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TOP教養スキルアップデジタル化についていけない…どうしたら前向きに考えられる?

デジタル化についていけない…どうしたら前向きに考えられる?

連載侑加先生のお悩み相談室

先生に特有のお悩みから、ワークライフバランス、キャリアデザインまで。「他の学校はどうなんだろう、他の先生はどう考えているんだろう……」と思ったら、学校の現場にも詳しい侑加先生に相談してみませんか?

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今回は、「デジタル化についていけない」というお悩みです。

学校現場では近年、ICT化、教育DXなどが推進されています。
書類のデータ化、電子黒板、タブレット、電子書籍、オンライン授業…
長く働いてこられた先生ほど、若手教員との感覚のギャップや、
環境の急速な変化に戸惑われているかもしれません。

いままでのほうがよかったのに…
そんな思いを断ち切れず、なかなか前を向けずにいる渡部先生のお悩みを、侑加先生に相談してみましょう!

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【今回のお悩み】デジタル化についていけない…

相談者:渡部先生(仮名)(女性・50代前半)

こんにちは。ビジネス系の学科で簿記の授業を担当しております。

近年、わが校では業務や授業のデジタル化を推進する動きがでてきており、ついていけない自分に悩んでおります。

数年前に職員間で、紙ではなくデータでの書類回覧が推奨されるようになりました。
机の上に紙が置いてある場合と比べて見落としが増えましたし、結局パソコンの画面上では見づらいので印刷してしまいます。

若手の教員は、データだと紛失も劣化もしないので管理しやすいと言っていますが、私は数年経っても慣れず、いまだに戸惑っています。

教員間のコミュニケーションでは、直接話すよりも、チャットツールなどで済ませることも多くなりました。
若手教員いわく、直接話しかけて相手の手を止めさせてしまうのが申し訳なく、チャットであれば都合のよいタイミングで見てもらえるので連絡しやすいそうです。
同じ部屋にいながらチャットで連絡をとることに違和感を覚えるのは、私の感覚が古いからなのでしょうか。

授業においては、プリントでの小テストからシステムを使用した問題配信に変わり、学生に提出させる課題も紙ではなくデータになりました。
これまで作り溜めてきた小テストが使えなったことや、システムに問題を入れる作業の手間、課題の採点手順も考え直さなくてはならないなど、業務の負担も大きいため前向きに考えられません。

どんどんと新しい取り組みが始まる状況に気後れしています。
若手教員からも「あの先生は考え方が古い」と思われているかもしれません。
残り10年とない教員生活を楽しむためにも、アドバイスをいただけますと幸いです。

以上が今回のお悩みです。
それでは侑加先生の回答をご覧ください!

時代の流れを止めることは難しい…でも、何とかついていきたいですね

渡部先生、ご相談をお送りいただき、ありがとうございます。

今、私の抱える悩みと全く同じで驚きました。「あ~、同じようにモヤモヤしている方がいるんだな、私だけではないんだな」と少しホッとするような気持ちになりました。
一緒に悩みながら、前向きに捉えられる方法を模索できたらと思います。

デジタル化は、専門学校だけでなく、あらゆる分野で進んでいますよね。

銀行の窓口で行いたいことも、ATMでしなければならなくなったと思ったら、そのATMも無くなっていました。スマホで作業できない人は、遠くの本店まで行かなければいけません。紙のカード利用明細が欲しい人は、手数料を払わなければいけません。

マイナンバーカードは本人の希望で取得するという話だったと思いますが、いよいよ保険証として使われ、今までの保険証は使えなくなるようです。新聞の意見欄には、この件に対する戸惑いや苦情が掲載されています。しかし、時代の流れは止められないのですね。

昨年10月から始まった、インボイス制度にも多くの反対がありましたが、一年経ってみれば、もう普通のことになっているように感じます。

新しい制度や方向性が決まると、今までのやり方で良かったのに…と思う人々が大勢います。私もその一人です。

でも、現金よりカード払いが楽になったり、郵送よりデータを送受信した方が早くなったり、便利になったことは多いんですよね。最初はスマホに慣れるのにも時間が掛かりました。

データの書類回覧を見落としがちで、印刷されるということですが、私も全く同じです。やっぱり紙は見やすいですよね。

最近、目の疲れや視力の衰え、首や肩の凝りもあり、ひどい時は頭痛もします。

パソコン画面を見る疲れもありますが、年齢による身体の変化もあるのではないかと気付きました。
同僚の中に、「夜の運転は控えるようになった」と言う方がいたんです。気持ちは若いつもりでも、身体は50代なんだなぁと。
少し寂しい気もしますが、これからの人生の中で、今日が一番若いのですから、明るい気持ちで元気を出していきたいですよね。

全ての問題がデジタル化にあるのではなく、身体の変化にも原因があるとなれば、時々目を休めたり、体操をしたり、休日にはリフレッシュするなど、身体のケアも意識しながら時代に何とか付いていきたいと思うのです。

身体の調子がいいと、気分も良いので、新しいことにも少し挑戦してみようと意欲が湧いてきますよね。

人生100年時代、『社会に求められる自分』でいることの価値は大きいです

テレビで、「65歳以上の方々の3分の1以上の人が仕事をしている」という話題を取り上げていました。
女性が「若いうちに、少しパソコンとかね、習っておけば良かったと思って。そうしたら、違うこともできたのにね…」とインタビューに応えていました。

人生は長く、少子高齢化の今、働く期間も長くなっている現実があります。健康寿命を延ばしつつ、「楽しんで働けることは素晴らしい」と改めて考えさせられました。

22歳の頃、最初の職場で、ブラインドタッチを覚えました。修行のように感じていましたが、給料をいただきながら、勉強させてもらっていたのだなと振り返ります。

パソコンスキルはその後もずっと必要なことでしたので、今になって感謝しています。何年も経って実感することは他にもあります。必要に迫られて取った資格も、今に活きています。

デジタル化についても、「最低限ここまでは」というレベルで、何とか対応する方法を職場で学んでおくと、それが後の財産になることは十分考えられます。

残り10年とない教員生活とのことですが、専門学校においてという意味ですよね。
渡部先生は、簿記を教えていらっしゃるので、きっと専門学校を退職されても社会から求められますよ。

大学や文化センター、企業や個人でも簿記を習いたい人は沢山います。自分の生活のペースに合わせて、生きがいを感じながら仕事も楽しめる日々が待っています。
そして、先生の教え子さん達の知識は、ずっと生き続けます。

「老害」にはならない、手書きや対面の魅力も伝えられる50代を目指して

簿記の試験は、筆記とインターネットの両方で受けられる形式ですね。
学校では、システムによる問題配信に変わり、学生の皆さんにとっては心強いと思います。

ビジネス系学科の就職活動は、Web画面を通じて行われることが大半ですが、手書きの必要な場面もありますよね。郵送物の手配などは、学生自身がしませんか。宛名の記入も必要で、これは手書きが多いと思います。

就職後には、やはり手書きが必要な場面や、手書きの方が良い場面もあるでしょう。

カタカナの「シ」と「ツ」の表記を間違う学生が何人もいます。「島田(シマダ)」さんは、20歳になるまで、何度もカタカナで読み仮名を書いていますが、ずっと間違えていました。20歳で気付いて良かったとも思いますが、本人は、やはり恥ずかしがっていました。

今20歳の学生が小学生の時には、タブレットは配られていませんでした。子ども時代は手書きの学習だったのです。

しかし、簡単な平仮名やカタカナ、常用漢字を間違う学生がいます。10年後の学生は、幼少期からスマホを利用し、学校ではタブレット学習をしていますから、もっと手書きが苦手になるでしょう。

しかし、企業の方の中には、インターンシップ後の手書きアンケートを見て、
「こんなに間違いが多くては、仕事を任せられないな。今まで何を勉強してきたんだろう」
と言う方もいます。

地方の企業、中小企業では完全なデジタル化が進んでいません。書く力をコミュニケーション評価に入れている所もあります。

高齢化社会の中で、働く仲間、先輩方には随分年上の方もいます。チャットではなく、声を掛けた方がいい場合も多々あります。
当然、学生が社会人になって働くときも、お客様の大半は年上ですから、大きな文字で印刷したプリントを必要とする人、そのプリントに少し手書きのメッセージを書き加えた方がいい人もいます。

50代は、若い方と高齢者の間にいる年代ですから、優しく橋渡しができるという価値を持っているのではないでしょうか。

『老害』は、古い時代の価値観を押し付けるところから始まると思います。新しい価値観を認めつつ、何とか対応していきたいですね。

そして、20歳の学生が就活や働く現場で困らないように、手書きや対面コミュニケーションの良さも伝えてあげたいですね。

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この記事を書いた人
侑加先生

侑加先生

一般企業を経て、専門学校に正教員として勤務。
現在は、企業・大学講師、小中学生の塾経営。
趣味は、お笑いと高校野球、旅行。一児の母。

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