連載大原先生の学生指導のすゝめ
動機づけ教育プログラム「実践行動学」を開発する「実践行動学研究所」大原専務理事の学生指導のすゝめ。 学習塾での指導歴25年の大原先生が、実例を用いて学生への接し方をお伝えするシリーズです。 テンポのよいユニークな文章は、一度読んだらハマること間違いなし。
本当はもっと学生の自発性を引き出したいけど、どうしたらいいかわからない。授業が盛り上がるようにたくさん質問しているけど、なぜか学生がついてこない…。
そんな悩みを持ったことのある先生は多いのではないでしょうか。
今回は、学生の自発性を引き出す質問のコツについて、実践行動学研究所 大原幸夫専務理事から寄稿していただきました。
目次
拡大質問ってどんな質問?
コーチングのコアなスキルに「拡大質問」というのがあります。
コーチングは「指示・命令でなく質問によって自発的な行動や意欲を引き出すもの」というイメージがあると思いますので、質問の大切さはご理解いただけますよね。
もちろん質問は、子育てや部下指導にも大いに役に立ちます。
さて、私が学んだコーチングモデルの中では、拡大質問は元の英語で「パワフルクエスチョン」と呼ばれています。
つまり意欲や自発性を引き出す質問は、パワフルでなくてはならないのです。
よくない拡大質問とよい拡大質問
私が思うに、質問がパワフルかどうかは、質問された人が「うっざ~」と思うか否かによります。←(かなり極端な表現)
質問のインパクトは2種類あって、一つは思わず深めたくなる質問(=パワフル)、もう一つはウザい質問(=余計なお世話)です。笑
よくない拡大質問
では、どんな質問がウザがられるかというと、質問者が自分の価値観や成功体験による正解を持ち、それに従わせようとしている場合です。
「…で、きみはどう思う?」(視線がジロリ…)
子どもや部下にこう言うとき、質問の体ではあるものの、実は「オイ、分かってるだろうな?」とか「私が期待してる答えを返せよ!」となっている場合が少なくありません。(よね?)
そんなときは、間違いなくウザい質問です。
よい拡大質問
では、どんな質問がパワフルなのかというと・・・
「…で、きみはどう思う?」(爽やかに)
なんだ、質問、おんなじじゃん。笑
でもよく見て(↑)。爽やかさが違います。
2つの質問の何が違うかというと、“質問の出どころ”です。
操作的な意図からではなく、純粋に相手の気持ちや考えを聞きたいという好奇心から発した質問はとてもパワフルです。
そして質問された人は、敏感に質問の出どころを感じ取るので、ごまかしはききません。
自発性を引き出す拡大質問とは
つまり、自発性を引き出す質問のコツは、“上から目線の正解を押し付けようとせず、対等な目線で好奇心から湧いた質問をする”という、ひじょ~にシンプルなものです。
相手が子どもであっても。(それが超難しい!)
なので、この記事のタイトル「自発性を引き出す質問」などという魂胆を持って質問しているうちは、本当の意味でのパワフルクエスチョンにはなりません。汗
パワフルクエスチョンの道は長く険しいのです。
ともあれ、ぜひ今日から爽やかな質問を心がけてみることをおススメします。
※この記事は、実践行動学研究所のメールマガジン「しなやかな心と学ぶ力が育つメルマガ Colorful Times」172号を再編集したものです。
\ぜひ投票お願いします/
大原 幸夫
一般社団法人実践行動学研究所 専務理事
学習塾に25年勤務。その後小~中学校向けのワークショップの開発、及びファシリテーターの育成に従事している。またコーチング研修等の講師・講演を行う専門家でもある。