実務教育・職業教育に関わる皆さまにお役立ち情報をお届け!

実務教育・職業教育に関わる皆さまにお役立ち情報をお届け!|ウイナレッジ WE KNOWLEDGE

実務教育・職業教育に関わる皆さまにお役立ち情報をお届け!

TOP教養スキルアップ年上部下とのコミュニケーション どう指導したらいい?

年上部下とのコミュニケーション どう指導したらいい?

2023.04.03 (最終更新:2024.03.27) スキルアップ 学校運営

連載侑加先生のお悩み相談室

先生に特有のお悩みから、ワークライフバランス、キャリアデザインまで。「他の学校はどうなんだろう、他の先生はどう考えているんだろう……」と思ったら、学校の現場にも詳しい侑加先生に相談してみませんか?

\あなたのお悩みも相談してみませんか?/

侑加先生のお悩み相談フォームはこちら

今回は、「人間関係・マネジメント」についてのお悩みです。

新年度を迎える季節になってきました。
新たに役職に就く方やポジションが変わる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回はそんな時期に多い人間関係・マネジメントについてのお悩みです。
新しい仲間への接し方、指導は考えることも多いですよね。

新任の先生との付き合い方はどうしたらいい?……侑加先生に聞いてみましょう!

こちらも読まれています

【今回のお悩み】年上の後輩へのコミュニケーションや指導について

相談者:西山先生(仮名)[女性・30代後半]

新卒から看護師として勤務し、縁あって看護学校の先生をしております。
先生になって今年で10年目。
教え子が現場で活躍する様子を聞き、私もエネルギーをもらっております。

節目を迎えた今年、学科長を務めることになりました。
一層身の引き締まる思いで、より学校全体のことを考え励みたいところです。
また、春からは新任の先生を迎えることになり、その方の指導・教育も任されました。

年上(40代後半)の女性で、これまではずっと病院で看護師をされており、現場では役職に就かれていたようです。
ノウハウを後輩に伝えたいという強い意欲を感じます。

私はこれまで教員の指導経験は無く、かつ年上ということでどのような距離感での関係を築いたらよいのか悩んでいます。
学生への指導において大切なことをしっかりと伝えつつ、新任の先生の経験を尊重するにはどのような指導、関係性を心がけるべきでしょうか。


以上が今回のお悩みです。
それでは侑加先生の回答をご覧ください!

人生の先輩として敬いつつ、必要なことは伝えていきましょう

西山先生、学科長ご就任おめでとうございます!
役職に就くということは名誉なことですし、やりがいもありますよね。
新卒で看護師として仕事を始められ、教員歴も10年になるとのこと、今までの全てのキャリアを認められての結果だと思います。

20代の頃は無我夢中だったことでしょう。
そして教員になってからも楽しいことばかりでなく学生や保護者とのやり取りやトラブル対応など、辛いできごともあったのではないでしょうか。
点と点が線に繋がり、人生を繋いできました。
その人生そのものが素晴らしく、後進に伝えるべく価値のあるものと認められたのですね。
今後、部下を持ち、責任も増していきます。
いよいよ線が面になっていく段階を迎えているということではないでしょうか。

新任の先生は、40代後半の方ですね。
すると、西山先生より10年くらい先輩ということになりますね。
新卒からずっと看護師として勤務されてきたのですから、当然看護師歴も長く、最新の情報やスキルをお持ちでいらっしゃることでしょう。
現場で役職に就いていたということは、マネジメント経験もあり、それなりに自信をお持ちだと想像します。
「ノウハウを後輩に伝えたいという強い意欲を感じます」ということからも、積極的に意見を述べられる方と予想します。

私も年上の後輩の指導を担当した経験があります。
やはり気を遣いました。
最初の1年で感じたことは、年上であっても、年下であっても、伝えなければならないことに大差はないということでした。
学校という職場では先輩になるわけですから、学校側で決められたルールや職場内のマナーなど、全職員が知っていた方がいいことについては、結局伝えなければいけません
例えば、年間予定表にある行事やそれに関わる前後の仕事について、理事長も学校長も説明しません。
先輩がすることです。

「部下になる後輩に強く出られたらどうしよう、上手く人間関係を作れるかしら」と心配になりますよね。
ついオロオロしてしまうのですが、ぜひ、伝えなければならない事実を整理し、説明できる準備を始めてみてください。
すると、不安が少しずつ解消されて、というより、不安に思っている暇がないくらい、やらなければならないことが膨大にあることに気付かされます。
「とにかくやらなきゃ」となります。
年度始まり前からゴールデンウィークまでは息をつく暇もないくらい大変だと思います。

ですから、今からその準備をしておきたいですよね。
病院と学校では、人を相手にすることは同様ですが、それ以外のことは全く違うと感じます。
1年度間、1学期間、1ヶ月、1週間、1日の流れに分けて考えてみてください。
10年学校にいると、それが普通になってしまっているでしょう。
病院から学校へ転職された1年目のことを思い出してみてください。
率直にお聞きします。
どんなことに戸惑いを感じましたか。何に困りましたか。

教科指導についてですが、大ベテランの看護師さんが最新の内容を指導することは、入学生に対しては早過ぎます。
高校を卒業したばかりの学生は、看護師の仕事を漠然としか分からない素人です。
患者という立場で看護師と接したことがあるというレベルでしょう。
保育士さんが保育園児に話しかけるとき、しゃがんで目線を合わせますよね。
このときと同じような気持ちで、まずは18年しか生きていない若者に優しく話しかけるところから始まります。
そういったマインドセットも西山先生が伝えていく必要があるでしょう。

新任の先生は、教科指導よりも、学生指導の方を難しく感じられるのではないでしょうか。
遅刻してくる学生や、連絡なく休む学生にはどう対応するのか、何をどの程度上司に報告するのか、校務分掌では何をしたらよいのか、学校行事への取り組みは…など沢山あります。

「年は上でも職場では後輩なので、何でも言ってくださいね」という謙虚な態度を示してくれる方とは、とても付き合いやすいです。
だからといってこちらが横柄になるということはありませんが、少し肩の力を抜いて接することができると思います。

自分の方がベテランとばかりに先輩風を吹かせる方の場合は、要注意ですよね。
経験から言うと、前職で役職に就いて十分な給料を得ていた方は、やはり自信に満ちています。
そうした場合は、必要な事実と行動を伝えることに専念し、「自分の方が上司なのにと気負わない方がいいと思います。
人生の先輩であることに敬意を払いつつ、言葉遣いやタイミングに気を付ければ、それ以上の気遣いや顔色を伺うようなことはしなくてよいと割り切りましょう。

「思考の習慣化」には、最低半年は必要、だから焦らないようにしましょう

習慣化コンサルディング株式会社代表の古川武士さんのお話をご紹介します。
「習慣」とは、「根性に頼らず、自分が続けたいと思っている行動を楽々と継続できる状態」と定義することができるといいます。
「『習慣化』とは、こうした状態に導くこと」を指すそうです。
毎日の歯磨きをイメージするとよいでしょう。
「習慣」を「行動習慣」「身体習慣」「思考習慣」の3つに分けて、習慣化に必要な期間を説明します。
「行動習慣」の習慣化には、1ヶ月かかります。
例えば、ゴミ出しや日記を書く、節約するなどの行動を習慣化するには、1ヶ月くらいかかるということですね。
春は生活環境の変化によって行動を変える必要が出てくることも多く、比較的習慣化しやすいでしょう。

「身体習慣」を習慣化するには、3ヶ月くらいかかるそうです。
運動することや早起き、禁煙など身体のリズムに関わる習慣化には、3ヶ月は必要ということですね。
最後は、「思考習慣」の習慣化です。ポジティブ思考や論理的思考力などの習慣化には、人の根幹にかかわる変化ですから、やはり無意識のうちに抵抗力が大きく働き、最低半年は要するそうです。

長いキャリアがあれば、その中で醸成された思考が必ずあります。
また、新しい習慣に慣れることに抵抗を感じてしまうこともあるでしょう。
これは仕方のないことなのですね。
まずは必要な行動を理解し、実践してもらいましょう。
病院でなく学校という職場に、少しずつ身体も動きも馴染んでいきます。
ただし、思考の習慣だけはなかなか変わらないということを認識しておきたいと思います。

「何でこう思わないんだろう」「私ならこう考えるけど…」と悩ましい場面が出てきたら、どのような行動を促せばよいのか行動や言動に落とし込んでみてください。
それらを繰り返し行っていくうちに、少しずつ西山マインドが伝わっていきます。
西山先生が新卒で看護師をされたときも、辛くて逃げ出したいと思ったこともあるでしょう。
でも、今となっては思い出の一つとなり、学生に生き生きと語れるエピソードになっていることってありませんか。
同じように、人の成長には時間が掛かると心得て、覚悟を決めて臨めば大丈夫です。

「私と違うやり方」も認め、キャパシティを広げるチャンスと捉えましょう

ある会社の社長さんが、従業員を将棋の駒に例えたことがあり、閉口しました。
「現場を上手くやってくれればいい、不足が出たら派遣で補う」という調子で、従業員の方に対して、全く愛情が感じられなかったのです。
一人一人に夢があり、家族もあり、人生があります。
もちろん、現場を上手く回せることは働く上で大事です。
でもそれだけでは、人として寂しいですよね。

人間は、自分のことを認めてくれる人に心を開き、その人の言うことをもっと聞きたくなります。
偉い人が自分の気持ちだけを押し通そうとしてもなかなか通せません。通せたように思っても、相手は仕方なく応じているだけで、心の底から賛同しているわけではないのです。
上から指導的立場を取ろうと思っても、難しいかもしれません。
学生の幸せな人生を一緒に作りたいという立場で、同じ方向を向いて、同じゴールを目指す伴走者でありたいですよね。

新任の先生は、希望に燃えて着任されますが、学生に高度な看護スキルを教えるのは随分先のことで、理想とは違うわぁとガッカリされるかもしれません。
夏休みなどに、新任の先生に看護学科全体の教員に対する勉強会の講師を依頼してみてはいかがでしょうか。
西山先生も把握していない最新のスキルが学べるチャンスです。
インターンシップで学生を受け入れてくれる病院や施設の新人看護師さん達を招いてもいいですね。
専門学校として、地域に貢献できる貴重な機会になり、良い宣伝にもなります。

新任の先生に対して、決して張り合おうとしないでください。
「私のやり方と違う」と思うことがあっても、許容される範囲でしたら、それを知ることで西山先生の引き出しが増えると考えればいいのではないでしょうか。
それぞれの先生の良さを見つけ、伸ばすような仕掛け作りができれば、学科長として大成功だと思います。

ストレスをさらりと流すコミュニケーション上手を目指したいですね

30代後半で学科長になられる西山先生には、その力量があると学校が認めました。
どこの職場にも人間関係が存在します。
良い関係ばかりでなく、難しくストレスになる関係もあるでしょう。
でも、そのストレスをまともに引き受け過ぎてしまうと、病気になってしまいますよね。
責任感の強い方には、特に気を付けていただきたいと思います。

渦中にいるときは難しいのですが、「俯瞰の目」が自分を救ってくれます。
空の上から地上にいる私達全体を眺めるような感じですね。
「今は、こういう時期なのかな、1年を過ぎれば楽になるかも」などと受け止め、明るい未来を見つめることも、長く働く上では大切なスキルかもしれません。

最後に

どうしても困ることが発生したら、決して一人で抱え込まないでください。

新任の学科長を温かく見守ってくれる上司がいるでしょう。
どうぞ、上司を頼ってくださいね。上司もそれを待っているかもしれませんよ。
西山先生の4月からの飛躍とご健康を願い、応援しています!

***

先生のお悩みにズバッと回答!
連載「侑加先生のお悩み相談室」
すべての記事はこちらでご覧いただけます。

***

\あなたのお悩みも相談してみませんか?/

侑加先生のお悩み相談フォームはこちら

こちらも読まれています

この記事は役に立ちましたか?

\ぜひ投票お願いします/
この記事を書いた人
侑加先生

侑加先生

一般企業を経て、専門学校に正教員として勤務。
現在は、企業・大学講師、小中学生の塾経営。
趣味は、お笑いと高校野球、旅行。一児の母。

週間アクセスランキング

週間アクセスランキング

お問い合わせ
LINE登録
メルマガ登録
LINE登録
メルマガ登録
トップへ戻る