出したり、必要なら軌道修正したりします。参加者が傷つかないように守ることも大事な仕事になります。
【4】シェアリング(分かち合い):参加者がエクササイズで体験したことをシェアする(分かち合う)こと。エクササイズで得られた参加者の気づきを他者と共有することで、自己や他者への理解と受容を深めるプロセスになります。
クラスで取り入れられそうなワークには、以下のようなものがあります。
■新入生や新しいクラスで仲良くなるワーク
■意欲や主体性を高めるワーク
■自己肯定感を高めるワーク
■保護者会などで使えるワーク
まとめ
こうしたグループワークを授業やゼミで取り入れた結果、心理的安全性がクラスの中で確保され、学生同士の関係が深まりました。
自己肯定感が増すとともに、他者への相互理解・受容が進み、ワークにより自分の意見を発信する機会が増えることで意欲や自主性が高まるという好循環がクラスの中で生まれたと実感しています。
企業がこれから求める人材とは、まさに自己と他者の相互理解力、コミュニケーションスキルを身に付けていて、意欲があり自主的に、かつ創造的に行動できる人ではないでしょうか。
教室の中でじっと座って注入した知識の価値は、このデジタル社会の中で相対的に下がっていくと考えられます。コロナ後の教育現場でグループワークを取り入れる価値はこれからの時代に、さらに高まっていくでしょう。
<参考>
「構成的グループエンカウンター」図書文化社(URL:http://www.toshobunka.jp/sge/whats/index.htm)
「構成的グループエンカウンター事典」國分康孝・國分久子総編集、図書文化社、2004年
▼ウイナレッジ編集部からのお知らせ
本記事を寄稿してくださった法政大学 廣川教授が、「実践行動学Webセミナー」にて基調講演講師として登壇されます。
実践行動学は、学生の夢の実現、目標達成に必要な「心のあり方」と「達成のスキル(技能)」を身につけることを目的とした、アクティブ・ラーニング型動機付け教育プログラムです。ぜひこの機会にご参加ください。
【実践行動学Webセミナー】
・基調講演タイトル:モチベーションアップのための土台づくり「エンカウンターグループ」のヒント(基礎編)(法政大学 キャリアデザイン学部教授 廣川進様)
・日にち:2024年11月19日(火)
・会場:オンライン会場(Zoom)
・主催:一般社団法人 実践行動学研究所
・後援:株式会社 ウイネット
・参加費:無料
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廣川 進
法政大学 キャリアデザイン学部 教授(公認心理師・臨床心理士・文学博士)。
1959年生まれ。慶應義塾大学文学部卒業後、株式会社ベネッセホールディングスにて、雑誌編集(『ひよこクラブ』の創刊等)の傍ら、大正大学大学院臨床心理学専攻修士・博士課程を修了。2001年退社後、大正大学心理社会学部臨床心理学科教授を経て現職。