連載大原先生の学生指導のすゝめ
動機づけ教育プログラム「実践行動学」を開発する「実践行動学研究所」大原専務理事の学生指導のすゝめ。 学習塾での指導歴25年の大原先生が、実例を用いて学生への接し方をお伝えするシリーズです。 テンポのよいユニークな文章は、一度読んだらハマること間違いなし。
現代社会は答えのない課題が山積しています。
でもそんな答えのない課題に取り組めるような学生の育成は、知識伝授の授業ばかりではできないもの。そこで、文科省は10数年前から答えのない課題に取り組む・学習していく能力を3要素に取りまとめました。それが『学習3要素』です。
今回は、「学力3要素」の指導のコツについて、実践行動学研究所 大原幸夫専務理事から寄稿していただきました。
目次
学力3要素とは
今進んでいる教育改革で、育成すべき資質・能力の柱として据えられているのが、「学力3要素」。
3要素というのは、
・学びに向かう力・人間性等
・知識・技能
・思考力・判断力・表現力等
のことですね。
今日はこの中の「思考力・判断力・表現力」を伸ばす一番の方法をズバリ教えちゃいます!
「思考力・判断力・表現力」を伸ばすには、どうしたらいいのか?
様々な意見があるとは思いますが、答えは間違いなくコレでしょう!!
- 思考力を伸ばす一番の方法は、考えること
- 判断力を伸ばす一番の方法は、判断すること
- 表現力を伸ばす一番の方法は、表現すること
もう、これに尽きます!!!笑
「なに当たり前のこと言ってんだ!」と叱られそうですけど、間違ってませんよね?
逆にいうと、これらの経験なしでは決して伸びない力です。
でも、この当たり前のことが分かっていない人が、案外多い気がするんですよね。
そういう人は、自分の成功体験のノウハウをやたらと教えたがります。
(教えないとできないと思っているのかも?)
まあ、せっかくノウハウがあるのだから、それで効率的に伸ばしてあげたいという気持ちは分かりますけど。。。
教えることが成長を止める?
3要素の中の「知識・技能」であればまだしも、「思考力・判断力・表現力」の領域では、教えることが成長を止めることもあります。
- 教えられた通りに考えられればOK
- 教えられた通りに判断できればOK
- 教えられた通りに表現できればOK
それがゴールなら、教えた方がそりゃ早いです。
でも、本当の生きる力につながる「思考力・判断力・表現力」というのは、そういうものじゃないですよね?
だから私たち大人は、先に教えることで子どもたちの貴重な体験を奪ってはいけません。
「教えた方が早い!」という人もいるかもしれませんが、その後の伸び幅の大きさを考えたら、体験重視の方が断然早いです。
教えてから実践するか、実践してから教えるか
A)まず知る→分かる→できる→やる の順番がいいか?
B)まずやってみる→できる→分かる→知る の順番がいいか?
”伸ばしたい能力は何なのか?”によって効果的な方法は変わります。
もちろん、Aの方がいい場合もあります。
自動車の運転とかは、決してBでやろうとしてはダメです。
気をつけたいのは、Aの順番だと、知ってる(つもりだ)けど分かっていない、分かってる(つもりだ)けどできない、できる(つもりだ)けどやろうとしない、となりがちなことです。
教えることで「つもり」を植え付けることにならないか?という注意が常に必要です。
ということで、本質的な「思考力・判断力・表現力」を伸ばそうとするなら、Bの「まずやってみる→・・・」の方を意識的に使ってみましょう。
私はこれを痛いほど味わった経験があるので、自信を持っておススメします!!
※この記事は、実践行動学研究所のメールマガジン「しなやかな心と学ぶ力が育つメルマガ Colorful Times」149号を再編集したものです。
\ぜひ投票お願いします/
大原 幸夫
一般社団法人実践行動学研究所 専務理事
学習塾に25年勤務。その後小~中学校向けのワークショップの開発、及びファシリテーターの育成に従事している。またコーチング研修等の講師・講演を行う専門家でもある。