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TOP教養スキルアップ学生のやる気を引き出す「外発的動機付け」の落とし穴に注意!

学生のやる気を引き出す「外発的動機付け」の落とし穴に注意!

連載大原先生の学生指導のすゝめ

動機づけ教育プログラム「実践行動学」を開発する「実践行動学研究所」大原専務理事の学生指導のすゝめ。 学習塾での指導歴25年の大原先生が、実例を用いて学生への接し方をお伝えするシリーズです。 テンポのよいユニークな文章は、一度読んだらハマること間違いなし。

先生にとって大きな課題の一つに、学生のモチベーションの向上や維持があると思います。特にゴールデンウィークや夏休みなどの長期休暇明けは、学生のモチベーションが下がりやすいといわれています。

先生としては、日頃から学生のやる気を引き出す関わり方を心がけたいですよね。ところが良かれと思ってしたことが、逆効果になることも…?

今回は、「学生のやる気を引き出す外発的動機付けの注意点」について、実践行動学研究所 大原幸夫専務理事から寄稿していただきました。

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「内発的動機付け」と「外発的動機付け」

先日、市の生涯学習担当の方との打ち合わせでこんな会話がありました。

私:以前はワークショップじゃなくて講演のご依頼をよくいただいてたんですよね。
担当者:え~、意外です。大原さんはワークショップのイメージしかないので。で、どんなお話をされてたんですか?
私:一番多かったのは、親御さん向けの「子どものやる気を引き出す関わり方」みたいなテーマでしたね。

…という感じで、打ち合わせそっちのけで話し始めたら、かなり盛り上がったので、今日は“やる気”についてのお話です(笑)。

ご存じの方も多いと思いますが、やる気というのは「内発的動機付け」と「外発的動機付け」の2種類に分けられます。

「内発的動機付け」というのは文字通り、心の内側から湧いてくるやる気のこと。私はフライフィッシングが趣味で、シーズンの休日はめちゃくちゃ早起きして釣りに出かけます。誰に言われたわけでもなくやる気満々で(笑)。
こういうのが「内発的動機付け」です。

一方、「外発的動機付け」は、外部要因によるやる気のこと
その代表格が「ご褒美」による動機付けです。あまり仕事に熱心でない人に「業績目標を達成したら特別ボーナス10万円!」と言ったら急にがんばり出した、みたいなやつ。

さて、ここで質問です。
あなたは学生や部下、お子さんに、内発と外発のどちらのやる気を持ってほしいですか?

…そうですよね、「内発」の方ですよね。いちいちご褒美をあげないとやる気を出さないなんて、ねぇ。

ところが、ボーナスの例で分かるように、手っ取り早くやる気になってほしいときは外発的アプローチがとても便利、というか内発の方は一朝一夕にはいきませんから。だから結果を急ぐときは、ついつい…。

ご褒美作戦の落とし穴

けど、ご褒美作戦にはとんでもない落とし穴があるので注意が必要です!!落とし穴の例を紹介します。

【落とし穴1】やる気が長続きしない

一般的に外発的動機付けには持続性がなく、短時間で冷めてしまうことが知られています。

【落とし穴2】大きくしていかないと効果が薄れる

最初は100円のお小遣いで済んでいても、それが当たり前になると200円、500円と増額しないとやる気を引き出せなくなります

そして、もっとも大きな問題が次です。

【落とし穴3】外発は内発的動機付けを抑圧する

どういうことかというと、例えば勉強に対してご褒美をあげると、勉強そのものへの興味関心が薄れていくということです。もともと学ぶ意欲があった子が、ご褒美をあげることによって目的がすり替わり、「ご褒美がもらえないならやる気がしない」と思うようになる。…怖いと思いませんか?

また見方を変えると、ご褒美は次のようなメッセージとなって伝わることもあります。

「勉強ってつまらないよね。イヤだよね。そんなイヤなことをよく我慢してやったね。だからご褒美をあげる」。これでは、「勉強が好きな人なんていないよ」という暗示をかけているようなものです。だから外発的動機付けを利用するときは、細心の注意が必要です。

やる気を抑圧しない方法

最後に、内発的動機付けを抑圧しないご褒美のあげ方をお伝えしておきますね。

それはズバリ、「サプラーイズ!!!」です。

「お母さんは、○○ががんばっていると、とっても元気をもらえるの。だからどうぞ!」とサプライズでご褒美をあげる。すると子どもはビックリして喜ぶ、という感じです。

要は、「ご褒美と交換条件だからがんばる」という気持ちを起こさせないやり方を心がけて、ご褒美の目的化が起こらないようにすることが重要です。

学生との関わり方はもちろん、部下指導や子育てのヒントにもお役立てください!

※この記事は、実践行動学研究所のメールマガジン「しなやかな心と学ぶ力が育つメルマガ Colorful Times」212号を再編集したものです。

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この記事を書いた人
大原 幸夫

大原 幸夫

一般社団法人実践行動学研究所 専務理事
学習塾に25年勤務。その後小~中学校向けのワークショップの開発、及びファシリテーターの育成に従事している。またコーチング研修等の講師・講演を行う専門家でもある。

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