連載大原先生の学生指導のすゝめ
動機づけ教育プログラム「実践行動学」を開発する「実践行動学研究所」大原専務理事の学生指導のすゝめ。 学習塾での指導歴25年の大原先生が、実例を用いて学生への接し方をお伝えするシリーズです。 テンポのよいユニークな文章は、一度読んだらハマること間違いなし。
本来なら、学び、成長することは人生における大きな喜びのはず。
それなのに「勉強が嫌い」という学生や、「何のために勉強しなくてはいけないの?」という声があるのも事実…。「学ぶこと」をどう捉え、どのように学習するかによって、その学習効果は大きく変わってきそうです。
今回は、「学ぶチカラ」の育て方について、実践行動学研究所の大原幸夫専務理事から寄稿していただきました。
目次
「学ぶチカラ」を高める3つの要素とは
今日のテーマは、当研究所のプログラムから考えると、ど真ん中の内容といえるかと思います。では早速!
まず、「学ぶチカラ」というのは何か?ということですが、ここでは「学習効果を上げる考え方やスキル」と定義しておきましょう。
そのチカラを学びのプロセスの(1)入口、(2)学習活動、(3)出口の3つに分けて考えると、それぞれの段階で「好奇心」、「実験思考」、「振り返り」の3つが重要な要素として挙げられます。
あ、完全に私見です。あらかじめご了承ください。
では、ひとつずつ見ていきましょう!
(1)学びの入り口でとても大事なことは『好奇心』
好奇心こそが学ぶモチベーションの源泉。これがすり減ったり、抑圧されたりしていたら、学ぼうなんて気持ちは起きませんよね。
私事ですが、昨日2時間のウェビナーに参加して、それが「宇宙視点と人類の進化」みたいな内容だったんですけど、めちゃくちゃ好奇心を刺激されました。
宇宙も進化論も初めて聞く話ばかりだったので、頭の中が取っ散らかったまま終わりましたが、何歳になっても学ぶっていいなぁ~と思いました。
さて、お子さんの好奇心はどうしたら育つのか?
その答えは、「育てなくてもいい」です。
だって好奇心は、もともと備わっていますから。
大切なのは育てることではなく、「つぶさないこと」。尊重し、受け止めてあげることが重要だと思います。
(けど子どもって、親からしたらどうしてそんなことに?ということばかり夢中になりますよね(笑))。
今、小さな子を育てている方は、その子の純粋な好奇心を大事にしてあげてくださいね。
(2)学習活動でとても大事なことは『実験思考』
「実験思考」というのは、簡単に言うと、「世の中、すべて実験だ!」という考え方のことです。私は、継続的に学び続けるには、つねに“試している”という感覚でいることがとても重要だと思っています。
これまでできなかったことができるようになるためには、「できない」を繰り返し経験することがどうしても必要です。そのとき、「やっぱり自分にはムリだった」と思うのか、「今回の実験はうまくいかなかった」と思うのか。
そもそも実験に失敗はつきもの。だから「実験思考」でいると、自分自身に失敗する許可が与えられます。失敗してもいいのならば、「もう1回やってみようかな?」と思えますよね。だからモチベーションが続きやすくなります。
(3)学びの出口でとても大事なことは『振り返り』
そして、今日の本丸はコレ!!
組織行動学者のデイヴィッド・コルブが提唱した「経験学習モデル」というのがあります。
これは、
・日々の経験
・経験を多様な観点から振り返る
・教訓を得る
・教訓を実際に試す
というサイクルをグルグル回すと成長するよ!という考え方です。
で、このサイクルの肝が「振り返り」なんです!
そして、振り返りで特に大切なのが質問。よい教訓を得るにはよい質問が必要です。「何で自分はこんなにダメなのかぁぁぁ?」という質問からは、前向きな教訓は得られません。
でも学生たちが自分で振り返りを行うとき、なかなか良い質問はできないもの。
そんなときはあなた(先生)の出番です!!
ぜひその子の良きコーチになってあげてください。
振り返るチカラは好奇心とは対照的に、私たちが積極的に育ててあげられる部分になります。
※この記事は、実践行動学研究所のメールマガジン「しなやかな心と学ぶ力が育つメルマガ Colorful Times」220号を再編集したものです。
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大原 幸夫
一般社団法人実践行動学研究所 専務理事
学習塾に25年勤務。その後小~中学校向けのワークショップの開発、及びファシリテーターの育成に従事している。またコーチング研修等の講師・講演を行う専門家でもある。