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    TOP ブログ 【5】航空業界の現場で働く社員たちの今

    連載withコロナ・afterコロナの就職活動最前線

    2020年、新型コロナウイルス感染症の拡大によって一変した就職活動。翻弄された学生たちや特に多大な影響を受けた業界の様子、afterコロナに向けた展望まで、就活支援や企業の社員研修に精通した川口先生が最前線からレポートします。

    皆さん、こんにちは。
    8月も残すところ残りわずかとなりましたが、いかがお過ごしでしょうか。
    今回は航空業界の現場で働く社員たちの「今」をお届けします。

    コロナで一変した空港

    コロナ禍での2回目の夏を迎えました。
    下の写真は、中部国際空港の国際線ロビーの様子です。
    左の写真が昨年、右の写真が今年の8月13日に撮ったものです。
    今年も昨年とほぼ変わらず閑散としていました。
    お盆は航空会社にとって年末年始と並ぶ一番の稼ぎ時でもあり、多くのお客さまで賑わう時期でもあります。
    依然厳しい状況が続いていることを思い知らされました。

    中部国際空港 国際線ロビー

    航空会社の現状 雇用維持の取り組み

    2021年3月期、ANAの最終損益は4,046億円という過去最大の赤字、JALは2,866億円の赤字となりました。
    世界屈指の規模の格安航空会社(LCC)であるエアアジアは、2020年冬、中部国際空港を拠点としていた日本法人が破産、日本事業から撤退しました。

    ANAやJALを始めとする大手航空会社は、「在籍型出向」で雇用維持に努め、長引くコロナ禍を乗り切ろうとしています。
    「在籍型出向」は企業が人出不足の企業などに従業員を出向させる制度で、「雇用シェア」とも呼ばれています。

    客室乗務員やグランドスタッフの多くが、高い接客能力を活かせる他業種に出向に行っています。
    出向先は、家電量販店やスーパーチェーン、自動車ディーラー、ホテル、旅館、コールセンター、地方公共団体、大学や専門学校のキャリアセンターなど多種多様です。
    最近では、ワクチン接種の案内業務や部品工場などへの出向もあります。
    異業種へ出向することは、思いがけないことではあったでしょうが、視野を広げたり、スキルアップにつなげたりと、パワーアップして元の仕事に戻れると前向きに捉えられる面もあります。

    また、国際線に比べて国内線は少しずつ回復してきていることから、地方の空港への出向もあります。
    今年4月に入社した教え子たちは、高知、熊本、小牧空港など地方空港へ出向となり、それ以前に入社した教え子は、北は函館、南は沖縄と全国各地の空港へと出向し、現地スタッフとともに業務に励んでいます。

    異業種へ出向しているグランドスタッフの教え子の「今」のエピソードを二つ、お伝えします。

    一つは、家電量販店に出向中のグランドスタッフの話です。
    出向辞令を受けた際には、全く業種が違う会社に戸惑い、辞めるか、出向に行くかで迷っていました。
    しかし、入社したばかりでまだグランドスタッフの仕事を半年しかやっていないのに、ここで辞めるのは本意ではないと決意し、出向に行くことを選びました。
    今は携帯電話の売り場で接客をしています。研修を積み、1人で契約も結べるようになりました。

    もう一つは、通信販売のコールセンターに出向中のグランドスタッフの話です。
    コールセンターでの電話受付業務に取り組むことになったのは、40代・50代の管理職もいれば、2020年4月に入社し、一度もグランドスタッフとしてカウンターに立つことのないまま出向となった子もいます。
    転職をするか、続けるのか、それぞれにいろいろな思いを抱えながら仕事をしています。

    会社によっては出向先を自分で選ぶことができないので、出向か退職かの選択に多くの教え子が悩みました。
    退職を選び、航空業界とは離れた社員も多数います。

    こちらの空港内インフォメーションには、コロナ禍以前は数人のスタッフが常駐し対応していましたが、今は呼び出し用タブレット端末が置かれ、無人となっています。

    その他の業種の社員の「今」についても少し紹介します。

    グランドハンドリングと呼ばれる、飛行機を牽引したり、荷物の搭載をしたりするスタッフは、自動車工場やパン工場、タクシー会社で運転手などの仕事をしています。

    ケータリングと呼ばれる機内食を作る工場で働いているスタッフは、コロナ禍以前は1日1万食の機内食を作っていましたが、国際線の飛行機が飛んでいない今、1日100食程度にまで需要が激減しているといいます。
    機内食をお弁当にして、駅や街でスタッフ自ら販売したりしています。
    この工場で約10年間機内食に携わってきた教え子は、先月、退職を決意しました。
    新たな夢を見つけ、進んでいきます。

    コロナ禍直前に行った機体工場見学での写真。2020年春に卒業してエアライン各社へ入社した教え子たちです。今は出向に行っている子も。

    外資では解雇、倒産も

    日本の会社は出向で雇用を守ってくれますが、外資系航空会社はそうはいきません。
    業績が悪いとすぐに契約を打ち切られます。
    外資系航空会社のグランドスタッフとして関空で働いていた教え子は、念願叶っての入社からわずか半年後、コロナで同期全員に解雇が言い渡されました。
    そのときの心境をこのように述べています。
    「解雇になるのは自分のせいでも会社のせいでもなく、ただただ無念で悔しい
    現在は、カフェを開業するというもう一つの夢に向かって、喫茶店で勤務しながらカフェの勉強に邁進しています。

    2020年冬、エアアジア・ジャパンの倒産により、パイロット、客室乗務員を始めとしたスタッフ約200人が全員解雇となりました。
    その中には複数の教え子も含まれていました。
    ハローワークに通い転職活動を続けていた一人は、訪問介護の医師のサポートをする仕事に決まりましたが、いつの日かまた空を飛びたいと願っています。
    意外とつぶしがきかないといわれているのが副操縦士です。
    まだ15人の副操縦士の再就職が決まっていないといわれています。
    現在、高校や大学で航空教室を行い、若い世代に向けて将来の夢を持てるよう社会貢献をしながら採用のチャンスを待っています

    休職という選択肢

    関空のグランドスタッフとして働いていた教え子の一人は、出向ではなく2年間の休職を選びました。
    今は国際貨物の大手企業で派遣社員として働いています。
    将来復帰した際に、貨物の勉強が役立つと考えたからです。
    実際、貨物取扱量は増えてきていて、現在、航空会社の重要な収入源となっています。

    最後に

    航空業界の現場は、かつてない苦境に立たされています。
    しかし、各社が今できることを必死に探し、存続をかけて精一杯頑張っています。

    航空会社の社員たちが出向先から復帰し、お客さまで活気あふれる空港が帰ってくる日が訪れるのを願わずにはいられません。

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    この記事を書いた人
    川口 晴美先生

    川口 晴美先生

    元日本航空グランドスタッフ。在職14年の間、JAL「サービスの達人」社長賞や社内接客大賞「ホスピタリティ賞」受賞。全国各地の空港で指導教官として勤務。退職後、大学、専門学校の非常勤講師として客室乗務員やグランドスタッフを多数輩出。現在は、大学、専門学校(医療系、留学生)高校、NHK文化センターで教える。
    オフィス川口を設立し、学生の就活サポート、各種検定、企業研修を手掛ける。サーティファイ認定会場。

    オフィス川口HP
    https://office-kawaguchi.jimdofree.com

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