少子化が進み、高校生の数自体が少なくなっている今、オープンキャンパスを通じて志望者の志望度を高めることはますます重要となっています。
各専門学校は、オープンキャンパスの参加者を増やすことはもちろん、願書提出に結び付けるような魅力のアピールに力を入れる必要があります。
この記事では、学生に「この学校にいきたい」と思わせるオープンキャンパスを設計するポイントと、効果的なオープンキャンパスの集客方法を具体的に紹介します。
目次
集客できる専門学校のオープンキャンパス設計
まずは、集客できるオープンキャンパスを設計するための基本と、現状からの見直しを行うポイントを紹介します。
現状行っている施策の見直しは、主に次の手順に沿って行います。
オープンキャンパスに学生を呼び込むキャッチコピーも、2. 差別化できるポイントの洗い出しの過程で検討します。
また、オープンキャンパスにターゲットとなる志望者を集めるために「奇をてらったこと」「話題作り」をあえてする必要はありません。
ターゲットが知りたい「自校で学べること」や、「自校ならではの特色」などありのままの良さを見せるイベントとするよう意識しましょう。
入学してほしい学生像をはっきりさせる
「自校に来て欲しい学生のイメージ」を明確にしたうえで、「オープンキャンパスに参加してみたい」と思わせる広報やオープンキャンパスの設計を行う必要があります。
集客のための施策を打っても、ターゲット設定がずれていては出願者の増加には結びつかないため、まずは学生像の設定から施策をスタートさせましょう。
ターゲット設定とペルソナ設定
ターゲットとなる学生像は、卒業後の進路、取得したい資格、在住している地域などを想定して設定します。
響くキャッチコピーやオープンキャンパスの広告制作をする場合は、さらに細かく架空のユーザー像を想定した「ペルソナ」を設定し、ターゲットを絞る方法もあります。
大枠のターゲット設定の例 | ペルソナ設定の例 |
---|---|
・学年(高校1~2年生、あるいは3年生) ・地域(通学圏内か、県外か) ・卒業後の進路、志望する業界 ・取得したい資格 | ターゲット設定の例に加え、「自校を希望する架空の学生」を想定したプロフィール・趣味や嗜好・価値観・行動パターン・学校を志望する理由などのストーリー |
ターゲットとなる学生像をよりはっきりさせたい場合は、自校の学生にアンケートを取ったり、複数人に聞き取りを行ったりするなどして、在校生の属性や行動パターンをターゲット設定の参考にするとよいでしょう。
特色を打ち出し、他校との差別化をする
自校ならではの特色を打ち出すために、競合校との違いを把握しましょう。
差別化ポイントは以下の方法で検討します。
- 同エリアで同学科がある競合校のオープンキャンパスのプログラム内容を見て、自校と比較する
例:体験授業の内容、学内ツアーがあるか、など - 他校になく自校にある特色をピックップする
例:同学科の競合にはない施設やカリキュラム、キャンパスの立地など
差別化できるポイントを把握したら、オープンキャンパスの内容を企画します。
自校の特色をアピールするためには、次の方法を参考にしてみてください。
- 受験生の視点を生かしたプログラムを考案する
例:かつて受験生だった在校生が学校の良さを解説するキャンパスツアー - 「教育理念」を言語化し、専門学校のキャッチコピーとしてオープンキャンパスの広報にも使う
例:「プログラミング経験ゼロからのAIエンジニア」(東京デザインテクノロジーセンター専門学校さん)「90%以上が実技授業!だから身につくデザイン力」(総合学園ヒューマンアカデミーさん)
自校の「ありのままの姿」をしっかりと見せる
自校の特色、他校と差別化できるポイントをつかんだら、オープンキャンパスで学生に見せる施設や授業を決定します。
キャンパスツアーで在校生をガイドに起用して、学校ならではの施設を紹介してもらうと効果的です。
具体的には、実習室などの実用的な施設や、食堂やカフェといった学生の憩いの場などです。
先輩学生の説明によって専門学校を志望する参加者が知りたい学校の雰囲気がより伝わる効果もあります。
また、オープンキャンパスで模擬授業(体験授業)を実施する場合は、特に自校を志望する参加者の関心が高いものを選びましょう。
どの授業にニーズがあるかは、オープンキャンパス参加者対象のアンケート調査や、在校生向けのアンケートや聞き取りの調査によって把握しておくと準備しやすくなります。
自校の説明会では以下の説明を必ず盛り込みます。
- 教育方針
- カリキュラム
- 設置学科
- 授業内容
- 就職状況
- 入試方法
説明会では配布資料をもとにした説明だけでなく、授業風景やキャンパス全体を動画にして上映するのもおすすめです。
特別な演出をする必要はなく、自校のありのままの姿を切り取って見せることでオープンキャンパス参加者や保護者のニーズを満たせます。
専門学校のオープンキャンパスの集客方法
ここからは、オープンキャンパスの集客を増やすPR方法を具体的に紹介します。
デジタル広告を使う
スマートフォンの利用率が高い10代をメインターゲットとした集客のため、デジタル広告を活用しましょう。
特に、高校生が高い頻度で利用するLINEのタイムライン上に広告バナーを設置するLINE広告が効果的です。
興味を持った生徒がLINE広告をクリックするとオープンキャンパス参加申し込みができるよう設定します。
LINE広告と並行して、オープンキャンパス開始時期には年齢や住んでいる地域などでターゲットが絞れるTwitter広告や、ユーザーの関心や年齢などの属性で広告を表示するターゲットが絞れるYouTube広告の活用も検討しましょう。
SNSで動画配信する
TwitterやFacebook、InstagramなどのSNSアカウントを運用している場合は、オープンキャンパス前に自校の簡単な紹介動画を配信すると効果的です。
自校ならではの設備やカフェ、庭など校内の様子の紹介動画やオープンキャンパス参加者に向けた在校生からのメッセージ動画などを配信しましょう。
映像制作会社に依頼すれば質の高いPR動画を作成できますが、コストをかけず職員や在校生が撮影、編集したものでもPR動画として有効活用できます。
▼SNS、動画配信を利用したPR方法についてはこちらの記事で詳しく紹介しています。
【オンライン・オフライン別】専門学校の学生募集に有効なPR方法、広報担当必見!専門学校のSNS活用ガイド|成功事例を紹介
ダイレクトメールを工夫する
オープンキャンパスの開催を告知するダイレクトメールの形式を工夫することで、他の郵便物や他校のダイレクトメールに埋もれることなく、告知内容が読まれる可能性が高まります。
以下のような工夫をして集客につなげましょう。
- サイズも大きく目を引く「封筒一体型」のダイレクトメールにする
- ダイレクトメールに案内だけでなく内容を細かく記載する
- カラフルな印刷にする
このほか、縦長の大型ハガキ型のダイレクトメールや、透明なフィルム上の封筒にチラシを入れて送るOPP封筒ダイレクトメールなどが存在します。
ダイレクトメールの見た目、サイズ、記載内容を差別化することで、受け取った生徒や親の印象に残りやすくなり、開封率とオープンキャンパスの参加率アップが期待できます。
はがき型
最も一般的なダイレクトメールの形式です。
特徴・活用法
- 最も低コストで集客できる
- QRコードを付けてホームページに誘導させると有効
- スペースが少ないので、開催日や地図、キャッチコピーなど必要最低限の情報しか掲載できない
封筒一体型
申し込み用紙と封筒が一つになっているダイレクトメールです。
特徴・活用法
- 封筒に入れて送るよりコスト削減になる
- サイズも大きく情報量を多く載せられる
- インパクトがあって目立つため、はがき型のダイレクトメールと差別化できる
参加特典のノベルティを作る
オープンキャンパス参加を促すため、参加特典のノベルティを作り、ダイレクトメールや動画内で告知する方法もあります。
集客効果のほかにも、オープンキャンパスに参加した学生に普段使いしてもらえるようなノベルティであれば、イベント終了後も学校を印象付けられるという効果もあります。
また、ノベルティのデザイン性が高ければ、参加者に学校への好感を抱いてもらいやすくなるほか、高校生活の中で使ってもらえればオープンキャンパスに参加していない周囲の高校生への宣伝効果も期待できます。
トートバックやノートなど複数のノベルティグッズを制作する場合は、統一感を持たせるようデザインしましょう。
ノベルティの例
- トートバッグ
- ボールペン・消しゴム・メモ帳・付箋セット・クリアファイルなど文具
- アルコール除菌シート
- タオル
- タンブラー
オンラインのオープンキャンパスを開催
2020年以降は新型コロナウイルスの影響で説明会やオープンキャンパスの中止が相次ぎ、高校生が直接専門学校を訪問する機会が減少しました。
そのため、直接学校を訪問せずとも参加可能なオンラインのオープンキャンパスを実施したり、説明会を実施したりする学校も増えています。
専門学校がオンラインでオープンキャンパスを実施する意義やメリットを紹介します。
オンラインのオープンキャンパスを実施する目的
オンラインのオープンキャンパスを実施する目的として、主に以下の四つが挙げられます。
- 感染症が流行している時期でも感染の心配をしなくて済む
- 県外にいる高校生にもアプローチできる
- 応募数を増やせる
- 施設や会場など収容人数制限を気にせず集客ができる など
オンラインのオープンキャンパスを実施するメリット・デメリット
オンラインイベントのノウハウがない、またはオンラインイベントを行う設備がない学校にとっては、オンラインのオープンキャンパスの実施は難しいという現状もあります。
設備投資やノウハウを蓄積しながらオープンキャンパスを実施する場合、長期的・短期的にどんなメリットやデメリットがあるか解説します。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
短期 | ・新型コロナウイルスをはじめ感染症の流行時や台風などの災害時でもオープンキャンパスを実施できる ・エリア外の遠方の学生にも参加を促せる | ・設備投資にコストがかかる ・オンラインイベントのノウハウを習得する必要がある |
長期 | ・恒常的にエリア外の学生へのアプローチが可能になり、長期的な視野で応募数獲得が見込める ・エリア外にも認知度がアップする | ・実施を続けていくうちに他校との差別化も必要となってくる ・オンラインイベントのノウハウを蓄積し、対応できる人材を増やす必要がある |
まとめ
オープンキャンパスの集客を増やすためには、「求める学生像や学校の特色を明確にする」といった根本的な見直しや、競合校と差別化したオープンキャンパスの企画の設計が必要です。
集客の手法としては、ダイレクトメールの工夫や、SNSと連動した動画配信をはじめ、学生の目に止まりやすいデジタル広告への出稿も検討しましょう。
また、エリア外にも自校の認知を広めたい場合は、オンラインでのオープンキャンパス開催も、長期的なメリットを見据えて行っていくとよいでしょう。
※本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。ご了承ください。
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