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TOP教養スキルアップ学生たちの主体的な学びを実現する「ゴール」と「サイン」

学生たちの主体的な学びを実現する「ゴール」と「サイン」

連載大原先生の学生指導のすゝめ

動機づけ教育プログラム「実践行動学」を開発する「実践行動学研究所」大原専務理事の学生指導のすゝめ。 学習塾での指導歴25年の大原先生が、実例を用いて学生への接し方をお伝えするシリーズです。 テンポのよいユニークな文章は、一度読んだらハマること間違いなし。

学生が自ら進んで目的を持ち、学びを進めることは理想ですが、なかなか難しいと悩まれている先生方も多いのではないでしょうか。

また、主体的な学びを見守りたくても、ついつい口を出したくなってしまうこともありますよね。

今回は、「学生たちが主体的に学ぶために、大人ができるゴールの設定とサインの種」について、実践行動学研究所 大原幸夫専務理事から寄稿していただきました。

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「ファシリテーション」と「子育て」の共通点

実践行動学研究所が実施している小・中学生向けプログラム「心のチカラ・学びのチカラ」は、「子どもたちの主体的な学びを実現したい」という想いで制作しました。

“主体的に学ぶ”とはどういうことかというと、他者(先生や親など)からの指示がなくても自ら学びに向かうこと、またはそれが習慣として身についている状態です。

さて、“子どもたちが主体的に学ぶ”ために私たち大人に何ができるでしょうか?

(“子どもたちに主体的に 学ばせる・・・・”ではありませんのでご注意ください)

今回は、私がファシリテーションを行うときに、“主体的な学び”が起きるように意図していることを2つご紹介しようと思います。ファシリテーターや教育関係者だけでなく、子育て中の方にも参考になったらうれしいです。

なぜかというと、ファシリテーションと子育てには、大きな共通点があるからです。それは、どちらも最終的な結果をコントロールできないということです。

思い通りにコントロールしようとするほど苦しくなり、結果への執着が望ましくない行動に駆り立てるという点がとても似ているなぁと思います。
ファシリテーションも親も、「思い通りに行かないことをいかに楽しめるか」が試されますよね。

始めるタイミングで「ゴールを共有」する

では結論から。
私の2つの意図とは、「ゴールの共有」と「サインの種」です。

1つめの「ゴールの共有」は分かりやすいですよね。大勢が集う場であろうと1対1の関係であろうと、

「私たちはこれからどこに向かうのか?」
「最後にどうなっていたらいいのか?」
「このプロセスから何を得ようとするのか?」


始めるタイミングでこういったことをできるだけハッキリ共有しておくことが、自ら学ぼうとする姿勢を力強く後押ししてくれます。

これは私自身、授業や社員研修、我が子と向き合う経験の中で痛感しています。
でも、日常的にはさまざまな場面で「ゴールの共有」がおざなりにされていると感じます。

子どもに主体的に学んでほしいと願うなら、ゴールを明確に共有することこそが、私たち大人の腕の見せ所だと言えます

後から気づきが生まれる「サインの種」を残す

そして2つめの「サインの種」。

こちらは「ナンデスカ、ソレ?」…ですよね(笑)。

ここでサインと呼んでいるのは、たとえその場では分からなかったとしても、後になってから「あぁ、あのときのあれはこういうことだったのか~!」という気づきが生まれるような“何か”のことです。

“何か”というのは、出来事だったり言葉だったり私的な体験だったり。

個人的な体験を一つ紹介させていただくと、一番に思い出すのはコーチングの基礎コースに参加したときのこと。
講師の方のデモセッションで、クライアント役の方が涙を流したり、長年苦しんできた身体の痛みがその場で消えてなくなったり…(いかにも怪しい?笑)。
なぜそんなことが起こるのか、当時の私にはまったく理解できませんでした。
けど、「心の中のモヤモヤの先」に何かあると信じて学び続けた結果、コーチングのスキルは私の人生を物心共に支えるものになりました

私が場づくりをするときは、一人ひとりの心にサインの種が残ることを願って…というよりは、どんなときもサインの種は残るものだと信じてやっています。

「ゴールの共有」はこちらの意図次第ですが、「サインの種」はこちらの意図を超えてやってくるので、何が残るかは想像もつきませんけど。
(そこが神秘的で楽しい!!!)

サインの種が生まれると信じていると、多少の混乱が起こったり、話し合いで沈黙になったりしても、あまり動じなくなるというメリットもあります。
「今起こっていることも何かのサインかな…」などと思いながら、多少は悠然と見守れたりして。
それが自分自身に向かってくるサインだった、なんてこともしばしばですけど(苦笑)。

親として、我が子にたくさんのサインが残せるような存在になれたらいいなと願いつつ、いざ振り返ってみると、私の方がたくさんサインをもらっているなぁと思います。

※この記事は、実践行動学研究所のメールマガジン「しなやかな心と学ぶ力が育つメルマガ Colorful Times」213号を再編集したものです。

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この記事を書いた人
大原 幸夫

大原 幸夫

一般社団法人実践行動学研究所 専務理事
学習塾に25年勤務。その後小~中学校向けのワークショップの開発、及びファシリテーターの育成に従事している。またコーチング研修等の講師・講演を行う専門家でもある。

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