コミュニケーションツールとして、使うことが当たり前になったSNS。InstagramやTwitter、TikTokを開けば動物や風景はもちろん、若者の自撮り写真も投稿されています。写真の投稿は悪いことではありませんが、気をつけないと危険な目に遭う恐れも。
リスクが伴うにも関わらず、なぜ学生は自撮り写真をSNSに投稿するのでしょうか。
今回は自撮りを投稿する7つの心理と、考えられるリスクを解説します。危険から守るための対策にも触れているので、学生の指導にお役立てください。
おすすめの資料
これだけは押さえておきたいSNS活用チェックリスト
目次
学生が自撮りを投稿する心理7選
SNSは不特定多数の人が閲覧できます。知らない人に自撮りを見られることに抵抗を持つ学生がいる一方、毎日のように投稿する学生もいます。
なぜ頻繁に投稿するのか気になりますよね。投稿時の主な心理状態は、次の7つです。
- 自分の容姿を自慢したい
- 自信をつけたい
- 自分を見てほしい人がいる
- 記録として残したい
- マウンティングしたい
- メイクやファッションセンスを褒められたい
- 罰ゲームで載せることも
それぞれ詳しく解説します。
自分の容姿を自慢したい
自分の容姿に自信があり、多くの人に見てもらいたいと感じている状態です。SNSは投稿に対してコメントしたり、いいねボタンを押したりできますよね。
投稿に対して友達や他人から「かわいいね!」「かっこいい!」など反応をもらうことで、承認欲求を満たしているのです。自分の容姿を異性にアピールしたいと考えているケースもあります。
自信をつけたい
自分の容姿に強いコンプレックスを持っている学生が、自信をつけるために投稿しているケースもあります。
親しい友人には話せない悩みについて、出会ったばかりの他人には話せた経験はありませんか?このような場合、打ち明けた話に対して「大変だったね」「実は私も同じ経験があるよ」など共感を得ることで気分がスッキリします。
コンプレックスを持つ学生がSNSに自撮りを投稿しているのは、この現象と似ているでしょう。あえて自分の嫌いな部分を不特定多数の他人にさらけ出し、反応をもらうことで前向きに受け入れていこうとしているのです。
自分を見てほしい人がいる
特定の人に自分を見てほしい状態です。表立ってはアピールできない相手に、SNSを通して自分を知ってもらいたい学生に多く見られます。相手は好きな異性や憧れの先輩などさまざま。
最近ではSNSを通して、芸能事務所や企業がスカウトする例も増えてきました。そのため、モデルやインフルエンサーを目指して、自撮りを投稿する学生も増えているようです。実際に、タレントの山之内すずさんは「Instagramからスカウトを受けた」とテレビで話しています。
記録として残したい
誰かに見てほしい欲求よりも、記録として残すために自撮りを投稿している学生もいます。その日のファッションや髪型を記録しておき、あとでカタログのように見て楽しむことを目的としています。このような心理状態は、美意識が高い学生に多いでしょう。
マウンティングしたい
自分が充実した生活を送っているとアピールしたいために、自撮り写真を頻繁にアップしている学生もいます。「友達に自慢したい!でも直接話したら嫌われてしまうかも」と考え、SNSを通じて間接的に伝えているのです。友人をライバル視し、相手よりも自分が勝っていることをアピールするために投稿しているケースもあります。
負けず嫌いの学生に多いかもしれません。友人の何気ない投稿がキラキラしているように見え「私の方が充実しているんだから!」と、闘争心に火をつけてしまうのです。
メイクやファッションセンスを認められたい
自分のメイクやファッションセンスを認められたい欲求から、自撮りを投稿する学生もいます。「そのメイク、どうやったんですか?」「スカートかわいい!どこのお店で購入したの?」など反応をもらい、認められたことへの嬉しさを感じるのです。
罰ゲームで載せることも
自分の心理状態に関係なく、投稿しているケースもあります。普段自撮りをしない学生にとって自撮り投稿は恥ずかしく感じるため、罰ゲームとして使われることがあるのです。このような傾向は、女子学生よりも男子学生の間で多く見られます。
自撮り写真を投稿するのは危険?考えられる3つのリスク
「個人的に楽しむ範囲なら、自撮り写真を投稿しても大丈夫なのでは?」と、考える先生もいるかもしれません。しかし、実はさまざまなリスクが潜んでいます。主な例が次の3つです。
- 第三者に写真を無断で使われてしまう
- 個人情報が特定されてしまう
- 自分だけでなく家族も犯罪に巻き込んでしまう
それぞれ具体的に解説します。
第三者に写真を無断で使われてしまう
SNSに投稿された写真は、誰でも簡単に保存できます。保存できないような仕様でも、スマホのスクリーンショット機能を活用すれば可能です。投稿した自撮り写真が、自分の知らないところで出会い系サイトやマッチングアプリに掲載されてしまうことも。*1
身に覚えのないサイトに、デマ情報が流されてしまう可能性もあります。例えば「この人は犯罪者です」などの情報と共に自撮り写真が掲載されてしまった場合、情報を信じた人が警察に通報、実際に警察が家にきてしまうケースもあるのです。
個人情報が特定されてしまう
個人情報が特定されてしまうリスクにも気をつけなければなりません。設定によりますが、写真には位置情報や撮影された日付などのデータが記録されています。一見、どこにいるかわからない写真でも、データから「いつどこにいたのか」バレてしまうでしょう。
また背景の一部から、自分の行動範囲や通っている学校が特定される可能性も。デジタルストーカーと呼ばれる人たちは、些細な情報で家や家族構成まで突き止めてしまうのです。なかにはピースサインの写真から指紋を盗もうとする人もいます。
自分だけでなく家族も犯罪に巻き込んでしまう
もし個人情報が特定された場合、付きまとわれたり嫌がらせされたりする可能性があります。そして危険にさらされるのは、自分だけではありません。家が特定されれば、家族に影響が及ぶ可能性もあります。
ひどい嫌がらせを受けても、警察がすぐ動いてくれない場合もあるでしょう。そのような場合は、引っ越しを余儀なくされる状態まで追い詰められる可能性もあります。
実際に起きた自撮りによるトラブル事例
警察庁の統計によると、2020年にSNSによって被害を受けた若者は2,082人いることがわかりました。2021年は1,812人と減少しているとはいえ、高い水準で推移しています。*2
すべてが自撮りによるものではありませんが、危機感を持たなければならないでしょう。総務省のホームページに掲載されている情報を参考に、実際に起きたトラブル事例を2つ紹介します。
若者がどのような被害を受けてしまったのか、詳しく見ていきましょう。
事例1:おいしい情報をシェアしただけのつもりが
背景写真から生活範囲が特定されてしまった例です。ある女子が頻繁に通うショッピングタウンで、おいしいお店を発見しました。親しい友人に情報をシェアしようとお店を背景に自撮りした写真をSNSに投稿。その後、知らない人に後をつけられてしまうようになります。
友人だけでなく、犯罪目的の人が見ている可能性を理解していなかったために起きた例といえるでしょう。
事例2:自撮り写真を交換した直後に態度が急変
自撮り写真がきっかけに脅されてしまった例です。SNS上で共通の趣味を持つ異性に出会った女子。メッセージのやり取りを重ね、自分の秘密も話す仲になりました。ある日、相手から自撮り写真が送られてきたため、自分も送り返したところ態度が急変します。
「秘密をネットに拡散されたくなければ、裸の写真を送れ」と脅すようなメッセージがきたのです。顔の見えない相手に心を開いてしまった結果、怖い思いをすることになりました。
共通の話題を持つ相手に出会うと、嬉しくなる気持ちは理解できます。しかし、あくまでもSNS上だけの相手。やりとりする目的が、自分と同じとは限らないことを痛感した例といえます。
学生に指導するなら!自撮りを投稿する前に伝えておきたい3つのポイント
学生がSNSによる犯罪に巻き込まれないよう、先生はネットリテラシーについて正しく指導する必要があります。自撮り写真を投稿する前に伝えておきたいポイントは、次の3つです。
- 背景に注意する
- 位置情報はオフにする
- 閲覧できる人を限定する
未来ある学生を危険な犯罪から守るためにも、定期的に指導しましょう。詳しく解説します。
背景に注意する
自分が良く見える角度を探すことに夢中で、つい注意を怠りがちなのが背景。家や近所のカフェなど、生活範囲が特定されてしまうような背景は写さない方が安全です。
近所の人でないとわからないような背景でも、Googleの画像検索やストリートビューを使うことで特定できてしまう可能性があります。どんなに小さく写っていても、わかる人にはわかってしまうことを伝えましょう。
位置情報はオフに設定する
背景だけ見ても居場所がわからない写真でも、記録されている位置情報から特定できます。特定されることを避けるために、位置情報はオフにしましょう。iPhoneで設定する手順は、以下の通りです。
- 設定をタップ
- プライバシーをタップ
- 位置情報サービスをタップ
- 位置情報サービスをオフにする
とはいえ、地図アプリなど位置情報がオンの状態でないと正確に動作しないアプリもあるでしょう。その際、個別に位置情報を設定することも可能です。
位置情報サービスの画面から下にスクロールし、オフにしたいアプリをタップしましょう。「許可しない」「次回、または共有時に確認」「このAppの使用中のみ許可」「常に」から好みの設定を選択できます。個別に設定する場合、カメラ関連のアプリは「許可しない」に設定するよう指導しましょう。
閲覧できる人を限定する
多くの人に自分を見てもらいたい気持ちから、自撮りを投稿する学生は多くいます。しかし、自撮り写真やプライベートな写真を載せたい場合は、承認したアカウントしか閲覧できないような公開範囲に設定するのがおすすめです。
完全とはいえませんが、信頼できる友人や知人のみの公開にとどめておけば、SNS関連の被害に遭うリスクを減らせます。どのSNSでも公開範囲を設定できるため、自撮り投稿しているSNSは限定公開を推奨しましょう。
関連記事:一度投稿したら消せない?デジタルタトゥーの恐ろしさとは
最後に
自撮り写真の投稿でさまざまな欲求を満たせますが、何気ない1枚の写真で危険に巻き込まれる可能性もあります。犯罪を減らすためにも、投稿しないように指導したいところですが、完全に禁止するのは無理がありますよね。
そのため先生たちがネットの危険を伝え、対処法を正しく教えなければなりません。指導する時間を確保し、学生に気を付けるポイントを伝えていきましょう。
おすすめの資料
これだけは押さえておきたいSNS活用チェックリスト
\ぜひ投票お願いします/
株式会社ウイネット
ウイナレッジを運営している出版社。
全国の専門学校、大学、職業訓練校、PCスクール等教育機関向けに教材を制作・販売しています。