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TOP 記事 【特別番外編】エアライン業界の今 2022年版

連載【伝わる・信頼される】先生になる!教務スキルアップ講座

専門学校の先生にとって、【伝わる】授業・【信頼される】学生対応は、専門分野の知識と並ぶ大切な要素。新任の先生も、スタイルの固まってきた先生も、教務スキルを自己点検してみませんか。航空系・医療系をはじめとする多くの専門学校・大学で教え、学生・卒業生から愛される川口先生とお送りする連載です。

皆さん、こんにちは。
連日猛暑が続いておりますが、いかがお過ごしでしょうか。

今回は特別番外編です。
昨年の連載「withコロナ・afterコロナの就職活動最前線」の第4回では「航空業界が採用を中止する中、航空業界志望の学生たちの就活がどうなったか」について、第5回では「航空業界へ送り出した教え子たちがコロナ禍でどのような状況に見舞われているか」についてお伝えしました。

それから一年が経ち、状況は変わってきています。
今回は、2022年現在のエアライン業界の「今」をお伝えします。

2022年春 エアライン業界、採用復活

今から約2年前、新型コロナウイルス感染症の感染拡大は航空業界に多大な影響を与え、航空各社は採用を中止
2022年、3年ぶりに採用が再開されました。

しかし、客室乗務員に関しては、国内最大手のANAは今年も採用を見送っています。
一方、JALは採用に踏み切りました。現在100名を募集し、選考中です。
受験できなかった2021年・2022年の新卒者も含めての採用試験であるため、2023年新卒受験者とあわせて3年分の応募者が殺到し、かなりの激戦になっているのが想像つくかと思われます。

グランドスタッフの採用は、すでに全国で一斉にスタートしています。
専門学校生は大学生よりも先に選考が始まっているため、2月から3月にかけて受験も終了し、内定している状況です。
現在は大学生の採用試験が進んでいます。

コロナ禍で採用中止になった学生たちの「今」

2020年4月に専門学校のエアライン学科に入学してきた50名の学生を担当していました。
今年3月に卒業したその学生(卒業生)たちのうち、エアライン関係の仕事に就職できたのはわずか1名のみでした。
ちょうど入学も卒業もコロナ禍、まさに採用がない時期とかぶってしまった世代です。

ではどこに就職したかというと、接客・販売をはじめ、全く違う業種など、さまざまな道に進んでいきました。
航空業界に入るために専門学校を選び、入学したにもかかわらず、志半ばで卒業していく姿を見、何ともいえない気持ちでいました。
その一つ下の学年は、採用再開と就活が重なり、客室乗務員やグランドスタッフ、空港関係にほぼ全員の内定が決まっているという状況です。
ほんの1年のタイミングの違いで受験の機会さえ奪われてしまった卒業生たちの無念は計り知れません。

しかし、この4月に就職したばかりの卒業生の中にも、エアライン業界への夢を持ち続け、仕事をしながら採用試験にチャレンジしている卒業生もいます。
先日、羽田空港のグランドスタッフに内定したと喜びの連絡をもらいました。
在学中から努力をしている姿を見てきたため、心から祝福しました。
10月から念願のグランドスタッフとして空港で活躍する姿を見るのが待ち遠しく思います。

また、昨年の卒業生たちの中にも、仕事をしながら採用試験にチャレンジしている卒業生もおり、成田空港のグランドスタッフや客室乗務員に内定したという連絡もありました。
当時、悔し涙を流していたのを思い出すと感無量です。

学生の頃と違い、働きながら受験をするため、思うように時間も取れないのが既卒受験者の難しいところです。
しかし、社会人としての経験を武器に、夢を掴んでいってほしいと願っています。

エアライン業界の「今」 ~採用再開の裏事情とは~

さて、ではコロナ禍以前に航空業界入りした卒業生たちはどうしているでしょうか。

コロナ禍に入り、航空業界の社員の多くが異業種・遠隔地を含めた出向を余儀なくされたことについては以前の記事でもお伝えしました。
そのような状況が2年続き、全国各地の空港にいる教え子たちの数多くがエアライン業界から去っていきました。
出向先が全く違う職種であったり、環境に馴染めなかったり、理由はさまざまです。
航空業界自体が世界的不況の中、給与は下がる、賞与がないとなれば、将来を考えてしまうのは無理もないことです。
夢と希望を持って念願の業界入りをした学生が、この3月にわずか1年で退職を決意し、4月から全く違う業界へ転職していく姿にエールを送りつつ、残念な気持ちがあるのも事実です。

教え子のグランドスタッフとしての最終出勤を見届けに

現場の人事の方に話を聞いたところ、毎月退職者がでており、出向に行っている社員も任期まで戻ることができないため、スタッフ不足であるとのこと。
8月には、航空会社にとって一番忙しいお盆がやってきます。
そのため、各社とも早くから人材確保に動いていました。
とりわけ、エアライン学科を持つ専門学校では、推薦という形でいい人材を確保したい企業の競い合いが起きている状況です。
専門学校在学中の内定者は、早期出社といって、卒業前からアルバイトとして前倒しで出社することがあります。
早いところは、8月から出勤している状況です。
そのようにして、フライトが突然増えてもいいよう準備をしている段階です。
新卒のみでなく、今後は既卒募集も増えていくと思われます。

国内線はこのように回復してきていますが、国際線はというと、8月から毎日運航を予定していた外国社も、最近になって再びの感染症拡大を受け、運航を9月以降に延期するところが増えてきています。
完全な回復には、まだ時間がかかりそうです。

2023年卒就活解禁/2024年新卒動向 ~今年の就活戦線~

2023年卒の就活は、そろそろ終盤を迎えようとしています。
リクルート社の「就職プロセス調査」によると、大学生の2023年新卒の就職内定率は7月1日現在で83.3%。3人に2人が進路を確定しています。
昨年同時期の2022年新卒が80.5%、一昨年同時期の2021年新卒が73.2%でしたので、今年は高い水準といえるでしょう。

[リクルート 就職みらい研究所]就職プロセス調査(2023年卒)「2022年7月1日時点 内定状況」

政府指針による採用スケジュールは、これまでと変わらず、3月に採用情報が公開され、会社説明会がスタート、6月から採用、選考が行われるというもの。
しかし、それはあくまで指針。実際は企業によって異なり、年明け早々に内定がでる学生もいます。
「就活解禁」のはずの6月には、すでに7割を超える学生が内定を持っているのが現状です。

▲グラフはリクルート社「就職プロセス調査(2023年卒)」をもとに作成

2023年卒の就活は、昨年までとは違い、オンライン選考ばかりではなく対面での選考も戻ってきています。
オンライン対策・対面対策、どちらも必須です。
インターンシップ早期選考も多くなってきました。

2024年新卒組もそろそろ動きだしています。
マイナビ社の「2024年卒インターンシップ・就職活動準備実態調査」によると、夏休み前の6月にインターンシップ・ワンデー仕事体験に参加した学生は24%に上り、ほぼ4人に1人が参加しています。
22年卒では9.1%でしたので、この3年間で2.5倍に増えていることになります。
WEB形式が増え、以前より気軽に参加できるようになったのも増加の要因の一つと考えられますが、それを抜きにしても学生のインターンシップに参加する意識が年々強くなっているのを感じます。

[マイナビ キャリアリサーチLab]2024年卒インターンシップ・就職活動準備実態調査(6月)

インターンシップ参加者を採用試験で優遇する企業も多いほか、これといってやりたいことがないという学生にとっては、インターンシップで色々な仕事を体験してみることが自分の適性や希望を知るのに役立ちます
昨年「第一志望がない就活」をして20社の採用試験を受け、3社に内定したある教え子は、夏休みの短期間インターンシップに参加したことが、やはり仕事を選ぶきっかけになったそうです。
内定したのは、大手家電量販店、自動車のディーラー、医療系リース会社と、それぞれ異なる業種。
そのいずれも、インターンシップに参加していた学生には優先枠があったと話していました。

今後、採用につながるインターンシップはますます多くなると予想されます。
経団連と国公私立大学からなる「採用と大学教育の未来に関する産学協議会」の働きかけにより、政府はインターンシップの定義・位置づけを見直し、2024年卒から「就業体験を含む」「5日間以上」などの5要件を満たすインターンシップはより広く正式に採用活動に利用できることになりました。

[NHK 就活応援ニュースゼミ]インターンシップ“正式に”採用で活用も 何年卒が対象?条件は?

今年4月に入社した新入社員は、選考はもちろん、内定式、入社式、そしてその後の新入社員研修もWEB対応の会社が多く、本来なら同期と励まし合い、絆の生まれることなども多いこの時期、その機会まで奪われてしまっているという話をよく聞きます。
WEBではやはり限界があり、お互い励まし合ったり、たわいもない愚痴を言ったり、相談したりできる仲間を持てずに退職にいたるケースもよく聞きます。
コロナ禍の弊害をこのようなところでも感じています。

最後に、社会情勢に振り回されている学生・卒業生たちにエールを。
「何がおこってもぶれない自分自身の軸をみつけよう。
苦難にぶつかっても壁を越えていける力を!!」

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この記事を書いた人
川口 晴美

川口 晴美

元日本航空グランドスタッフ。在職14年の間、JAL「サービスの達人」社長賞や社内接客大賞「ホスピタリティ賞」受賞。全国各地の空港で指導教官として勤務。退職後、大学、専門学校の非常勤講師として客室乗務員やグランドスタッフを多数輩出。現在は、大学、専門学校(医療系、留学生)高校、NHK文化センターで教える。
オフィス川口を設立し、学生の就活サポート、各種検定、企業研修を手掛ける。サーティファイ認定会場。

オフィス川口HP
https://office-kawaguchi.jimdofree.com

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