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お客様でもある学生の指導や指摘に苦労します…

2023.12.11 全般 教務情報

連載侑加先生のお悩み相談室

先生に特有のお悩みから、ワークライフバランス、キャリアデザインまで。「他の学校はどうなんだろう、他の先生はどう考えているんだろう……」と思ったら、学校の現場にも詳しい侑加先生に相談してみませんか?

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今回は、「学生指導」についてのお悩みです。
少子化の影響もあり、専門学校・大学・短大での学生募集はますます激化している世の中です。
そんな時代の流れもあって、オープンキャンパス担当の先生はできる限り高校生を手厚く優しくフォローし、学校に入学してもらえるよう努めますよね。
しかし、ここがゴールではなく、本当のスタート。

「高校生のとき、オープンキャンパスのときは優しかったのに、学校入ったら超怖い!」そんな学生のあるある話を先生サイドはどう対処したら良いのでしょうか。……侑加先生に聞いてみましょう!

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【今回のお悩み】専門学校にとって学生はお客様?

相談者:杉山先生(仮名)[男性・20代後半]

私はコンピュータ・Web・ビジネス系の専門学校で学生募集を担当しています。

高校訪問やオープンキャンパス運営に加えて、当校で学ぶ学生のサポート業務をしており、18歳前後の高校生・学生と接する機会が多くあります。

専門学校では学生は学生であり、お客様でもあるため、指導や指摘の仕方、言い方に苦労しています。高校までのように厳しく指導することが難しいと感じている他の教職員も多くいます。

私の立場上、高校生の時から学生1人1人のことをよく知っているということもあり、学生に対して少し甘くなってしまう部分もあります。

学校として、個人としてどのような心構えで学生指導をするのが適切なのでしょうか。ご助言いただけると幸いです。


以上が今回のお悩みです。
それでは侑加先生の回答をご覧ください!

学生募集を行う先生は、学校の魅力を伝えるキーパーソンです

杉山先生、ご相談のメールをありがとうございます。学生募集は、学校の魅力を伝える重要な仕事ですよね。

私も高校で出前授業をしたり、オープンキャンパスで高校生や保護者を対象に模擬授業を行ったりした経験があります。
専門学校の中には、色々な仕事がありますが、学生募集を担当する先生は、高校の先生方とも幅広いお付き合いがあり、やりがいもあるけれど、とても気を遣う仕事だなぁと実感しました。

入学後には学生が無事に学生生活を送れているか気に掛け、時には、専門学校の先生に今までの様子を伝えて上手くいくよう橋渡しをしていらっしゃるのですね。

「高校生の時から一人一人のことをよく知っている」というのは、他の先生方にはない強みです。
教育の現場は、教えるという行為の一方向になりがちですが、双方向になった方がより高い効果が上がるでしょう。学生をよく理解することが大切なんですよね。

杉山先生は、「学生に対して少し甘くなってしまう」とやや反省気味におっしゃっていますが、まずは、そこをスタートにすれば良いのではないかと思います。

学生を「商材」として見ない、貴重な「人財」と捉える愛情と冷静さが大切です

コンピュータ・web・ビジネス系の専門学校では、年間を通じて、沢山の資格を取得します。
「オープンキャンパスのときは優しかったのに、学校入ったら超怖い!」となるのも理解できます。「こんなに勉強しなきゃならないの~、また検定受けるの~」と悲鳴を上げる学生も出てきます。
入学後の流れについては、オープンキャンパスや入学時に渡す資料に明文化し、行き違いがないようにしたいですね。

30年ほど前は、学生は先生を「先生」と呼び、自分のことを「指導を受ける立場」と理解している学生が多かったように思います
保護者も同様で、欠席続きの学生宅に電話すれば「ご心配をお掛けして、申し訳ありません」という反応が多かったです。中には、友達感覚のような学生もいましたが、少数だったのではないでしょうか。
これは、地域にもよりますが、部活動などで縦社会を経験するのが普通という時代だったからかもしれません。

しかし、昨今は、先生を「〇〇さん」と呼び、自分のことを「お客様」だと思っている学生も大勢います
保護者の中には、子どもの欠席過多、課題未提出、試験未受験の状況を知らず「なぜ卒業できないのか」とクレームの電話を掛けてくる方もいます。

このような状況は、どうして生まれたのかと考える機会が増えました。学生の成育歴を考えずに判断することは難しいですね。
少子高齢化の時代で、子どもを大切に育てます。幼い命を大事に育むことに異論はありませんが、何か間違いがあった時は、誰かがどこかで指摘しなければなりません

愛情を持って叱る親、先生、地域の大人達が必要です。
親にクレームを言われないように、指導が必要な場面でも見て見ぬ振りをする先生がいました。「不登校でもプリント課題を渡せば(子どもから提出がなくても)卒業させる」と言った先生もいます。
義務教育の先生方も忙しいので、一人一人に構っていられない現実もあるでしょう。

私立高校の中には、高校生と保護者を「お客様」と考え、徹底的にもてなす所もあります。「授業料を払っているのだから当然」とする考えもあるでしょう。
高卒で就職する場合もありますが、今は、専門学校を含む高等教育機関への進学率は、83%を超えています。専門学校の授業料は、高校よりも高額です。
すると、自分をお客様だと認識している高校生は、さらに尊大な気持ちになるかもしれません。これは、拝金主義の弊害です。

専門学校を卒業すると社会人となり、働く一員となります。最初は全員が新入社員であり、先輩や上司を持ち、お客様と接する側になります。BtoBの現場でも、取引業者の方がお客様です。

在学中に資格や検定の全員合格を目指すこと、社会に出て通用するコミュニケーションスキルを身に付けさせることが、学生の幸せな人生に繋がると考えたいですね。自分の意見を主張できることと併せ、謙虚さも持ち合わせていたいです。

教員の態度や言葉が、美しく真心のこもったものであれば、それが学生にインプットされ、自然にアウトプットされるようになるでしょう。お互いの信頼関係が全ての基盤になります。

専門学校での生活、教育は、社会に巣立って活躍できる人財を輩出することに直結していなければいけません。次の学校へ送り出せば、役目は終わりという訳にはいかないのです。

Z世代の転職理由に、「職場が緩すぎる」というのがあるそうです。仕事のスキルが身に付いているか心配になり、働き続けられるかという点で、自信が持てないのだそうです。
厳しすぎる指導やパワハラは論外ですが、その人にとって適切な指導というのは、実はあらゆる年代で求められているのではないかと気づかされます。

学校全体で、教職員の認識を共有し、明文化しましょう

「クレド」をご存知でしょうか。リッツカールトンホテルのクレドが有名かもしれません。
「お客様への心のこもったおもてなしと快適さを提供すること」が社員に共有された価値観や信念として記されたカードです。様々な企業が導入し、社員の認識を共有できるよう啓発しています。

専門学校でも教職員が、「どのような学校を目指すのか、学生をどう導きたいのか」を共有した方が良いですよね。会議で話し合うだけでなく、文字にして確認できることが大切です。
先生によって根本的な考え方がバラバラでは、学生も混乱してしまいます。

人を育てる現場なので、大きな家族となって育むというスタンスが良いのではないでしょうか。

杉山先生は、高校時代から学生を知る年の近い兄のような存在です。
若手の先生方の中には、学生に近い兄・姉がいるでしょう。役職上位者の先生は、親の立場になるでしょうか。校長先生は、学校全体や地域もよく知る祖父母に近い感覚があるかもしれません。長い人生経験から、俯瞰的な視点で、学生や先生方の成長段階を見極めることができます。

少し甘くなってしまう兄、適切なアドバイスをする姉、時には厳しい苦言を呈する親がいます。時として、役割が入れ替わることもあるでしょう。
学校全体で「社会で活躍できる人財」を育てる認識を共有し、体制を整えましょう

そして、先生同士も信頼を基に、連携したいですね。決して学生数を確保するため、学費を納めて欲しいからという理由で、媚びたり、ご機嫌伺いをしたりすべきではありません。

学生は、無限の可能性を秘めた宝です。専門学校という社会で働く先生を、一人の社会人の先輩として見ています。
「自分も杉山先生のように働ける人になりたい」そう憧れて、高校生は入学してきます。そして、立派に成長し、社会に巣立っていきます。
これからも先生ご自身が、溌溂と輝いていてくださいね!

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この記事を書いた人
侑加先生

侑加先生

一般企業を経て、専門学校に正教員として勤務。
現在は、企業・大学講師、小中学生の塾経営。
趣味は、お笑いと高校野球、旅行。一児の母。

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