連載専⾨学校の先⽣に贈る「働きやすい学校への道」
働きやすい職場づくりには、「人間関係を円滑にすること」が何より大切!この連載では「楽しくはたらく人・チームを増やす」をテーマに活動を行うNPO法人「しごとのみらい」の竹内さんが、コミュニケーション術やチーム⼒を上げるアイデアを伝授。実践すれば、より働きやすい学校へブラッシュアップすること間違いなし!
しごとのみらいの竹内義晴と申します。このたびウイナレッジで、専門学校の先生方に向けて、ほかの先生や学生のみなさんとの⼈間関係やコミュニケーション、働きやすい職場づくり、ハラスメントや世代間ギャップの課題解決について、お話しさせていただくことになりました。
連載にあたって、わたしの経歴と背景を簡単にお話しさせてください。
わたしは現在、「しごとのみらい」というNPO法人を経営しており、職場のコミュニケーションや組織づくりに関する企業研修や講演に従事しています。以前はプログラマーでしたが、プレッシャーをかけて人を動かすマネジメントを受けたことがきっかけで、心が折れそうになる経験をしました。
その後、管理職になったとき「もっと楽しく仕事ができる職場にしたい」と思い、コミュニケーションや心理学を学びました。職場で実践したところ、ことのほか働きやすい職場にすることができ、人の成長を支援する仕事に面白さを感じるようになりました。
この連載では、「理論」というよりは「体験」に基づいた、働きやすい学校にしていくための「ちょっとしたコツ」についてお話ししたいと思います。
今回は、「コミュニケーションが難しい職場で『もっとも大切にしたいこと』」というお話です。
目次
「そもそも……」専門学校という職場の構造
これをお読みのあなたが、どのような環境で仕事をされているのかわたしには分かりませんが、専門学校という環境のなかで、「働きにくさ」や「コミュニケーションの難しさ」を感じることはありませんか?
たとえば、年齢が離れている先生に対して「話しかけづらい」とか。非常勤の先生なら、普段、ほかの先生とそれほど関係があるわけではないために「学校に行っても先生方と話す機会がない」とか。
あるいは、学生さんとの関係に難しさを感じているかもしれません。
その結果、先生として、講師として学校には行っているものの、周囲の先生や学生さんが「何を考えているのかよく分からない」「どのように接していいのか分からない」といった悩みを感じている方も、いらっしゃるのではないでしょうか。
それも無理はありません。なぜなら、専門学校という職場の特性を考えてみると「そもそもコミュニケーションが非常に難しい環境」だからです。
専門学校で「コミュニケーションが難しい理由」
専門学校の先生の場合、小中高の先生とは異なり、教壇に立つまでの背景はさまざまです。「一度社会人になり、そこで身に付けた専門性を活かそうと先生になった方」もいるでしょうし、「第2、第3のキャリアとして講師になった方」もいるでしょう。また、「常勤で働いている方」もいるでしょうし、「非常勤で働いている方」もいます。
さらに、専門学校には情報処理系学科、公務員系学科、医療系学科、ビジネス系学科……など、さまざまな学科の先生方がいます。
つまり、専門学校という職場は、年齢も、立場も、専門性も、経験も、先生になった背景も、ほかに類を見ないほど「多様な人たちが集っている」職場であり、「まったく畑違いのキャリアや専門性を持った方々が一堂に会している職場」です。それだけ「コミュニケーションが難しくて当然の職場」なのです。
もしあなたが、職場のコミュニケーションに難しさを感じていたら、あなたが悪いわけではありません。「そもそも、専門学校とはそういう場なのだ」ということを前提にしておくと、気持ち的に少し、楽になれるのではないかと思います。
コミュニケーションが難しい職場で「もっとも大切にしたいこと」
そもそもコミュニケーションが難しい職場の中で、毎日気持ちよく仕事をするために、もっとも大切にしたいことは何でしょうか?
わたしの意見では、他者とのコミュニケーションの前に、まずは「ご自身を大切にしてください」と申し上げたいと思います。なぜなら、繰り返しとなりますが、そもそも専門学校は「コミュニケーションが難しい職場」だからです。
多少うまくいかないからといって、過度に責任を背負う必要もなければ、自分を責める必要もありません。いかにあなたが「いい気分でいられるか」を、もっとも大切にしていただきたいと思います。
いい気分でなければ行動的にはなれないし、他者にいい影響を与えることはできません。まずは、ご自身を大切になさってください。
半径2メートルから変えるとしたら、何ができそう?
次に大切にしたいのは「無理をしなくても、自分にできそうなことからはじめる」ことです。
コミュニケーションに限らず、物事がうまく行かないとき、相手に対して「〇〇してくれたらいいのに……」と、相手の変化を期待してしまうことがあります。これは、自然な心の動きであり、これ自体は悪いことではありません。
しかし、残念なことに、相手の行動や言動を変えるのはとても難しい。というより、自分の言動を変えることだって、容易ではありませんよね。
それならば、無理しない程度の、ほんの少しの努力でできそうなことをはじめてみる。半径2メートルから変えてみることが、大切なのではないかと思います。
たとえば、「ちょっとあいさつをしてみる」「ちょっと言い方を変えてみる」「意識的に話を聴いてみる」――そういったレベル感のことです。
それも、「相手のために」のまえに、まずは「自分がいい気分で働くために」。
目の前のできそうなことから、始めてみてください。では、「具体的に何をすればいいか?」については、次回以降お話ししていきます。これからもお楽しみに!
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竹内 義晴
特定非営利活動法人しごとのみらい 理事長
企業研修や講演を通じて理想の働き方を支援する「しごとのみらい」理事長。元はプログラマー。職場の人間関係でストレスを抱えたことをきっかけに、コミュニケーション心理学やコーチングを学ぶ。また、サイボウズ株式会社にてブランディングやマーケティングを担当し、「複業」など新しい働き方を実践している。著書に『Z世代・さとり世代の上司になったら読む本 引っ張ってもついてこない時代の「個性」に寄り添うマネジメント(翔泳社)』など。
しごとのみらい:https://shigotonomirai.com